今日の父は、いつもよりぼんやり
なかなか着替えられず、
夜寝る時間がどんどん遅くなる
それでイライラし、
「早くしてちょうだい!
そっちじゃないわよ!」
怒る母に対して
私がもっとイライラして
どんどんめんどくさい状況になる
もっと大変な介護されている方はたくさんおられるのに
こんなことでぐずぐず言ったり、イライラしてる場合じゃないとは思いながらも
まぁ
イライラもするよね
イライラして
しょんぼりして
また明日
それにしても
去年も書いていたけれど
父は今また、方向感覚がなくなっているようだ
方向感覚というか、
前後左右上下がわからない
こっち、あっちがわからない
父がわからないと知っていながら、
「そっちじゃない、こっち!」
とついつい声を大きくしてしまう
大きくしたとしてわかるわけでもないのに
そっちこっち、右左を、
別の言葉ではどう言えばいいんだろう
そっちこっち、右左、上下がわからない世界はどんなものだろうか
不安なのだろうか
宇宙の中で、無重力で浮いているようなものだろうか、などと想像する
そんなふうにイライラしたりしながら
無重力世界の想像もしつつ
なんとか父を寝かしつけ、
「はいおやすみ
また明日」
そう言ったら、
「明日はもう終わっただろう?」
と怪訝な顔をして言う
「明日はこれからだよ
終わったのは今日
今日はおしまい
おやすみ」
私が言うと
「今日はもう、おしまいか」
しみじみ呟いて、おやすみと眠った
父の宇宙では、明日はもう終わっていて、
今日や昨日がこれからやってくるのだろうか
それはとても不思議な世界で
ちょっぴり楽しそうな気もする