「ビビッと来たほうに決める!」など、人生の重要な場面では、直感で判断をつけるという人も多いのではないでしょうか。
学びの本質とは、いろいろな視点から、ものを考えられるようになることです。
つまり、「絶対的な正しさは存在しない」と知れるようになることではないかと思います。
どうしてもみなさんは「絶対的な正しさ」を信じたくなってしまいます。
多種多様な本を読むと「世の中にはこういう生き方があるんだ」「こういう考えも存在するんだな」と、ひとつの視点に公平にものごとを考えることができます。
そのような経験をしていないと、視野が狭くなったり、特定の思想に熱中したりしやすいかもしれません。
みなさんは「無意味なできごと」に耐えられないのです。
なにごとにも「意味」や「物語」を求めてしまう心の弱さを持っています。
ですから、筋が通る、絶対的な正解を提案してくれるような「わかりやすい物語」は、すごく気持ちがいいのです。
説明がつかなかったものに説明がつく瞬間、胸がすっとしますよね。
推理小説が面白い理由も、それです。
現代社会というのは、あまりにも複雑になりすぎてしまいました。
複雑すぎるので、専門家ほど「これはこうかもしれないけど違うかもしれない」という曖昧ないい方しかできなくなっています。
頭であれこれ考えて出した結論よりも、「体が発するサイン」を信じたほうがいい、というパターンももちろんありますね。
それも合ってることも多いのですが、あまりに「直感」を信じすぎるのも危ういかなもしれません。
みなさんの直感は、頼りになるときもあるけど、間違えることもあります。
間違えないためには、直感が得意な状況と苦手な状況があるのを知っておくことが大事だと私は思っています。
人間の弱い心は、適当なものごとの中に、勝手に意味や意図や意思を読み取ってしまうのです。
仕事でもなんでも一緒です。
自分勝手な物語を作らずに、一番効率のいいやり方を冷静に選ぶ人が、一番勝率が高いです。
橋本治さんが『「わからない」という方法』という本で、自分がものごとを判断するときに頼りにしているのは「身体」と「経験」と「友人」だ、といっていました。
それを参考にしてみるのも、良いでしょう。
ひとつの軸だけを頼りにすると間違えやすいので、複数の軸を持っておくことが大事です。