早いものでこの連載も40回目を迎えました。
あと数回で完結の予定です。
今日は地下鉄4号線の三元坊(サンユアンファン)の紹介です。
前回紹介した北寺塔から3つ南に行ったところにある駅です。
ひとつ前の駅が1号線と交わっている楽橋ですので、今回からは蘇州の南半分に入ります。
三元坊というのは元々は小道の名前なのですが、今では小さな広場になっています。
「元」というのは現在では中国の通貨単位の名前ですが、「一等賞」という意味もあります。
三元坊の「三元」は3つの一等賞という意味で、日本風に言えば「三冠王」という感じです。
清の時代に、蘇州出身の钱棨(チェン・チー)という人が科挙の試験を受けたところ、都市・州・全国の全てで一等賞になったことを称え、当時の皇帝が記念碑を立ててくれたことから、その記念碑があった小道が「三元坊」と名付けられました(「坊」は小道という意味です)。
こちらがそのことを説明する看板。
その碑は現存していないようですが、代わりに新たに作られた钱さんの石像がありました。
個人的には全国で1位だったら都市でも州でも1位なのが当たり前なので、なぜ敢えて三冠王と讃えたのか謎なのですが。。。
ということで、この辺りは学問にゆかりがある場所らしく、蘇州図書館もあります。
しかし、現代の一般庶民にとってのこの駅の重要性は、十全街があることでしょう。
十全街は、蘇州にあるいくつかの商店街の中で、かつてはもっともオシャレだった場所です。
私の勝手なイメージとしては、観前街が上野と浅草と原宿を合体させたような場所であるのに対し、十全街は青山みたいな場所だったのだろうと思います。
これまでは地下鉄駅からは遠い場所だったのですが、4号線ができたおかげで気軽に行けるようになりました。
但し、十全街の商店街は東西にかなり長く、三元坊駅があるのはその一番西の端なので、目的のお店が十全街の東の方や真ん中辺にある場合にはあまり便利ではありません。
かつて、蘇州に外国人が少なかった頃は、洋食屋や欧米風のバーはこの場所にしかなかったのだそうで、現在でもそれっぽいアルファベットの看板があちこちに見受けられます。
但し、全てが洋風というわけでもなく、中国っぽい店構えの建物も混在しています。
こちらは蘇州麺の名店「同得興」です(但し、本店ではありません)。
こちらは「南国賓館」というホテル。
ホテルの前には肉まんの屋台が出ています。僕は買ったことがないのですが、かなり美味しいらしいです。
残念ながら現在では十全街はかなり寂れてしまいます。
オシャレな買い物スポットの座を園区や新区に取られてしまったからだと思います。
十全街から1ブロック南に入ったところに、蘇州古典園林のひとつである網師園があります。蘇州には世界遺産に登録されている園林(庭園のことです)が9か所あるのですが、網師園もそのひとつです。
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