福島県における家庭ごみ排出量は、”全国トップクラスに多い”状況が続いており、特に家庭系(生活系)ごみがその主原因となっている。以下では、その現状と対策案を示す。

 

 

現状と課題

 

2022年度の福島県1人1日当たりごみ排出量は1,021 gで、富山県と並び全国ワースト1位であり、福島市では令和7年3月時点で1,014 g、生活系ごみ713 g(県全体の70%以上)を占めている。

対して、ゴミ排出量の少ない都道府県は長野(802 g)、京都(770 g)、滋賀(789 g)など。長野県は県全体で「1日800 g以下」を目標に、フードロス削減などに取り組んでいる。

福島県は、事業系ごみは全国平均程度の第30位であるのに対し、生活系ごみは全国ワースト2位であり、家庭ごみが圧倒的に多くなってる。その最大の要因が生ごみで、高い水分含有量がごみ量を押し上げている。

また、東日本大震災以降、片付けごみにより一時増加した後も福島県のごみ排出量は高止まりしており、他県のような減少傾向に戻っていないことも問題の一つである。
 
 
現在までに福島県で取り組まれている対策
 

福島県では3Rの推進に取り組んでおり、コンポストやキエーロ(家庭用生ごみ処理機)の導入によって、1日あたり約75 gのごみ削減と、住民の72%以上が「意識が高まった」と回答した。

 
ここで、他自治体の成功事例のうち、実現可能性のあるものをまとめる。
 

他県の例

長野県の「チャレンジ800」運動では家庭・事業者への働きかけが強く、県公式・地元メディアでの早期データ公開により住民の危機意識を高めている。
京都市・滋賀県・横浜市では「食べきり協力店」の認定で、飲食店にハーフメニューや持ち帰り促進を推進。

富士吉田市では「自動プレスごみ箱」を導入し、ゴミ回収効率と可視化を推進している。

東京都杉並区では飲食店に持ち帰りボックスを配布し、生ごみ削減へ貢献。

 

福島県向け独自プラン

  1. データ見える化 + 情報公開戦略

    • 長野モデルを模倣し、各市町村の「1人1日ゴミ量」「生ごみ割合」を月単位で公開。地元紙・地元SNSとも連携して広報。

  2. 家庭・地域向け技術助成

    • 家庭用コンポスト・キエーロの貸出+購入助成に加え、高性能の“自動プレスごみ箱”を公共施設や観光地に設置(富士吉田市)。

    • 「水切りチャレンジ週間」「家庭間ごみ量コンテスト」など地域イベント化。

  3. 事業者との連携制度

    • 京都市方式の「食べきり協力店」制度を福島版にも導入。ロゴ付与+PR支援で店舗と消費者双方の参加促進。

    • フードドライブ・シェアリング連携で食品ロス・資源循環を実現。

  4. ごみ袋有料化の段階的導入

    • 日野市モデルを参考に、可燃袋を試験段階で有料化。家庭での水切り徹底とのセット施策として実施。

  5. 教育・地域参加

    • 学校教育で「食品ロス削減クラス」+地域でのクリーンイベント(香川県高松市の大会)。

 
 

総括と今後

  • 現状家庭系ごみ(特に生ごみ)の圧倒的多さにより、福島は全国ワースト級。

  • 他自治体成功パターンデータ公開+制度設計(有料化・協力店制度)+技術導入(プレス箱や家庭用装置)+市民参加。

  • 福島版プラン

    1. データ見える化の徹底

    2. 技術助成+公共施設への設置

    3. ごみ袋有料化の試験導入

    4. 事業者・家庭向け制度拡充

    5. 教育&地域イベント

    6. 粗大ゴミ再利用アプリ展開

  • 期待成果家庭ゴミ排出量の200 g超の削減/事業系と観光由来の混入ごみ対策/リユース・リデュース意識向上。