アタシね、お世辞にも裕福な家庭じゃなかった。
幼い頃から、何となく我が家にはお金がないな〜って感じてたから。
中学3年生になるときかな、「高校には行かない」って言ってたの。
高校に行ったらお金がかかるでしょ?
高校に行く意義も見い出せなかったし。
でも、父親が言うのね。
「ウチの家族には、高校に行ったヤツはいない」って。
父も母も中卒だったんだよね。
「だから、高校がどんなところか、行って確かめてこないか?」って。
「せめて高校ぐらいは出てほしい」じゃないの。
「どんなところか確かめてこい」なの。
斬新よね。
それで、高校生になった。
下から数えた方が早いくらいの公立高校。
何の特色もない普通科。
トイレはタバコの煙で充満。
でも、先生たちは声すらかけない。
見て見ぬフリね。
女の子たちは、当時流行っていたルーズソックスにミニスカート。
周りの学校から「ピンク高校」なんて揶揄されていたっけ。
そんな学校で3年間、のんびり過ごしたの。
部活動に明け暮れる普通の高校生。
友達とバンドやったり、女の子と遊んだり。
平凡な高校生活だった。
それで、高校3年生になった。
よくも悪くもない成績だったし、大学に行く意味だって見い出せなかったから、高校出たら働くつもりだったの。
そんなとき、また父親が言うわけよ。
「ウチの家族には、大学に行ったヤツはいない」って、同じセリフよね。
「だから、大学がどんなところか、行って確かめてこい」って。
そっか〜。
んじゃ、せっかくだから、大学でも行ってみるか。
そんなノリで、受験生になったのよね。