若い人たちが仕事に求めているものは何でしょうか
今の若者たちには、お金による報酬だけでなく「心の報酬」を与えてあげることが大事なようです。
心の報酬とは、仕事を通じての「成長と貢献の実感」です。
「自分は仕事を通じて成長できている。自分は社会に役立っているんだ」という実感ですね。
少し昔の人は、ストレスを成長に変える耐性があったと思います。
お客様や上司に反省点の洗い出しをされても、「何くそ!」とそれを乗り越える力を持っていました。
また、たとえお客様から直接、「ありがとう」と言ってもらえる仕事でなくても、「プロとしてお金をもらっているのだから、やるべきことをやるのは当たり前」と思えるプライドがあったと感じます。
今は、厳しい指導をしたり、「プロとしてプライドを持って仕事をすべき」と説いたりするだけでは、企業に人が定着しない時代になったようです。
では、心の報酬はどう与えれば良いのでしょうか。
「ほめるエキスパート」になって集客力がアップ!
ある学校では「ほめちぎる教習」を取り入れ、減少傾向にあった生徒数をプラスに転じさせました。
やることは、ほめるエキスパートと一緒です。
生徒が失敗したとしても、その行動の中からよかったことを見つけて、ほめる言葉をかけます。
常にこれを続けると、生徒もモチベーションが上がるし、教師との間に信頼関係ができるのですね。
ですから技術の向上も早くスムーズに学習が進みます。
今の若い人たちは成功体験を持つ人が少ないです。
学校は、そうした若い人たちに対し、成功・成長を実感させてあげられる場所です。
成長を実感できる学習を行えば、自己肯定感を持った人を育てることにつながります。
ですから、人を育てられる学校の運営は、価値のある事業なのです。
さらに、「人の成長を助けられる人材を増やせば、御社の事業の未来にもつながる」と説明しました。
なぜなら、人を育成できる人材は、企業研修においても人材育成の講師としての役割を果たせるからです。
教官の仕事だけではなく、企業研修に講師として呼ばれるようになれば、教習所で働く人にとっても業務の幅が広がる。
働くうえで将来的な目標や道筋があると、モチベーションが上がりますよね。
だから、日々の現場での仕事にも意欲的に取り組めます。
とても好循環です。
心の報酬とは、承認欲求が満たされること
これからのリーダーやマネージャー、教育者たちは向き合う方々に心の報酬を与えられるか否かが大切です。
心の報酬とは「成長・貢献の実感を与えてあげること」です。
もっと深堀りして言うと、「自分の成長を自分で認められるようになること」です。
そして、なにかに貢献して他人からの承認を得る、つまり自己と他人、両方からの承認を得る機会を提供するのが、心の報酬を与えることなのです。
ここで、承認を求める気持ち、「承認欲求」について説明します。
アメリカの心理学者、アブラハム・マズローが提唱した説に、「マズローの欲求5段階説」というものがあります。
「人間の欲求はピラミッド上に5段階で構成され、低階層の欲求が満たされると、より上の欲求を欲する」というものです。
階層を下から見ると、最初は「生理的欲求」で、食欲や睡眠欲のこと。
これが満たされると次に、「安全欲求」つまり「暖かくて安全な家で健康に暮らしたい」などと安全・安心を求めます。
その次が、「社会的欲求」です。
集団の中に所属することを望む気持ちですね。
その上位にあるのが「承認欲求」です。
これが「認められたい」という欲で、心の報酬につながる欲ですね。
最終段階は「自己実現欲求」で、自分の力で何かを生み出す、実現することを望む欲求を言います。
真の承認欲求には自己承認が欠かせません
心の報酬を与えるためには、4番目の「承認欲求」を満足させてあげる必要があります。
この欲求の満足には、他人からの承認だけではなく自己承認も欠かせません。
なぜなら、真の承認欲求とは、他者からの承認だけでは満たせないからです。
自己承認もできて初めて、人間の承認欲求は満たされるのです。
そして、自分を認められるようになったことで得た自信が、先に触れた5段階の最後、「自己実現欲求」へとつながっていきます。
これが理想的な形なんですね。
どうすれば自己承認ができるのか
自分の短所やネガティブな考え方も含めて、全部を認めることです。
これがコツです。
完璧な人間なんてどこにもいません。
自分の駄目なところも全てを含めて、それでも自分は頑張っています。
成長していること、それを自覚することが大事です。
ですが、それというのは簡単なことではありませんよね。
いったい、自分を認めるにはどうすればいいのでしょうか。
それは、ほめるエキスパートが実践しているように、他人をほめること、他人の価値を認める行為の中にヒントがあります。
つまり、他人の承認欲求を満たすことが、自己の承認欲求を満たすことにつながるのです。