　今回も前回に続き、基礎体温の話。ただ、子宮筋腫とはあまり関係はない（少しだけ関係するので、一応、前回のブログのリンクも貼っておく）。

『急がば回れ（その７）　子宮筋腫摘出手術後の基礎体温からみる、子宮筋腫と基礎体温の関係』　子宮筋腫と基礎体温は関係するのだろうか？　子宮筋腫もホルモンバランスの異常から起こること(一説によれば)を考えると、私のような「子宮筋腫保持者」は　「ホ…

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　基礎体温を測るのは、めんどくさい。目が覚めて、体温計を口の中に入れて５分ほど待たないといけない。

　ここでいきなりだが、基礎体温をはじめて測った日のことをのべたい。

　朝、いつものように目覚ましのアラームが鳴り、私がアラームをとめて、口のなかに基礎体温計をくわえて、ベット上でじっとしていた。すると、夫がこう言った。

「なにしてんねん？もう起きなアカンやん！体温なんか測ってる場合やないやん！！」

（※余談だが、夫の関西弁は見事に韻を踏んでいる）

　私は、夫にせかされて焦る気持ちをおさえ、「早く体温計が鳴ってほしい！」という思いでいた。たった５分といえども、５分以上の時間が流れたかのようだった。

　ようやく体温計が「ピッピッ」と鳴り、体を起こした。そして、私は、すでにリビングに行って朝食の用意をしていた夫にこう言った。

「あのね、基礎体温を測るのは５分ぐらいかかるの。今度からは５分早めに起きることしましょ。」

　（写真は、私が数年にわたって使っている基礎体温計、オムロンのMC-683L）

　ところで、基礎体温計のなかには、５秒ほどですぐに測れるものもある。おそらくこのブログを読んでくださっている人のなかにも５秒で計測している人もいらっしゃることだろう。じつは、私が愛用してきた基礎体温計・オムロンのMC-683Lも5秒で測ることができる。

　だから、私も、５分も口のなかに体温計をいれているのが億劫なときは５秒で済ませることも何度かあった。だが、やはり５分待つほうが精度が高いようで、実際、５秒で計測される体温と、５分で計測される体温とでは、かなりの差がある。「きっと５分測るほうが精確に違いない」と思い続けて、私は５分間、口のなかに入れて測るようにしてきた。

　けれども、「ある程度」の精度が保証され、時間が短縮できるのであれば、５秒で済ませたいというのも人情である。ただ、精度が担保されないのであれば、やっぱり５分ぐらいの時間をかけて測るべきなんじゃないかとも思う。

　そこで、今回は基礎体温計を測るに際して、パパッと５秒で済ませていいのか、あるいはじっくり５分かけて測るべきなのかについてマジメに考えてみた。

　私が利用している、オムロンのMC-683L（上の写真参照、以下、MC-683Lと省略する）の精度はいかばかりだろうか。その取扱説明書の仕様欄には、測定精度について次のようにある。

±0.05℃（35.00〜38.00℃）、±0.10℃（32.00〜34.99℃，38.01〜42.00℃）（標準室温23℃にて、恒温水槽で実測測定した場合）

　「恒温水槽」という、見慣れない用語が登場したので、こちらについてもネットで調べてみた。

水槽内の水（液体）をヒータにて加熱して、一定の温度に保つ装置です。水温は、室温＋5℃ ～沸騰温度までの間で各種有り温度分布精度は空気の恒温槽より良好です。更に温度性能を良くする為に循環ポンプを搭載したものや試験管やフラスコなどを設置するためのかごや蓋を装備したもの、外部循環機構を装備したものも有ります。

※「ヤマト科学株式会社HP」用語集「恒温水槽」から引用（2021.05.14閲覧）

恒温水槽(こうおんすいそう) - ヤマト科学用語集｜ヤマト科学株式会社恒温水槽とは水槽内の水（液体）をヒータにて加熱して、一定の温度に保つ装置です。水温は、室温＋5℃ ～沸騰温度までの間で各種有り温度分布精度は空気の恒温槽より良好です。更に温度性能を良くする為に循環ポンプを搭載したものや試験管やフ...。ヤマト科学株式会社が運営する用語集。

www.yamato-net.co.jp

　私は文系人間なので、この記載を見ても詳しくは理解できない。ただ、要するに、通常の使用状況ではなくて、いわば実験室のような場所で計測されたものだと思えばいいのだろう。だから、MC-683Lの測定精度についても、一般の家庭で使われている状況とは異なるということがいえるだろう。

　論を進めやすくするために、MC-683Lの取扱説明書の測定精度の記載の一部をもう一度引用する。

±0.05℃（35.00〜38.00℃）、±0.10℃（32.00〜34.99℃，38.01〜42.00℃）（標準室温23℃にて、恒温水槽で実測測定した場合）

　人間の普通体温である35.00から38.00℃のあいだは、誤差が「±0.05℃」とある。ところが、異常な発熱状態にあると想定される38.01から42.00℃のあいだや、異常な低体温状態と想定される32.00から34.99℃のあいだでは、「±0.10℃」の誤差が出るとある。ただ、基礎体温計は、普通の体温計とは違って、高熱が出る状態や低体温状態で使われることが想定されるものではないので、これでいいのかもしれない。

