昨夜の“国民の映画”
舞台としては初めて観る三谷作品でした。
三谷幸喜と言えばコメディと思われるでしょう。
でも今回は違います。
三谷幸喜生誕50周年感謝祭作品の1つである
“国民の映画”はナチス・ドイツ時代、1941年秋、ベルリンの夜が舞台。
主人公ゲッベルスはヒトラー内閣がプロガンダのために作った宣伝省の初代宣伝大臣。
愛する作品は“風と共に去りぬ”
彼は最高のスタッフとキャストを集めて自分が理想とする映画を作ろうと考える。
それらの人物をパーティーに集め話始める。
アメリカの作った“風と共に去りぬ”を越える
全ドイツ国民が誇りに思う“国民の映画”を。
実在した人物を元に描かれています。
随所に笑いを取り入れていて、あっという間に引き込まれてしまいました。
出演者は小日向文世、段田安則、白井晃、風間杜夫
小林隆、小林勝也、石田ゆり子ほか
そうそうたるメンバー。
白井さんは声量があり、歌も上手い。
肉襦袢を着けての役でした。
クライマックスでは、ある人物がつい口を滑らせた事がきっかけで
ユダヤ人大量虐殺に向けての計画が進んでいる話に…
さすがに観る者すべてが静まり返りました。
第一幕 60分
休 憩 15分
第二幕 105分
長さを感じさせない。
笑いだけでない人間模様。
あれだけの重いテーマを見事にまとめ上げた三谷作品。
拍手は鳴り止まず、3回にもおよぶカーテンコール
最後は観客すべてがスタンディングオベーション
これほどの光景を今まで見たことがありません。
素晴らしい作品でした。
集団の怖さ、それに流されない強さ。
更には人間の尊厳や自由。そして“無意識”の罪。
無意識に人を傷付ける事の罪深さ。
石田ゆり子演じる奥様が言った一番罪深い台詞。
その言葉があまりに残酷で劇中一番印象に残る台詞になりました。
考えさせられました。
そしてその余韻は今も続いています。