こんばんは。
半年記念でパラレルなお話を書いて以来、味を占めてしまったmamiです。
今回はキッズな彼らを書いてみました。
宜しかったらご覧になってくださると幸いです。
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プライマリーな彼ら
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「おいキョーコ!俺、今日はミキちゃんの誕生会に呼ばれてるから、学級会のまとめはお前がやっておけよな!!」
「………はぁ」
休み時間で賑わう教室内でも、一際通る声で偉そうに威張っているのは不破尚くん。
始業式の日、目立ちたいためだけに立候補した学級委員。
学級委員の名のもとに偉そうにしてはいるけれど、仕事の殆どをもう一人の学級委員である最上キョーコちゃんに押しつけている。
キョーコちゃんだって、きっと学級委員なんてやりたくなかったんだ。
不破くんが学級委員としての仕事をするつもりがないのは明らかで。
仕事を押し付けられるのがわかりきっていたクラスメイト達は、他に誰も立候補しなかった。
だから幼馴染みのよしみと責任感の強さから、空気を読んだキョーコちゃんが手を挙げるのは時間の問題だった。
担任の社先生は「最上さん、本当にいいの?」って心配そうに聞いていた。
「最上さん。俺、手伝うよ」
「敦賀くん」
そう言ってキョーコちゃんの手元から学級会の資料を持ち上げたのは、最近このクラスにアメリカから転校してきた敦賀蓮くん。
彼が現れてから、クラス内男子の勢力図が大きく変わった。
敦賀くんの登場で割りを食ったのが、他でもない不破くんだった。
背が高く、まるで彫刻のように形の良いパーツがそれぞれバランスよく配置された容姿。(転校初日に一緒に来ていたお母さんは物凄い美人だった)
そのうえ、成績も優秀でスポーツも万能な敦賀くん。
今まで、整った容姿と音楽に対して稀有な才能を持つ不破くんに好意を寄せて取り巻いていた女の子達の多くが、およそ小学生らしからぬ色気を纏い、アメリカ仕込みのレディファーストを身につけた王子様のような敦賀くんに惹かれ離れていってしまったのだ。
誰にでも公平に優しく、いつも穏やかな笑顔を絶やさない彼は、一躍『彼氏にしたい男子NO1』の座を手に入れた。
そんな敦賀くんがこのクラスでただ一人、キョーコちゃんにだけは特別優しいんだ。
今もキョーコちゃんの席に視線を送ると……
「ありがとう敦賀くん」
「最上さん一人に大変な思いはさせられないよ」
「ふふっ。敦賀くんて本当に誰にでも優しいのね」
「ここまでするのは、君にだけだよ?」
「あはは」「うふふ」と微笑みながら仲睦まじく資料をまとめる二人の姿。
「手伝ってくれてありがとう。おかげでとても早く終わったわ」
「どういたしまして。これからも困ったことがあったら僕に頼って?」
「流石はアメリカ育ちね。でも日本でこんなに女の子に優しくしたら、誤解されちゃうわよ?」
「最上さんなら誤解してもいいよ」
チュッ♡
「「「!!!?」」」
なっ!!?
今…敦賀くん、キョーコちゃんの頬にキス……した…よな。
俺の見間違い!?………じゃないな。
教室中みんな固まってるし……。
「もう敦賀くんたら、ここは日本よ?」
キョーコちゃんは少し驚いたような顔をした後、背の高い敦賀くんに上目遣いで注意する。
「あ………うん、そうだったね……」
あ~あ敦賀くん、空振り。
キョーコちゃんわかってないよ?
敦賀くんにとってキョーコちゃんは特別な女の子なんだね。
ガタガタッ!!
教室の入り口から変な音がして振り返ると、社先生が扉に凭れ掛かっていた。
あ……チャイム鳴ってたのかな?
きっとクラスの誰も気づいていなかったと思うよ。
なんとも言えない空気の中で授業を終えた放課後、相変わらずキョーコちゃんに何か話しかけている敦賀くん(もう何を言っても口説いてるようにしか見えない…)に、社先生が声をかけた。
「蓮、ちょっと職員室においで?」
「今日はこれから最上さんに日本の常識についてレクチャーしてもらう予定なんですけ「い・い・か・ら!!おいで??」」
「………はい」
いつも穏やかな社先生から発せられる強めの声に、敦賀くんは仕方なく職員室へ向かった。
(敦賀くんってすかした奴だと思ってたけど、案外おもしろいなぁ)
敦賀くんと社先生のやり取りを眺めながら帰りの準備をしていると、後ろから声をかけられた。
「貴島。今日お前の家で一緒にマ○クラやろうぜ」
「いいよ」
もう少し事の成り行きを見ていたい気がしたけど、俺だって小学生。
ゲームの誘惑には勝てない。
俺は、先に帰り支度を終えていた上杉くんと連れ立って教室を後にした。
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私の職場の近くには小学校がありまして、偶に今どきの小学生の会話を耳にするのですが、これがなかなか面白いんです。
最近の小学生ってこんな事考えてるんだって思っていたところ、敦賀さんやキョーコちゃんが小学生だったらどうかな?って妄想を膨らませてしまいました。