どうも初めまして。岩手の盛岡在住のはやぶさ413号と申します。一応漢検1級のリピーターやってます。今回が初投稿なのでまだまだ不慣れな点はありますが、どうぞよろしくお願い致します。

まずは先日漢検を受検した皆さん、大変お疲れ様でした。私も今回1級と準1級をダブルで受けて参りました。本日標準解答が自宅に到着し、正式な自己採点が終わったところで、今回29-3の1級試験の振り返りと反省をしてみようと思います。長文でかなり主観的な内容ですが、最後まで読んでいただければ幸いです。


・総評
今回も難。特にウラ面の対義語・類義語と文章題がかなり難しい。全体的に過去問の知識で解ける問題は6割前後か。新出難問を除くとほぼ8割で、基本問題における僅か数問のミスが合否の分かれ目となっただろう。合格常連のリピーターまでもが次々と不合格の憂き目に遭っている現実に、今回29-3の難易度は前回の29-2と同レベル、或いはさらに難化したといえる。合格率5%以下は必至だろう。今年度は3回とも極めて難関で、新規合格を狙うチャレンジャーにとってはかなり厳しい年となった。

・オモテ面 101点/110点
標準。全体的に解きやすい印象で、1級11回目の受検にて初のオモテ面で100点超え。ウラ面の難易度を考えると、オモテ面でしっかりと点数を稼がなければ160点超えは厳しい印象。

(一)読み 27点/30点
音読みは標準。難問奇問も殆どなく、割と解きやすかった印象。9.饕餮文は とうてつぶん と誤答。17.滝滝は、一度は りょうりょう と書くも、岩手県内に滝観洞(ろうかんどう)という名所があることを思い出し、ろうろう と修正。貴重な1点を得た。
訓読みはやや難。23.扠(やす)と24.罩(こ)める は漢検漢字辞典第2版で新規に追加された読み。23は、文脈から銛をイメージして もり と誤答。24はどこか問題集で見た記憶があり、正解。27.詢(と)う→したが(う)と誤答。諮詢を知っていただけに、ここで落としたのは痛い。それでも前回の22点から27点と5点伸ばせたのは良かったと思う。今後はさらに訓読み表の読み込みを重ねると同時に、第2版採用の訓読み対策も積極的に進めていきたい。

(二)書き取り 38点/40点
標準。割とスタンダードな問題が多かった印象。合格を目指すなら、ここで点数を稼がなければならない。唯一落としたのは12.咬傷で、咬症と誤答。少し考え過ぎたか。space+氏の大見出し語表にも掲載されている語でもあり、ここは40点を取るべきだったと反省。29-2の34点から4点アップの38点。今後は1級配当の大見出し語を重点的に学習し、安定して40点を取れるような力を付けていきたい。

(三)語選択 10点/10点
標準。選択肢のダミー語が非常に巧妙で、下手すれば大量失点にもなりかねないことから、ここも合否の分かれ目となっただろう。2.尋繹と4.感佩はspace+氏のブログ記事のおかげで正解。5.比擬も過去に19-1の文章題書き取りで出題されており、全25年分の過去問演習の成果が現れた。ここで10点満点を取れたのはかなり大きく、今後に向けての大きな自信にも繋がった。

(四)四字熟語 26点/30点
標準。問一書き取りの常用漢字問題は、10.気韻[生動]の1問のみで、残り9問は全て1級配当。10は静動と誤答。常用漢字の四字熟語は苦手分野の1つでもあるので、今後は2級〜5級配当の四字熟語にも少しずつ目を向けていきたい。
問二の意味と読みは、語選択同様、こちらもダミー語が紛らわしかった。5.賢人たちが相伴って朝廷に出る。の問いで衆賢茅茹か和羹塩梅かで5分くらい悩んだ末、和羹塩梅と誤答。10点満点を取るべき分野で落としたのはもったいない。もう一度1級配当四字熟語をよく復習し、全体で常に28点以上を確保できるようにしたい。


・ウラ面 65点/90点
難。総評でも述べたように、対義語・類義語と文章題がかなり難しく、この2つで18点もの大量失点。大変悔しさの残る結果だった。最低でも8割の72点以上は取りたかった。

(五)熟字訓・当て字 9点/10点
標準。模試などで過去問以外の語に触れていた機会が多く、新出3〜4問でありながら、自己最高の9点をマーク。7.羊乳(つるにんじん)だけが分からず、不正解と知りながらも ラマ(羊駝) と誤答。今回の国名・地名問題では2.聖林(ハリウッド) が出題された。今後も普段どおりに学習を続け、余裕があればspace+氏の生き物図鑑の全マスターを目指したい。

(六)熟語・一字訓読み 8点/10点
やや難。今回も 2.泝(さかのぼ)る、4.鞫(ただ)す の2問が第2版採用の訓読みとして出題。1.泝沿 の意味が取れず、さんずいのイメージから水の流れを連想し、めぐ(る) と誤答。4は、鞫(しら)べる の訓読みから連想して正解に辿り着く。しかし、直前の3. 鞫獄(きくごく) を 鞫訊(きくじん) と勘違いしてしまう。こういったちょっとしたミスが非常に怖い。(六)は得意分野で常に9点以上は取っていたが、今回8点だった。今後は(一)と同様、第2版採用の訓読みも積極的に対策を進めていきたい。

