マグロ、中トロ祭で盛り上がった翌日、昼過ぎだった。


お昼前にも電話した父からまた着信スマホ気づき


どうしたん~?口笛


と電話に出たら、


おじいちゃん深刻な話なんやけどな


そう言った父の声は低くかすれていた滝汗

あ、来た。そう思ったら、予想通りの言葉が続いた。


おじいちゃん今、部屋に先生が来てな。

どうやら、ワシはもうあかんみたいやな。


昨日があまりにも元気で、明るく楽しく過ごしたせいで、私はすっかり油断してたチーン


まず父に喋らせ、自分の返答をその隙に考えようとして言った。


え?何よ?あかんって、何が?アセアセ


父が言うには、

突然、病室に主治医がやってきて、痛みの具合などを聞かれたらしい。

そして、その後にきっと父が将来的には、立って歩けるようになりたいという希望を話したのだと言う。


それに対し、主治医は父に言った。


お父さんあなたはもう治りません。病気は悪くなる一方で、この先立つことはおろか、座ることも出来るようにはなりません。


余命宣告された訳ではなかった。

ただ、いつかは立って歩いて、家に帰って運転して(←これはマジでやめてほしいけど)と考えていた父にとっては、余命宣告レベルのショックを受けていた。


おじいちゃんもうワシは座ることもできひんのんか。ワシはずっと寝たきりか


トイレで倒れた時に、多分圧迫骨折し、父は入院した。前のがん専門病院では無理やり車椅子にも乗っていたけど、この病院に移ってからはベッドから動くことはなかった。


今、緩和ケア病棟という場所にいる父が、余命云々ではなく、立てるかどうかということで、ショックを受けてるのは、多分かなりズレているんだろうが、私は父がかわいそうで仕方なかった。


おじいちゃんそれでな、先生が、家族には全部伝えてるって言うとるんや。お前、知っとったんか?

言うてくれたら良かったのに。まぁ、そんなこと言えんわなぁ…


涙を我慢して話そうとすると、声がう涙声になる。少しでも涙声を出すと、その後が止まらなくなりそうだった。



何を言っていいかわからないまま、私はこれまでの父の治療の経緯を言い聞かせた。これまで何回と言い聞かせた治療の移り変わり。移り変わりと言っても、私が継続的に父に付き添うようになったのは、抗がん剤治療を終えましょうという話をされ時からだった。


積極的治療を終えることに納得しない父を説得しつつ、最後の放射線治療を受けた。痛みをこらえて、辛い姿勢で受けたその治療も、効果は見られなかった。


医療用麻薬を処方され、屯用の薬も出されたが、父は痛みを我慢して、朝晩の麻薬以外の服用はしなかった。痛みが和らぐことはなく、医療用麻薬の副作用で、家の中でもふらつき、転倒することが増えた。


医療用麻薬の安全性?を説明され、痛みを我慢することの体の負担についてを知り、父はやっと医療用麻薬を受け入れ、訪問により緩和治療を受け始めた。看護師さんや、薬剤師さんにも来ていただいていたが、痛みが和らぐことはなかった。


そんな中、トイレで倒れて、たまたまがん専門病院に搬送され、無理をお願いして入院、そして転院しての今。転院前に調整された薬が今やっと効いてきた。

がん専門病院に通院していた頃より、父はげっそりと痩せたが、今の方が、よく食べ、元気になった。


お父さんのこれまでの治療は、痛みを抑えて、しっかり食べて、眠れるように、快適に過ごすために薬を調整してもらって、やっとここまで来れたんやろ?治療は成功してるやん。でも圧迫骨折してしまって、それで今立たれへんのは事実やん。体が元気になったら上体起こせるようになるかもしれへんやん。治療と骨折は別やん!そんなん、本人次第やん!


投げやりな言葉を吐く父に、叱るように声をかけた。


そんな風に言われたからって、もうあかんみたいに言うのおかしいやろ。これまでかって、先生が抗がん剤治療やめる言うてもやめんかったし、放射線もお父さんがやるやる言うから先生もしたんやんか。

さんざん先生の言うこと聞かんと来たくせに、こんなときだけ先生の言うこと聞くんかいな!


改めて書くと、なんのこっちゃ?って感じだけど、訳わからんこと言い合ってた親子は、なぜか通じあったようで、父は言った爆笑


おじいちゃんお前の言う通りや。骨がついたら、ワシはまず座れるようになることを目標にするわ。座れるいうても、ベッドの横に足をだらんと降ろすだけやけどな。


そうやで、でも無理はしたらあかんねんで。お父さんが頑張るなら、私らはいくらでも協力するからね。


おじいちゃん先生は無理したら命縮めるみたいなこと言うとったけど、ワシがやろうと思ったことをして、3年生きるとこを2年になったとしても、それはそれでええと思うとる!



・・・え?

3年が2年?

3年先とか言うなら、私だってどうなってるかわからんレベルでない?


余命3年のスタンスで話してたのね?滝汗

いや、もちろん、それでもいいけど・・

ワシはもうあかん・・と言ってきた時は、今後の身辺整理とかも口走ってたのでキョロキョロ

ホッとしたような、よくわからん話の結末でした。


こんな感じで、いくら言ってもわからんから、先生も直々に切り込んで来たのでしょうか?

結局娘のごまかしにより、また本人に真実は伝わりませんでした。

先生、もうええやん。そっとしといて~お願いアセアセ