あの日から

あいつは電話に出ない


ブーブーブー


携帯が震える度

「もしかして……、」と

胸が高鳴る


でもそれはすぐに

ため息へと代わる……。


携帯の画面に表示されている番号

和「また、おまえ…? 諦めなさいよ、
いい加減、察しなさいって
スルーされてんのよ、何度連絡してきても…、出ないものは出ないから」

「いっそのこと着信拒否する?
それとも、番号を変えて……、面倒だわ」

心の中で独り言

ハァ……

雅「幸せ逃げちゃうよ」

和「それは困ります」


ソファーに寝転び雑誌を読んでいる
相葉さんに、そう言われた


翔「は?!ちょ、ちょっと待って、ん、ん」


俺の斜め前に座って
新聞を読んでいたはずの翔さんは
そう言いながら携帯を首に挟み、
珈琲を一口飲んだ


翔「んで、いつ? は? 痛¨てー!!」

急に立ち上がったせいで机に足をぶつける

翔「マジで……、痛¨たい……」

痛む足を擦りながら、
扉を開け、翔さんは楽屋から出て行った


雅「何?なんかあったのかな?」

和「あったんじゃないですか?」

雅「ぶつけたよね? 足  笑」

和「ぶつけましたね」

雅「痛いよね 笑」

和「でしょうね」


しばらくすると、
怒ってんだか、
泣きそうなんだか分かんない顔をして、
楽屋へ戻って来た


視線を感じる

ゲームをセーブ


翔「ニノ、今いい?」

俺は手元のゲーム機を目の前の机の上に置き

和「なんですか?」

そう答えた


翔「ちょ、向こう行こうか」

和「何なんです? 笑」


楽屋の隅っこ


翔「これ」

和「なんです?」

翔「鍵とセキュリティカード」

和「見れば分かりますよ 笑」

翔「しの のマンションの鍵とカード」

和「何故、私に?」

翔「いいから」

和「何を考えているんです?」

翔「………。」

和「翔さん?」

翔「しの の部屋に行け、なるべく早く、
もし、チャイムを鳴らしても応答がないのなら、これを使って中へ入れ」

和「不法侵入ですよ」

翔「だな 笑」

和「なんなんです? Jといい、翔さんといい、何かありました? あいつに」

翔「松本?」

和「おかしな事を聞くんですよ」

翔「おかしな事?」

和「まっ、
大した事じゃないはずですから、
なら私は、これを使って、
不法侵入すればいいんですね」

翔「お、おう……」

和「責任は翔さんでお願いしますよ」

翔「アハハ、承知した」


翔「後で、暗証番号はメールしておく」

和「解りました」





なんなんだろうか……?


頭の中でいくら考えても

答えは見つからない


目を逸らしてばかりいた俺が

わかるはずもない


でも、ただ1つ解ること


俺の知らない場所で

俺の知り得ない何かが


確かに起こっている



ブーブーブー


「はいはい、翔さん……ね」


ガタッ


「マネ!車、回して!」


俺は楽屋から飛び出した




~続~