改めて口内炎を医学的に考察してみる | 早川歯科医院のブログ

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堀ちえみさんが口腔癌の罹患および手術を発表なさいました。

大変勇気がいる行動であり、一日も早いご快復をお祈りしています。

堀さんは口腔内の病変を当初かかりつけ医にて、口内炎と診断され治療を受けておられました。

当院にも、受診理由として口腔炎が治らないケースはかなりあります。



治療法としては
①軟膏の塗布(アフタゾロン・ケナログなど)
②抗炎症薬の貼薬(アフタッチなど)
③レーザー照射
などがあります。

しかし、一度治癒しても口腔内の他の場所にすぐ再発するケースがあります。

その場合
ビタミンBおよび、Cの摂取を勧めることがあります。

これは上皮の再生を促進する作用があるビタミンを積極的に摂取して口内炎を治す目的があると思われます。

ただし当院では処方はしていません。

ここでビタミンB・Cについてお話させて頂きます。
ビタミンBおよびCはいわゆる『水溶性ビタミン』であり、他のビタミンは『脂溶性ビタミン』に分類されます。

つまり過剰に摂取した場合でも、尿と一緒に排泄されるため過剰症にはなりにくく、サプリなどで安心して摂れるビタミンと考えられています。

しかしながら、普段の食事でそんなにビタミンが不足するものでしょうか?

実は口から摂取しているビタミン量は、大抵のかたは食事だけで一日必要量摂取できています。

水溶性ビタミンは水分とともに体内に吸収します。

水分は大腸で吸収後、腎臓にて濾過および再吸収され、膀胱を経由して排泄されます。

すなわち、大腸の調子が悪いと水分吸収効率が低下して、水溶性ビタミンを体内に行き渡らせることが難しくなり、口腔内の粘膜上皮に口内炎を発症させやすい要素となります。

もちろんこれはリスクファクターの一つであり、
機械的刺激
口腔乾燥
免疫力低下
などと言った他のリスクファクターの一つに過ぎません。

しかし、大腸は免疫力を司る重要な臓器であり

疲労や疾病による体力低下

大腸ポリープや潰瘍性大腸炎など本来の働きを制限する疾患の罹患

不規則な生活や食物繊維の摂取不足

などにより、大腸の活動に支障をきたすとビタミンの吸収効率が下がり、口内炎の発症リスクが上がると考えられます。

普段内科などで長期服用されているお薬がない方で口内炎ができやすい方は

下痢や便秘などの症状がないか

不規則な食事時間や偏りがちな摂取内容になってないか

睡眠時間や就寝時刻など生活習慣が不安定になってないか

チェックしてみるのもよいかもしれません。

口内炎が気になる方はまず歯医者さんへの受診をお勧めします。

2週間以上口内炎が治らない場合は組織診や細胞診で鑑別診断が必要なケースもあります。