ほめることは全ての人に必要なスキル、ほめるエキスパートになって人間力をアップさせましょう。
「ほめる」とは、価値を発見して伝えることです。
あらゆるもの、人だけでなく、ものやできごとと、どんな対象についてもほめることができるほめるエキスパートは、その対象が持つ素晴らしい価値を見つけて伝えてあげられる人です。
言い換えると、ほめるエキスパートは価値発見の達人なのです。
ほめるエキスパートになるとどんな良いことがあるのでしょうか
チームのモチベーションやパフォーマンスを上げるスキル、コミュニケーション能力、リーダーシップ能力を身に付けることができます。
これからの時代に必要な、人間力も身に付きます。
魅力ある人物になって多くの人に人気があるようになりますし、もちろん、仕事でも結果を残せる人材になれます。
叱る前にほめると、相手は自信を失わないです。
私がレッスンを受けているトレーニングの先生は、私が間違った声を出しても、「できていない」と頭ごなしに否定することはありませんでした。
「そのチャレンジはいいですよ。方向性は間違ってはいないですよ!」と最初に、私をポジティブに肯定してくれました。
そして、ポジティブな言葉で私の心を開いたあとで、「ここができていなかったので、こういうふうにすると、もっとよくなりますよ」とネガティブな指摘をします。
さらに、最後にもう一度、「大丈夫、あなたならできますよ!」とポジティブな言葉で後押ししてくれました。
先生は、私に嫌な思いをさせないように、工夫をしながら指導をしていました。
「ポジティブ→ネガティブ→ポジティブ」の順番でアプローチしてくださるので、私は自信を失うことなく先生の指摘を受け入れ、レッスンに励むことができたのです。
シンプルなほめ言葉
簡単かつ実用的なほめ言葉はなにでしょうか。
その言葉とは、「すごい」「さすが」「素晴らしい」「素敵」の4つです。
実にシンプルですね。
まずはこの言葉を口癖にしましょう。
ポジティブな言葉は、無意識にぽんと出てくるよう習慣にすべきです。
相手をほめる理由がないから、口にできないでしょうか。
まずは口に出すことです。
ほめる理由は口にしてから考えればいいんですよ。
この4つの言葉が、相手により伝わりやすくなる方法もお教えします。
相手に聞こえるか聞こえないかという絶妙な声量で、「これは、すごい・・・!」という感じに、独り言のようにささやくのです。
これだけでも相手の心に、見事に伝わるはずです。
相手の心が折れてしまうかも知れないとき
ときには、部下の企画書が的外れで、「何を考えているんだ、全然違う!」と言いたくなることもあると思います。
ですが、そのようないい方をしたら相手の心が折れてしまうかも知れません。
そのようなときに使うべき言葉は、「そう来るか!」もしくは「そっちか!」です。
相手はこちらが期待していないものを提出したことに気付くでしょう。
それでも、傷つくことはないはずです。
むしろ、上司にはできない発想の企画ができて、うれしいとさえ思うかもしれません。
ほめたいけど直してほしいことがあるとき
さらにもう1つ、どうしても相手をほめられない、ほめたいけど直してほしいことがあるときは最初に、「惜しい!」というのです。
たとえば自分が求めていた水準の20%しか満たしていない提案資料だったとしても、「惜しいなぁ!」と言ってあげましょう。
相手はきっと、「惜しいのなら、それなりの仕上がり具合ではあるらしい」と思うはずです。
そこで、指摘したいこと、助言したい言葉を続ければいいのです。
そうすれば、相手も聞く耳をもってくれるでしょう。
なぜ続きを聞く気になるのでしょうか?
先に認める発言をしているので、ネガティブな内容にはならないだろうと相手が見通しを立てるからです。
しかも、認めてもらっている範囲での指摘ですから、直すのにさほど手間がかからないだろうという期待もします。
叱っても信頼されるほめるエキスパートになろう
コミュニケーションにおいて、「ほめる」ことの大切さはよく知られていますが、「なぜ、ほめる必要があるのか」その理由に気づいていない人が多いようです。
ある大手企業の社長が「ほめるのは好きではない」というので、その理由をうかがうと、「自分が好かれたいために、相手をほめていると思われるのが嫌だ」とおっしゃっていました。
ほめるエキスパートは相手を叱ることを否定しません。
怒りの感情が湧くことがあるのも当然だと思います。
たとえば上司が部下とコミュニケーションをとるとき、相手に目指すべき明白で明確な目標を立ててもらうと見なします。
その目標を部下に達成してもらいたい、成長してもらいたいと本気で思っている上司であれば、部下に対して感情が動くことはあるものですからね。
ですが、そのときに大事なのは、自分が相手にとって、尊敬に値する人物であるかどうかです。
これは上司と部下に限らず、どのような関係においてもそうです。
「あなたに叱られてもむかつくだけだし、ほめられたって嬉しくもない」と思われては甲斐無いですよね。
たとえ叱られても、「この人は自分のことを根っこで認めてくれている」と信頼を得ていなければ、どのような言葉も相手には届きません。
心理学者の中には、「ポジティブな感情とネガティブな感情がおよそ3:1の比率になっていると、人は意欲的に働くことができる」という研究結果を発表している方がいます。
つまり、「1回叱ったら3回以上ほめることが必要で、それ以上叱ってしまうと、人は自信を失う」というのです。
人の成長には、「叱る」よりも多くの「ほめる」言葉が必要であるのでしょうね。
ほめるのは「他人のため」ではない
タレントでモデルの中村アンさんは、女優天海祐希さんから、「アドバイス」をされたことがあるそうです。
その「アドバイス」に中村アンさんは「強く心を打たれた」といいます。
天海さんは中村さんに歩み寄って、まず、「あなたのこと好きよ」と声をかけ、そのあとで、こう続けたそうです。
「でも、もっと自分に自信を持って。もうちょっと勉強して品のある言葉遣いをしたほうがいいんじゃない?」
みなさんは、ほめることは他人のために行う行為だと思うかもしれません。
ですがそれは違います。
実は、他人をほめるのは自分のためにすることなのです。
「ほめるは人のためならず」です。
人間同士には絶望的な距離があって、それぞれが孤立した存在であると考えています。
そう簡単にわかえりあえるものではないのです。
ですが、考えが合わないからと言って、相手が間違っているとは断言できません。
それは単に、個性の違いなのですから。
ですから、ほめるエキスパートになって人をほめることは相手のためではないのです。
ピンチのときもポジティブに物事を考えられる人物になるため、自分の心を守るため、そして自分自身を高めるための行為なのです。
そうやって今以上に魅力ある人物に成長したみなさんが、他人のいいところをほめます。
すると相手も喜んでくれます。
みなさんもうれしいし、みなさんにほめられると相手もうれしくなります。
それがほめるエキスパートの理想の姿です。
相手の欠点や間違いが目についたときこそ、まず、相手をほめてみませんか?
そうすれば相手は自信を損なうことなく、みなさんの言葉を前向きにとらえるはずです。
皆さんには社会を取り巻く闇を照らす、灯火になってほしい。
魅力的な人が増えれば、社会は平和でより暮らしやすくなるはずです。