再放映 8月24日(火)8:00-9:00 時代劇専門チャンネル

1980年 NHK  原作 山本周五郎 脚本 柴英三郎 

出演 国広富之 友里千賀子 牟田悌三 丹阿彌谷津子 小栗一也 尾藤イサオ

「下級武家の四男・大四郎は一生所帯を持てない『ひやめし』です。しかし『ひやめし』のとった大胆な行動におおらかな人柄が現れます。それを家老が見ています」

(DVD等も配信もありません)      2021,7,25改訂版

 

 

(概要)山本周五郎原作のほのぼのとしたドラマです。人としての在り方を問い直すドラマです。人間はいつも誠実で正直でなければいけません。誠実に正直に生きてもなかなか人生うまくいきませんが、そう生きなければ心の平安はありません。これは大人の童話です。どうしてこんなに運がよいのか解き明かさなければなりません。

(物語)いつもは結末は書きませんが、この物語はご覧になれないかもしれませんので、ドラマの趣旨がわかるように書きますので、ご承知おき下さい。

 金沢藩下級武士の四男・大四郎(国広富之)は剣術より古書です。本屋へ通う道すがら見かけるひとりの娘・ぬい(友里千賀子)を見染めます。それを母親に言います。

「ある娘を見染めてしまったんです。私も26になりましたので、そろそろ嫁をもらっても早すぎないと思うのですが」

「嫁にもらうと言う訳にもいかないでしょうに。あなたは四男坊でしょ」と母。

 大四郎の家は長男が家督を継ぎ、次男は300石の家禄から50石を分けて分家、3男は190石の家の養子、大四郎はまだ「ひやめし」でした。親戚に一生ひやめしで歳をとってしまった叔父がいて、大四郎に次のように言います。

「腹は立てちゃいかんよ。立てたら切りがない。おとなしく運命に従うと言うことだ。わし位の干し飯、ひやめしが干上がると、それなりに達観できるし、それなりに人生の味わいも感じるようになるものだ。そのお女中のことはあきらめることだな。どう考えても見込みがない」

 ある日「ひやめし」は日頃のうっぷんを晴らそうと、有名な料亭に一人で上がりこみ料理を食べています。その姿が一風変わっていたので、たまたま居合わせた家老の目にとまりました。家老はどのような青年か試してみたくなりました。そして、家老の札入れを料亭でその青年に拾わせることにします。家老の立てた策略でこの「ひやめし」は人間性を試されます。

 「ひやめし」は女将に部屋を替わってくださいと頼まれ、家老のいた部屋に案内されます。すると座布団の下に札入れが落ちています。女将は家老から、青年が札入れを拾ったらその青年に家老の家に届けさせるようにと頼まれていました。

 しかし、「ひやめし」が家老に札入れを届けると、家老は「一両足りない」と言うのです。酷い話です。盗んだわけでもないのに、一両足りないと文句を言われるのです。でも「ひやめし」は怒りません。それどころか、逆に自分の持ちあわせていたなけなしの一両を入れて、家老に返すのです。

 後日、家老は「ひやめし」の家に使いをたてて謝ってきます。家の人たちは「ひやめし」の善行が家老の目にとまったということでびっくりしますが、「ひやめし」は内心穏やかではありません。それだけではありません。ご家老はすっかり大四郎が気に入ったので、一人娘の婿になってくれないかと頼んできたのです。「ひやめし」は家老に自分の本心を言いたくて、言わずにおれなくて、あるいは家老が「ひやめし」を過大評価しているのに耐えられなくて、家老の家に出向きます。

 大四郎は家老に料亭で食事をとった理由を説明します。「ある女性を見染めました。しかし、ひやめしの分際で嫁をとることはかないません」

家老は「それでやけになったんだな。嫁の話をすれば飛びついてくると思ったんだが。若い藩士の気持ちもわからず、こんなことを言って申し訳なかった。許してくれ」と頭を下げます。大四郎も恐縮して頭を下げます。家老は大四郎の礼の尽くし方にまた感心します。

 大四郎は奥小姓に取り立てられて、御文庫出仕を仰せつけられます。当面10人扶持、分家が決まれば150石もらい、家も与えられました。

 大四郎が奥小姓に取り立てられる前の話です。大四郎は見染めた女性については、みんながひやめしは嫁をとれないと言うのですっかりあきらめていました。いつもすれ違っていた道を歩く時間も変えました。それで会うこともなくなりました。実はその女性も「ひやめし」を見染めていました。「ひやめし」に恋い焦がれて、着物を「ひやめし」の為に寸法もわからないのに仕立てます。そして、何とか一緒になれるようにと神社に毎日お参りし、折鶴を奉納していたのです。それこそご家老の一人娘でした。二人はめでたく結婚しました。

 「ひやめし」は自分の一両を包んで家老に返した理由をご家老に「失礼ながら面倒くさかっただけでございます」と説明します。「好きな女性がいたのに、どうにもならない『ひやめし』の自分に嫌気がさして、何もかもが面倒くさくなり、あの料亭で憂さ晴らしをしていたのでございます。酒を飲んでも心には嵐が吹き荒れておりました。決して型破りでも、おおらかでもないのです。あの一両も面倒くさかったからだけでございます」と言うのでした。そして「ある女性を見染めました」との話を続いてしたのでした。

 

(放映時間のお知らせ)(「再掲載予定」は良い映画が他に見つかれば掲載しないこともあります)
紹介作品 放送日 曜日 チャンネル 放映時間 ブログ掲載日
TOKYO MER~走る緊急救命室~」 毎週 TBS 21:00-22:00 2021/7/22
「Woman 」 7月27-29日 火水木 日本映画専門チャンネル 17:00-20:30 2021/7/23
「悪人伝」 7月27日 WOWOWシネマ 3:15-5:15 2021/7/24
「ナイト・ドクター」 毎週 フジテレビ 21:00-22:00 2021/7/25
「折鶴 ひやめし物語」 7月31日 時代劇専門チャンネル 22:00-23:00 2021/7/26
「人情紙風船」 8月1日 日本映画専門チャンネル 6:20-8:00 未掲載
「未知との遭遇」 8月1日 ムービープラス 16:00 未掲載