本来、「分がるやつだげ分がればいい」ネタは、映画やテレビドラマではご法度だろう。ネタの意味が分からなければ、だれでも疎外された気持ちになり、作品自体がつまらないと思ってしまうからだ。それを逆手に取り、小ネタで連帯感を醸成させるという画期的な手法を定着させたのが、フジテレビ系の刑事ドラマ「踊る大捜査線」(1997年)。ファンの楽しみは、脇役や小道具に至るまで細かく設定されたネタを見つけること。それは4作続いた劇場版にも継承され、2012年公開の最終作「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」まで多くの人々を引きつけた。
「小ネタ映画」が増えたのはテレビ局が製作した、いわゆるテレビ局映画の影響が大きい。小ネタ満載の劇場版の新作を公開する前に、復習として昔のテレビシリーズを放映するパターンも今や常道だ。11日公開の「トリック劇場版 ラストステージ」は、自称・天才マジシャンの山田(仲間由紀恵)と物理学者の上田(阿部寛)の迷コンビが小ネタを挟みながら怪事件を解明するコメディーで、テレビ朝日系は年末年始に過去のテレビシリーズや旧劇場版を放映した,ケリー。テレビ局側としても人気シリーズゆえ一定の視聴率は取れるし、予算をかけずに“過去の遺産”を使い回せるという「一粒で二度おいしい」事情がある。
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