2020年 日本東宝  監督・脚本 遊川和彦  出演 波留 成田凌 杉咲花

「3月は特別な月。別れの月。いろいろな思いがありながら、他の人に気を遣って言えずにいた経験は誰にでもあるでしょう。言えば別の人生があったのに、でも、後悔はしません」

(有料配信されています。HD等も配信サイトで販売されています)

 

 宮城中央交通の朝の通学の路線バスを追いかけるセーラー服の結城弥生(波留)、バスには学生服の山田太郎(成田凌)が乗っています。バスは混んでいませんでした。1986年3月1日。

「待てー」と走りながら大声で叫ぶ弥生はバスを止める勢いがあります。止まります。

弥生がバスに乗り込むと、バスの中にいた親友の渡辺さくら(杉咲花)がしかめっ面をして、

「みんな、あきれてるよ」

弥生は後部座席にいる山田太郎を見つけます。近寄って、

「山田さ、サッカー続けたら。何でやめたのよ、他に取り得もないのに」

「いやいや、弥生には関係ないって」

「さくらが心配してんの。山田がサッカーやってんの見たら、元気が出るんだって」

山田が思わずさくらを見ると、さくらは目をそらせてしまいます。

「なんていうか、うちのサッカー部じゃ俺の溢れる才能生かしきれないないんだよなあ」

「ちょっとうまいからって、先輩に逆らったらいじめられて嫌になったんでしょ」

「教師かよ、弥生、さくらにも言っとけよ。さくらが元気になろうが死のうが関係ない!」

とニヤニヤしながら言ったところ、弥生の形相が変わり、いきなり山田の頬をひっぱたきます。山田は顔が横向きになるくらいの強い衝撃でした。

「何すんだよ!!」と頬を押さえて、弥生を見ると、弥生は悲しい顔をしています。山田はその顔に心が震えました。あまりの剣幕にびっくりしました。

 さくらと弥生は同級生でした。登校すると、その二人の教室の黒板いっぱいに

「W・SさんはAIDSに感染しています!!!」と書かれています。弥生が教室の一番前の教壇の手前で「誰がこんなことしたの?!」と怒ります。W・Sとはさくらのことです。

担任が来て、黒板を消します。黒板に書かれた内容については何も言いません。

「先生、それだけですか?どうしてこんなひどいことをした人間を注意しないんですか?どうしてエイズに関する間違った知識もきちんと正さないんですか?さくらの病気のこと聞いてるんでしょう?」

 弥生は先生に見切りをつけ、さくらに近寄り、優しくさくらにキスします。ざわめきが起こります。山田はこのクラスではありませんでしたが、廊下で声が聞こえてからこの教室に入ってきていて、一部始終を見ていました。

「ごめん、さくら。ファーストキス奪った!?」

「お互い様だし」とさくらが返します。弥生は前の教壇に立って、全員に向かいます。

「さくらはね、輸血された血液製剤から感染したただの被害者なの。それにエイズは傷口に唾液や血液が入らない限りうつらないの。そんなことも知らないで、下らないデマ流すのやめてくれる。あたしの親友を傷つける人間は絶対許さないからね」

 山田はこの時に弥生を好きになりました。さくらは山田が好きでした。弥生も山田が好きでした。でも、弥生はさくらを一番に考えていますから、さくらの気持ちを優先します。

 さくらは病状が進んで入院しています。病室に弥生と山田が見舞いにきています。山田はこの日から自分の山田の「山」と太郎の「太」をとって「山太」、「サンタ」と呼んでくれと言います。サンタはサッカーの有名選手になった時のサインを考えて、自分で「Santa」のサインを披露します。よくできています。さくらは二人が来て病室が明るくなって、

「盆と正月が一緒に来たみたい」と言います。すると、山田は

「盆とクリスマスにしてくれよ。サンタなんだから」と言います。

「そうだね。好きだよ、サンタ」と誤解を招くような言い方をしてしまいます。弥生もうまくさくらが告白したように思いましたが、なんか寂しく感じていました。

「あ、違う、違う、って呼ぶのがね(山田を好きではなくってサンタと呼ぶのが好き、とごまかしたのです)」

「だろ、よかった」とサンタ。

「弥生とサンタには今のままでいて欲しい。二人は将来素晴らしい大人になると思う。誰よりも自由で、優しくて、周りの人の辛さや寂しさを癒してくれるような。だから、ずっと変わらないでいてね」

「任せとけって、な」

「わかったから、さくらも約束してよ。来年の卒業式、絶対一緒に出るって」

「わかった」

 でも、さくらは死んでしまい、卒業式に出ることはできませんでした。

 3月は節目の時です。二人のそれからの30年は全くの紆余曲折でした。さくらはこの二人が結婚するものと思っていました。でも、二人は別々の人生を歩みます。なかなか接点もありませんでした。東北大震災と大津波もありました。肉親とのわかれ、交通事故、離婚、転職、借金、配偶者の死、いろいろな経験、挫折をしました。さくらの父親が、30年前の二人へのさくらのメッセージが入ったカセットテープを見つけたと言ってきます。

 人生は予定通り、期待通りにはいきません。当たり前です。さくらのテープには想像もしていなかった言葉が残されていました。若くして死んでしまうと言うことの悲しみが誰にでもわかる言葉で語られ、二人はさくらに思いをはせるのです。 

 

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