仲間はずれの歯車の枠探し

仲間はずれの歯車の枠探し

なんとなく、気が向いたら書いてみようかな…
ってレベルで考えています。もしかしたら書かないかも…作文が苦手なので、練習も兼ねてたりします。
虚言癖持ちなのであることないこと書くかも?

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「はぁ…はぁ…」
息切れしながらもまだ立っているもう1人の結月は異形の姿を保って居られないながらもまだ、諦めてはいないようだ。

「まだ…まだ終わっていない!」

「何故だ…何故、そこまで…」

「決まってるじゃ…ないか…私は…私は!先に逝ったみんなの意志を背負っているからだ!」

「……。」
本物の結月はふらふらになりながらも立ち上がりもう1人の結月へと歩いていく。そして

「…!」
強いビンタによってもう1人の結月は吹き飛ばされる

「…馬鹿者」
静かにそう言った結月の手は強張っているのか小さく震えている。

「分かってるんだよ、そんなこと。」
「何百、何千と生きて、私は何十、何百という同士を失った」
「お前のいう意志を、責任を感じる気持ちはわかる」
「でもな、時代は動いてるんだよ」
「時間は十分に過ぎたんだ…みんな今頃転生して、この時代を生き抜く為に必死なんだよ」
「お前だって分かっているはずだろう?…私達が立ち止まっててどうするんだ」
「あいつらと同じように、私達も歩き出さなくてはいけないんだ」
「…全く、少しくらい抑制できないものかねぇ…この恥さらしは」
「お前が私だっていうのは…とっくに知ってるんだよ。馬鹿者。」
そういってもう1人の結月を抱きしめる

「実験は楽しいのは分かる。だが、他人にまで迷惑をかけるな。昔から、よく叱られてたじゃないか」
「他人をむやみに巻き込むのは愚か者のすることだ、そうだろう?」
「だから、実験は続ける。だけどな、人の犠牲まで出してやろうとは思わん」
「それくらいなら、実験をやめる」
「…それでいいだろう?」

もう1人の結月は小さく頷くと、光の粒子に包まれて消えていく

「…お前は私だ」
結月がそう言うと同時にもう1人の結月は完全に消えた。

残されたのは、たった1枚の写真。

彼女は写真を拾いあげると、
「…待たせたな、皆。私もやっと歩き出せそうだ…」

永遠を生き抜いた科学者は、ゆっくりと、君たちに顔を向けて、
「…迷惑をかけたな。帰ろう、私達の帰るべき場所へ」
そう言う結月はこれまでに見た事のないような、優しい笑顔で、泣いていた。



───とても古く、ボロボロになって色あせたその写真には、この遺跡の前で笑顔を見せる研究者達と、それに混じって笑顔で写る結月が写っている。











己の過ちから目を逸らし続けていた研究者の話───了。