すると、一気に海水が流れ込んできた。
暗闇で、助けを待った。
誰も来るはずがないと思っているのに。
気を失った茜は、生と死の境界をさまよっている感覚がある。
どっちへ行けば、生き続けられるのかずっと考えていた。
父と母が、守ってくれた命だから、私は生きなきゃいけない。
生きたい!! 死にたくない!
茜は、生と死の境目から抜けだし、目を開けた。
茜は、水中で辺りを見回した。
視界はくもっていてよく見えなかったが、周りがさっきよりも暗くなっていた。
海面がどっちなのかもわからなかった。
完全に方向感覚を失ってしまったが、きっと、さっきよりもずっと、海面から離れていっているのだろう。
涙が、海水と混ざった。もう、助からない。
そう思ったとき、どこからか、手を引っ張られた気がした。
これは、茜を死の世界へと連れて行くようなものだった。
茜には、もう助けなのかも、闇の手なのかも、分からない状態だった。
ただ、闇の手であっても、抵抗する気力なんてどこにもない。
ごめん。お父さんお母さん。私、生きられないかも。
急に、さっきとは違う手が茜のもう片方の手を力強く引っ張った。
すぐに分かった。今私を引っ張った手が、助けの手だ。
私、助かるんだ。生きていけるんだ。
その瞬間、闇の手だと思われる手が、するっと離れ、見えなくなっていった。
その一方で、助けの手は、暖かくて優しくて大きかった。
私は、この手を知ってる。昔、触れたことがある。
だんだん辺りが明るくなってきた。月明かりが、海面を突き抜けて目に映る。
とうとう、水の中から抜け出すと、新鮮な空気が吸えると思っていたが、
空気は入ってこなかった。
茜には、そんな感覚なんてないが、茜はさっきからずっと、気を失ったままなのだ。
大量の水をのんでいた。今まで茜が見ていた光景は、何だったのだろうか。
いきなり、茜に恐怖が襲いかかった。
私は、もう既に死んでいて、死の世界から、ものを見ているのではないかと気づく。
そうとしか、思えない。
いつの間にか、水中に居るという感覚がなくなっていた。
息が苦しいとも、思わなくなっていた。
どんなことよりも、嬉し涙じゃない。悲し涙が止まらないじゃないか。
砂浜で、私を助けてくれた人は、必死に心臓マッサージと人工呼吸をし始めた。
始めてから、10分。
急に現実に戻されたように、息が苦しくなった。
茜は、大量に水を吐き出す。
一気に楽になって、安心したのか、茜は、誰なのかもわからない人の手を握って気を失った。
その時、茜の顔にあったのは、かすかな笑顔だった。
パート8へつづく・・・・・・ー





ショックだった~!!


