「日本人は、『ありがとう』という言葉が好き」と前述しましたが、私たちには、「ありがとうと並ぶくらい、あるいはそれ以上に好きな言葉」があります。

 

 

なんだと思いますか?

 

 

それは、「自分の名前」です。

 

 

 

人間関係は「名前を覚えて呼び合うところ」から、本当の意味で開始します。

 

 

 

そのことを意識して、私の研修では、必ず「ネームタグ」を用意いたします。

 

 

 

なぜなら、お互いの名前を呼び合うことで、コミュニケーションがとりやすくなり、場の雰囲気があたたまるからです。

 

 

 

私も、参加者のみなさんとお話をするときは、「〇〇さん、いまの意見はとてもいいですね」と、できるかぎり名前で呼ぶように心がけています。

 

 

 

人間は、「親しみ込めて名前を呼んでくれる人」に仲間意識を持つものです。

 

 

ビジネスシーンでは、一度に4〜5人のお客様と名刺交換をすることがあります。

 

 

そんなときでも、しっかりと、相手を名前で呼ぶことができれば、信頼感を与えることができるはずです。

 

 

メールを送るときも同様です。

 

 

私は、「宛名」のほかに、「文章のなか」にも、少なくとも1回は相手の名前を入れるようにしています。

 

 

名前が書かれてあると「自分のことをきちんと意識してくれている」という姿勢が、伝わりやすくなります。

 

 

 

「名前」はその人にとって「もっとも気持ちの良い音、もっとも聞き取りやすい音」だといわれています。

 

カクテルパーティーのように、たくさんの人が雑談をしているなかでも、「自分の名前だけは、自然と聞き取ること」ができます。

 

 

人は、関心の薄い音は雑音として処理しますが、「好きな音」に限っては、

聞こえやすくする能力が備わっています。

 

 

このような「聴覚の力」を、心理学では「カクテルパーティー効果」と呼びます。

 

 

 

「〇〇さん」と名前を呼ばれると、その話題や出来事に、「自分も深く関わっている」と認識します。

 

 

すると呼びかけてくれた人に好意を持ち、「その人のために、なにかをしたい」という気持ちになるのです。

 

 

 

人は、相手のことを知ったときより、自分のことを知ってもらえたときに心を開きます。

 

 

 

そして「あなたを大切に思っている」という気持ちを端的に表現する方法が、「名前を呼ぶこと」なのです。

 

 

 

たとえ、相手が年下でも、「あなた」や「きみ」と呼ぶのではなく、しっかりと「名前」で呼ぶようにしましょうね。