上り坂をゆっくり手を取りながら歩く三橋さん夫妻=いずれも横浜市旭区
【及川綾子】 自宅で栽培したゴーヤを使ったチャンプルー、薬味たっぷりの豚肉の冷しゃぶ……。横浜市旭区の三橋良博さん(60)は自宅2階で食事を作り、晩酌をする。日本酒がのどを通ると、「ほっと一息」を実感する。
若年性認知症の妻芳枝さん(61)が2010年11月に横浜ほうゆう病院(同区)に入院して1年が過ぎた頃から、ようやく気が休まる時間ができた。父の良夫さん(享年96)は今年9月に亡くなった。2世帯住宅の1階には、母美代子さん(86)が暮らす。1階に下り、母の世話をしようとも考えるが、自分の時間も大切にしたい。
入院してすぐの芳枝さんは、病棟内を一日中歩き回り、足の裏の皮がむけてしまった。4年目に入った今は、落ち着いて暮らしている。看護師らは穏やかな口調で接し、仕事や趣味、好きだったことなどの話題から、打ち解ける糸口を探す。芳枝さんの場合は、夫の良博さんと愛犬の「ラン」だった。
「だんなさん優しいね」と看護師が言うと、芳枝さんは「そうなのよ」と笑顔になる。院内で「芳枝さんに、こんなこと話してみたら良かったよ」と情報を共有する。良博さんは「何かあったら、これを見ると落ち着きますから」と、ランの写真を病院に渡した。
良博さんに髪の毛をとかしてもらう芳枝さん
2人を診察している小田原俊成医師(51)は「良博さんが心身ともに健康で、2人の関係が一日も長く続くことが幸せ」と話す。在宅で一緒に暮らすことが、必ずしも一番いい選択肢ではないという考えだ。
介護が必要な人の「終のすみか」とされる特別養護老人ホームに、いま申し込みをしている。最初は上限の5カ所に申し込んだが、順番は一番上で66番。104番のところもあった。最近、20番台に上がり、入所の現実味が帯びてきた。
病院の穏やかな生活が変わってしまうことに不安もあるが、一方で、生活感がある特養の方がいいのでは――。心は揺れ動く。
良博さんが芳枝さんと作った来年のカレンダー。干支(えと)にちなんだ馬が駆ける
良博さんはほぼ毎日、夕方5時半に芳枝さんの面会に行く。病院では車いすだ。「お父さんだよ、来たよ」と言うと、芳枝さんの表情はパッと明るくなる。まるで何年ぶりかの再会のようだ。「いつも、新鮮でいいですね」と周囲から冷やかされることも。
こんな日ばかりではない。目つきが鋭くて怒っているような時や、目がうつろで気持ちがどこかへ行っているような日もある。
それから、髪をブラシでとかし、唇にクリームを塗ってあげる。30分ほど一緒に歩いてから、午後6時に夕食を食べさせる。
帰る時には、何も言わずにそっと病院を出る。「明日は、どんな芳枝が待っているかな」=終わり
(連載2部は「在宅でみる」です)
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「団塊の世代」が75歳以上になり、医療・介護の提供体制が追いつかなくなる「2025年問題」について考える企画を続けていきます。介護や在宅医療などのご体験、ご意見を募集します。朝日新聞横浜総局「2025年問題取材班」あてに、ご連絡先を明記のうえ、郵送かファクス、メールでお願いします。
(朝日新聞 2013年11月23日掲載)
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