(七)対義語・類義語 12点/20点
難。今年度の対類は3回とも難しかったが、今回が特に難しく感じた。過去問は僅か3問程度か。1・2・3・5・8・9の6問はすんなり解けたが、残り4問が全滅。4の天譴↔︎テンケン(天眷) は、眷の字が導き出せずに天の1字で解答。まさかの同音の対義語に思わず面喰らってしまった。終了後に、space+氏の分野別対策で天眷を学習したことを思い出すも、後の祭り。また、6・10で選択肢を間違える失態を犯す。6.覆載≒しょうじょう(霄壌) は、覆載を覆す意味と捉えてしまい、翻意と誤答。ほい のつもりで解答したが、翻意は ほんい としか読まない。天地の意味だと気付いていれば、霄壌と解答できただろう。10.黎元≒ほい (布衣) に関しては、黎元は庶民という意味は知っていたが、選択肢が しょうじょう しか残っていなかったので、不正解と知りながら蕭条と誤答。7.白面≒こうふん(黄吻) も不正解。白面を美しい女性のイメージと勝手に解釈し、コウは皓歯の皓、フンは粉黛の粉として、皓粉という新しい熟語を生み出す。今回対類で12点は過去最低タイ記録。しっかり対策していれば8割の16点も取れていただろう。今後の対策としては、漢検漢字辞典の読み込みを重ねること、そしてspace+氏のブログ記事の問題を確実に自分のものにすることだろう。余裕があれば、ひでまろ氏の類義語シリーズにも挑戦してみたい。

(八)故事・諺 16点/20点
やや難。今回、史上初となる 7.レイガクケイセイ(礼楽刑政)その極は一なり。の4文字を書かせる問題が登場。多くの受検者が戸惑ったに違いない。初めて聞く言葉に思わず動揺し、霊岳蹊成と誤答。答えが分からなくてもとりあえず適当に書いとけっていうポリシーは貫いた。3.イヒン(渭浜) の器。は、真っ先に渭浜漁父の四字熟語が思い浮かんで迷わず渭浜と解答。私としては、そこまで難問とは感じなかった印象。4.志合えば胡越もコンテイ(昆弟)たり。 も一度space+氏の模試で解いていたので正解したかったが、根蔕と誤答。入念に模試の復習をしたつもりだったが、まだまだ足りず、勉強不足を実感。30-1では、今まで解いた問題を1問残らずしっかりと確認し、穴のない状態で余裕を持って本番に臨むようにしたい。

(九)文章題 20点/30点
超超難。読みは通常レベルだったが、書き取りは相変わらずの鬼畜っぷり。正解したのは1・4・5・6・9の5問のみ。ここで10点も落としたのが非常に悔やまれる。1.宛転 は宛転蛾眉から、6.円顱 は円顱方趾からと四字熟語の知識で導き出すことに成功。2.瑳瑳→些些、3.榴花→柳花、10.寒陋→檻籠 の誤答3問は割と自信があったのに、悉く不正解となった。因みに、7.枯槁→糊口、8.有司→遊子と誤答。7は大見出し語表にも載っているので、正解しておきたかった。結果的に今回も文章題は不発に終わってしまった。正直、ここの対策はかなり難しい。今後もこの難易度が続くようであれば、文章題は最初から10点分を捨てて、いっそのこと20点満点で取り組もうかと思う。

以上、(一)〜(九)までの合計は、
27/38/10/26/9/8/12/16/20→166点/200点

自己採点では一応合格ラインを超えたが、合否結果サービスが始まるまでは、まだまだ安心はできない。仮に今回ノーミスだとしても、目標の9割180点に届いていたのかさえも微妙だ。1つ言えるのは、space+氏のブログ記事問題を完璧に解いていれば、もう10点は取れていたことだろう。そこで目標達成に向けて、

①space+氏の模試、ブログ記事の問題を確実に押さえる。
②漢検漢字辞典の1級配当の大見出し語を確実に自分のものにする。
③漢検漢字辞典を何度も読み込んで語彙力増強に努める。
④1級配当だけでなく、準1級〜5級配当の四字熟語も満遍なく学習する。
⑤syusyu氏の模試、三略といった難しめの問題にも挑戦する。
⑥ミスを極力最小限に抑える。

以上の6項目を今年の目標にしようと思う。そして9割取れた暁には、次の目標である190点を目指してみたい。

思えば、157点で落ちた前回29-2から9点も上がった。あの悔しさを糧として、私はとにかく学習に励んだ。もう一度基礎から徹底的に見直しを図り、直前の3ヶ月間で、

・過去問25年計72回分
・成美堂本試験型17回分
・space+氏の模試41回分
・猫姐模試26回分
・過去問と本試験型の (一)読み の書き取り
・大見出し語表からの問題
・分野別対策
・訓読み書き取り問題
・碧水会資料の復習
・漢字逞筆の音読みと四字熟語

等々、多くのメニューを実践してきた。この3ヶ月は大変有意義なもので、何万問と解いてきたのかは知らないが、この圧倒的な問題演習の量が今回29-3で大きな自信となったことは間違いないだろう。

最後に、これから新規合格を目指すチャレンジャーも、決して過去の難易度に振り回されることなく、問題演習を積み重ねて、大いなる自信を持って本番に臨んでほしい。そして一刻も早く、合格の栄冠を勝ち取ることを願ってやまない。