羽山直臣のランチェスター戦略の実践事例ブログ -44ページ目
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先制攻撃とは何か(1)

先制攻撃とは何か(1)


西日本にある人口約4万人の島に、スーパーサトウ(仮名)というスーパーマーケットがあります。このスーパーの後継者である佐藤部長(仮名)はまだ30才代前半ですが、この島に、西日本エリアでスーパーを展開しているブルーレタス(仮名)が進出してくるという情報が入りました。

佐藤さんはそれまで、人間力を高める勉強と共に、ランチェスター戦略の勉強に取り組んできました。 ここで打つ手を誤れば、経営力で何十倍も差のある大型スーパーチェーンにつぶされてしまいます。まさしく生きるか死ぬかの戦いです。

佐藤さんはまず敵の情報を集めました。まさに情報なくして戦略なしです。

情報には「お客情報」「競争相手の情報」そして「社内情報」の3つがありますが、ここで重要なのは競争相手の情報でした。

佐藤さんは、競争相手の情報を集めるため、共同仕入れや経営戦略の勉強、人間力を高める勉強を一緒に行っている各地のスーパーの経営者に頼み、ブルーレタスが各地でオープンした時のチラシを集め分析しました。

するとのチラシには、目玉商品から価格まで多くの共通点があり、佐藤さんはブルーレタスは必ずこのような内容でやってくると考えました。


またオープニングでは、目玉商品や安売り商品だけで集客を図るのではなく、様々なイベントを投入し、ハレの日を演出する必要があります。佐藤さんは、ブルーレタスがどのようなイベントを投入してくるかもチラシを見て研究しました。


大型スーパーがオープンする日は事前にわかります。資本力などでは圧倒的に負けていますが、地の利はスーパーサトウが有利です。佐藤さんは次のように考え手を打ちました。


(1)ブルーレタスは他地域でのオープニングチラシと同じパターンでやって来る。ブルーレタスのオープンの1週間前に、予想される販売商品と同じものを、大感謝祭と銘打ち、チラシに掲載し大々的に販売する

(2)同時に大イベントを実施し、地域の人たちにこれでもかというくらい、楽しさを提供する


このようにしてスーパーサトウは、


(1)ブルーレタスがオープンする1週間前に、本来ブルーレタスが目玉商品で販売(集客)すべき商品をほとんど売ってしまい

(2)ブルーレタスが与えるはずであった大イベントの楽しみも、一週間前に地域の人たちにたっぷりと提供してしまいました


つまり地域のお客さんは、しばらく必要な食料品や日用品はほとんど買い込み、イベントの楽しさも満喫したという状況を作ったのです。 


つづきはまた次回(4月12日(月))、ご紹介いたします。


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