仕事中にミスをしてしまった販売員のKさん。

 

笑顔でお客様をお見送りしていましたが、心中はおだやかではありません。

 

 

Kさんの心のなかには、浮かない気持ちが残っていました。

 

 

そんなとき、お会計を済ませたお客様のお嬢様が、折り紙をくれたそうです。

 

 

ねこの折り紙。

 

 

それだけでなく、折り紙には、かわいい文字で「ありがとう」と書かれてありました。

 

 

「失敗をして、お客様にご迷惑をおかけしたかもしれないのに、私でもお役に立てるんだ!」

 

 

Kさんは、女の子の「ありがとう」から元気をもらい、「泣きたいほどうれしかったです。『ありがとう』で心のつかえがとれました」といいます。

 

 

サービス業にたずさわる方々に、「仕事をしていて、いちばんうれしい瞬間はなんですか?」とアンケートを行ったことがあります。

 
 

そうすると、ほぼ全員が「お客様から『ありがとう』といわれた瞬間」と答えました。

 

 

 

あなたを笑顔にしてくれる言葉はなんですか?

 

 

 

私のサロンのメンバーに、尋ねたことがあります。

 

 

 

回答の上位から、「ありがとう」「大好き」「愛してる」「がんばっている」「かわいい」でした。

 

 

 

私自身、お客様の「ありがとう」に、何度、力をいただいたことでしょうか。

 

 

 

「ありがとう」には、私たちが想像する以上の効力があるようです。

 

 

私は、「人間の縁は、努力によって育まれていく」と信じています。

 
 
確実に、出会いは偶然かもしれませんが、その偶然を良縁として育んでいくのか、それとも遠ざけてしまうのかは、その人の「小さな努力」の積み重ねによって決まります。
 
 
 

「小さな努力」のひとつひとつが、たくさんの「ありがとう」をいうことです。

 

 

 

「してもらって当たり前」と思うと、感謝の気持ちをなくしてしまいます。

 

 

 

『もうひとつの幸せ論』(ダイヤモンド社)の著者、故・小林正観さんは、「ありがとう」の反対語は、「当たり前」だとおっしゃっていました。

 

 

 

「これぐらいは、してくれて当たり前」と思い違いをして、「ありがとう」を言わなくなった途端、人の縁は切れてしまうものです。

 


 

「ありがとう」といわれた瞬間こそが、「自分は、だれかの役に立てている」と確信できる瞬間です。

 
 

人は、自分を客観視できません。

 

 

 

ですが「ありがとう」の言葉をいただいたとき、自分の存在価値を見出すことができます。

 

 

 

それがうれしいから、「笑顔になれる」のです。

 

 

 

「ありがとう」が人間関係を育んでくれるものですし、「ありがとう」がなければ、人間関係は切れてしまいます。

 

 

 

そのことを忘れず、小さなことにも「ありがとう」を言えるようになりたいですね。