これは全く嘘の話なんですが
僕が中学三年生だった時、いわゆる高校受験というイベントに備えてお塾なんぞに通っておりました。
そこにとても嫌いな先生が居て彼は塾長と呼ばれる存在で数学の担当でなかなか明るく楽しい授業をする人だったのですが、まぁ年頃の多感なしかも態度の悪い僕が相当気に入らなかったのでしょう。
誰かが宿題を忘れても問題に答えられなくても何ら怒る様子もなかったのですが、僕にだけなかなかの冷ややかなトーンで「はい、次からはな、、」「またか、、」等
周りも気を使うくらいのあしらい方でもちろん僕もそれに対して何も言わず何のやりとりもなく、時が経つにつれて距離は広がって行きました。
今考えても嫌いだったというか苦手だったというか。とにかく二人が相容れる事はありませんでした。
そして時は流れ受験も終わり緊張の合格発表当日
同じ中学校の友人達と発表の会場へ行き血眼になって自分の番号を探していました。
、、、
、、、
「あった!」「あった!」「あった?」「あった?」「あたぁ!」「あーたたたたたたたた」「ほぅわたぁ!!」「おまえはもう死んでいる」「ひでぶっ」
長い道のりでしたが友人たちも皆合格していました。
安心して帰路につこうとすると友人の一人が
「おれ先に塾行って先生に報告してくるわ」
さらに
「おう、そやったな!いこいこ」
などと言い出し、まぁ正直めんどくさかったですがみんなのテンションの手前もうええやんとも言いだせずにしぶしぶ行く事にしました。
そして塾に着き教員室に入るとすでに例の塾長に合格を報告しに来てるやつ、恐らく落ちたのであろう泣いてるやつなんかが居て
そして友人たちも「合格しました。ありがとうございました。」
なんてあいさつをしているなか僕は輪にも入らず適当に首だけちょこんと下げて帰ろうとすると塾長に
「おい、秦野だけちょっと残れ」
と言われ、(おいおい今さらなんやねん)と思いながら立っていると、テレビの方を指されて見てみるとちょうどその日は国際女子マラソンの日で優勝の記者会見か何かが映っていて、先生がそれを見ながら
「おい秦野、お前が合格してようがしてまいがおれはどうでもいいけどな、、、高橋尚子も金メダルやったわ。」
僕は黙ってゆっくりと大きく頭を下げて、部屋をあとにし一歩一歩踏みしめながら塾の階段を降りて行きました。