私は天才科学者・宝条である。
本来は科学者だが、何かの手違いで食品開発の依頼が届いた。
前回のリフォームと比べると、だいぶ科学者向けの依頼になってきたが、
それでもこの依頼もお門違いには変わりない。
断ろうかと思ったが、私は最近ガチャポンに無我夢中であり、
そろそろお金が無くなってきたのでしぶしぶ引き受けることにした。
今のガチャポンはクオリティが高い反面、
値段が200円と高価格というところが欠点だ。
200円というと、私の年収の3分の1にも匹敵するから驚きだ。
私のような天才科学者でも、苦労は絶えないのである。
食品開発の依頼は次の通りである。
Dear.宝条博士
我々はプリン一筋の会社なのですが、近年弊社の売り上げが落ち込み、今まさに倒産の危機に瀕しています(オー,ノー!)。そこで、新商品を開発しようと思っていますが、宝条博士のお知恵を借りたく思い依頼をお願いしました。新しいプリンを考えてください。
ちなみに、商品名は『ブリブリプリン』です。よろしくお願いします。
From.スキャットマン
ますは下の『写真1』をごらん頂きたい。
これが現在販売しているプリンであるが、
特にこれと言った特徴は見えず、
これでは売り上げが伸びないのも無理はないな、ふはははと私は思った。
一見難しそうな依頼にも思えるが、
実はこう見えて私はプリンのヘビーイーターである。
カスタマーの気持ちなら痛いほど分かる。
これは楽な仕事だな、ふはははと私は思った。
通常我々が思うプリンと言うのは、
カスタード80%:カラメル20%の割合で出来ている。
だが、これがそもそもの間違いなのだ。
私は新商品に相応しいカスタードとカラメルの黄金比を割り出すべく、
研究施設にある全てのスーパーコンピュータを起動させた。
デスクトップPCが膨大な数の情報演算を行い、
ノートPCがネット情報を自動スキャン、解析にかけ、
プレイステーション2が『テイルズ・オブ・ジ・アビス』のムービーを流し、
電動鉛筆削りが鉛筆の木部を削り上げ、
電動ミキサーはバナナを粉々にした。
そして私は遂に新商品に相応しい、
最も美しいプリンの黄金比をはじき出すことに成功した。
その計算に基づいて製造されたプリンが『写真2』である。
写真2
冗談が過ぎた、と少し思った私は、
しばらく我が家の地下室にこもりアダルトサイトを駆け巡った。
二日後、案の定依頼主から長い手紙が届いた。
宝条へ
これがあなたの結論ですか。正直、弊社の社長から工場長まで動揺が隠し切れません。ある女性社員がこれを初めて見たとき、「この黒いのはなんでしょう? チョコ風味のカスタードでしょうか? きっとそうですよね。まさか100%カラメルのプリンを作る馬鹿はいないですもんね。というか、100%カラメルだったら、それはもうプリンじゃなくてカラメルですよね。あははは。(パクッ) カラメルだった!!!」といってショック死しました。それ以外に問いただしたいところはたくさんあるのですが、大きなところを言わせて貰うと、なぜプリンに毛を生やそうと思ったのですか? 確かに豚足のように毛の生えた食べ物がありますが、どうしてプリンにまで毛を生やそうとお考えになったのでしょうか。しかもあれほどの剛毛を。それと、右上にあるのは何なのでしょうか? こればっかりは我々スタッフも頭を抱えて考えざるを得ず、緊急会議の末、「これはやはりロープウェーではないか」という結論出したのですが、(もしロープウェーじゃなかったらすいません)なぜロープウェーを登場させたのですか?普段冷静な社長が「そんな馬鹿な」とまで言っておられました。はっきり言わせていただきますと、この製品は採用できません。真面目にやってください。
From.スキャットマン
ロープウェーは正しい、と私は思った。
あれはロープウェーである。
今回の製品でもっとも力を注いだ部分であった。
再開発の依頼が届き、私はまた頭を悩ませた。
これ以上のプリンは考え付かなかったのである。
そのとき、下のフロアから母親が晩ご飯だよと呼んでくれた。
私はいそいそと階段をくだり、晩ご飯を食べた。
それで、もう面倒臭いからこれでいいやと思い、
依頼のプリンを晩ご飯中に製造にした。
途中、ロープウェーから『ドスゲビッチ星人』の地球侵攻作戦が始まるなど
思わぬアクシデントが襲い掛かったが、構わず私は強行した。
完成したのが『写真3』である。
お腹一杯になった私は、そそくさと二階にのぼり、
部屋に鍵をかけた。
私は天才科学者・宝条。
この世に不可能は決してない。