　私はMC-683L以外の基礎体温計を使ったことがなく、ほかの基礎体温計とくらべたことがないので、MC-683Lの体温計としての良し悪しについてはよくわからない。ただ、主治医から以前、このようなことを聞いたことがある。

「一番正確に数値が出るのは、じつは、昔ながらの水銀の体温計。まあ、目盛りとかが見にくいんだけどね。」

　そこで、私は当初、水銀の基礎体温計を探し求めたのであるが、やはり水銀体温計はガラスが割れてしまったときの対処が大変だったり、水銀が有毒ということもあって、市販では売られていなかった（ネットなどで探せばあるかもしれないけども…）。そのため、結局、デジタル体温計であるMC-683Lを近所の家電量販店で購入し、今に至るという次第である。

　MC-683Lを数年間、使い続けて気がついたのは、５秒測定時の数値と５分測定時の数値に「それなり」の違いがあるということだ。

「5秒で測ったときと5分で測ったときでそんなに差があるのなら、やっぱり５分のほうが正確なのかもしれない。」

　そう思うのも人情である。

　ここで、MC-683Lの５秒後測定値と５分後測定値で、どれほどの違いがあるのかについて、私の直近の、高温上昇期から高温期２２日間の数値を示す。

（一段目は前回生理開始日から数えて何日目に当たるか、二段目は５秒測定時の基礎体温、三段目は５秒測定時数値から５分測定時数値を引いたもの。オレンジで示したのが36.70℃を上回った日である。毎度、見にくくて申し訳ない。）

　 17日目の「記録忘れ」とは、５秒測定時の体温を私が記録し忘れたもの。また、19日目に「36.22(?)」とあるのは、５秒測定時の体温が「たしか36.22℃だったはず」と、記憶があいまいなので、このように記した。

　MC-683Lにも、最後に記録した体温値を保存することのできるレジューム機能がついている。ただ、５秒測定時の体温値は、５分測定時の体温値で上書きされてしまう。つまり、５秒測定時の体温値については、私の頭のなかで５秒測定時の体温値を覚えておかないといけないので、このようになった。

　この表で、５秒測定時の値と５分測定時の値の差が、オムロン公表値の±0.05℃の範囲を超えているのは、14日目・16日目・18日目・19日目・21日目・22日目・23日目・27日目・29日目・30日目・「次の生理開始日」の「11日間」であった。

　一方、±0.05℃の範囲を超えていないのは（±0.05℃も含む）、15日目・20日目・24日目・25日目・26日目・28日目・31日目・32日目・33日目・34日目の「1０日間」であった。

　これだけを見れば、MC-683Lの５秒測定値と５分測定値の精度は「半分半分」なように思われる。

　もっとも、この原因は「MC-683Lの精度がよくないから」というよりは、室温・季節・私自身の体温の下降上昇、あるいは私の計測方法が悪いなど、さまざまな理由が考えられる。また、オムロン公表値の「±0.05℃」の精度は、５秒測定値と５分測定値を比較したものではないので、このような統計のとり方が的を得たものなのかは、なんともいえない。必ずしも５分測定値の数値が５秒測定値の数値よりも精確だとはいえないからである。

　ちなみに、14日目から34日目までの５秒測定値と５分測定値の温度差を平均化すると（記録忘れの17日目はのぞき、19日目も36.22℃だったとして計算）、「-0.052℃」という結果が出た。

　オムロンがいうところの精度「±0.05℃（35.00〜38.00℃）」にほぼ近いといえる。

　参考として示した「次の生理開始日」のように、5秒時に36.17℃、5分時に36.38℃と、「-0.21℃」の差が出ている日もあるものの、ざっくりと見れば５秒測定時と５分測定時の体温の差はそれほどないように思われる。だから、「絶対に正確でないと気が済まない人」でなければ、５秒測定で十分ということなのかもしれない。この実験の結果をふまえて、私も今後は５秒で時短で済ませることにした。

補記：

　それにしても、前回ブログで、子宮筋腫摘出直後の高温期の体温が36.70℃を超えている日が多いということを書いたが、今回はそうでもなかった。どうやら、子宮筋腫の有無と基礎体温は関係はあまりないのかもしれない。基礎体温はだいたい３ヶ月測れば、いろいろなことがわかってくるというので、今後も子宮筋腫と基礎体温の関係性については、引き続き探っていきたいと思う。

必要は発明の母（その12） 基礎体温、５秒で測るか、５分で測るか？

必要は発明の母（その12）　基礎体温、５秒で測るか、５分で測るか？