5年の沈黙を破り、療養生活終了。生死の狭間から豪腕赤ペン、今ここに君臨。



赤ペンが描くエコエコザメラク読み物、黒魔術空間。目撃者は君だ!!




「私の母者は魔法使い」




母さんの様子が、最近目に見えておかしいんだ。




疑わしい理由1




今までマイカー通勤だったのが「ほうき」になった。



疑わしい理由2




料理道具が、フライパンや鍋から壺のみに変わった。



疑わしい理由3




ハリーポッターを観ながら「若い頃を思い出すわ」と懐かしそうな表情を浮かべつつもハリーの魔法の出し方にダメ出ししていた。




母さんはきっと魔女だ。




間違い無く母さんは魔女だ。僕は震える声で母さんに聞いた。




「母さん、ひょっとして魔女なの」。壺をかき混ぜて洗い物をしていた母さんの杖の動きが止まる。




母さんはゆっくりと杖を僕の方に向ける。




僕はまるで蛇に睨まれたピョンキチみたい固まった。動けないほどの威圧感。助けてウメさん。寿司食わせてウメさん。杖が僕の喉元にまで迫る。




「じ、冗談だよ、母さん。洗い物、て、手伝うね」




僕は固まった笑顔で必死に誤魔化した。交代するよと母さんから杖を受け取り、僕は壺の中のお茶碗を必死でかき混ぜた。




ガチャガチャと瀬戸物たちの触れ合う音がきっちんに静かに響く。




ガチャガチャガチャガチャと静かに響く。




耐え難い沈黙に、まず口を開いたのは母さんだった。



「大きくなったわね、この前まで手伝いのひとつも出来なかった子が。今じゃ、力強く壺をかき混ぜてる」



僕は必死で言葉を紡ぐ。




「洗い物ぐらい出来るさ、洗濯も手伝うよ」




母さんと二人っきりでこの場にいるのが恐かった。逃げよう、母さんが洗濯物を取りに行ってる間に逃げよう。




母さんはそんな僕の心境を見透かしたように口を開いた。やばい、魔法が来る。



魔法かやって来る。




ベホイミ!!




僕の意識は真っ白になってぶっ飛んだ。


(つづく)

編集部~超絶お知らせ!赤ペン先生の「母者は魔女」トーテムポール系列でアニメ化決定!待て次号!!


(おしまい)