2015年2月6日に日本上陸した「ブルーボトルコーヒー」が、雑誌やウェブで話題をさらっています。オープン初日は、2時間半の行列ができたということがニュースになるなど、その存在感はアップルストアの登場時と似ている部分すらあります。
なぜブルーボトルコーヒーが、多くのメディアに取り上げられ、話題にのぼるのでしょうか?そこには、ブルーボトルコーヒーが作った見事なストーリー戦略があります。
この記事では、そのストーリー戦略に迫りながら、人が語りたくなるストーリーについて考えてみたいと思います。
理由1.巨人スタバにケンカを売った ~人は「ライバル対決」が大好き~
日本では圧倒的な存在感とブランドイメージを誇るスターバックスコーヒー、通称「スタバ」。彼らは、元々の薄くてコクのないアメリカンを、濃度も風味も一新して誰もが満足のいく飲み物に変え、圧倒的な地位を確立しました。
ブルーボトルコーヒーは、そんな巨人スタバの作るコーヒーに疑問を投げかけ、スタバの「ライバル」的ポジションを取ります。「マイクロブリューコーヒー」と呼ばれる、1カップずつ丁寧にいれるこだわりの製法を生み出し、アピールすることで、大量生産型のスタバとの鮮やかな対立構造を描きました。簡単にいえば、ケンカを売ったのです。
人はライバル対決が大好きです。ドラゴンボールの「悟空VSベジータ」。スラムダンクの「流川VS仙道」。ヒット漫画を見ても、その物語を盛り上げてくれるのは常にライバルの存在です。「スタバVSブルーボトルコーヒー」の対立構造も、そんな人間の心理を見事に突いたPR戦略だと言えます。(このようなストーリーの描き方を「ライバル」法と名付けます)
理由2.日本喫茶文化へのリスペクト ~「共通点」で相手との距離を縮める~
ブルーボトルコーヒーの創設者であるジェームス・フリーマンは、日本の喫茶文化を愛していることを公言しています。実際、銀座のカフェ・ド・ランブル、渋谷の茶亭羽當、表参道の大坊珈琲店など、東京でお気に入りの喫茶店を数多く持っているそうで、ブルーボトルコーヒーの立ち上げ時にも大いに参考したと言っています。
「郷に入っては郷に従え」と言いますが、相手の懐に飛び込むときには、相手の文化に敬意を表し、それをしっかり伝えることが大切です。スティーブ・ジョブズが「禅文化」を愛し、それがアップルのデザインに大きく影響したという話は有名ですが、これを聞いて、アップルに親近感を感じない日本人はいないでしょう。もちろん、「本当に日本文化をリスペクトしている」ことが前提ですが、相手との共通点を見つけ出し、それを語ることは、消費者との距離をグッと縮めてくれる有効なストーリー戦略なのです。(このようなストーリーの描き方を「共通点」法と名付けます)
理由3.「清澄白河」に第一号店をオープン ~「違和感」でインパクトを出す~
ブルーボトルコーヒーの第一号店は、清澄白河にあります。「なんで清澄白河なの?表参道とか、銀座じゃないの?」そう思った方も多いでしょう。実際、ネットでもそういうツッコミは多く見られ、話題になりました。
日本第一号店に、王道のおしゃれカフェが立ち並ぶ表参道や銀座を選ばす、あえて清澄白河にオープンさせたことも、実にうまいストーリー戦略です。なぜなら、王道と違うことをすることが「違和感」を生み、口コミにつながるからです。
このように王道を外し、「違和感」を作りだすことも、人が語りたくなるストーリーのコツです。「違和感」とは、お笑いで言うところの「ボケ」。清澄白河という「ボケ」に対して、「なんでやねん」的な「ツッコミ」を消費者にしてもらうことで、話題が拡散するわけです。
ちなみに、ブルーボトルコーヒーは既に2号店を3月に青山にオープンさせる予定があるそうですが、もしも青山⇒清澄白河の順番でオープンしていたら、ここまでのインパクトを出すことは難しかったでしょう。これも狙ってのことであれば、「お見事!」としか言えません。(このようなストーリーの描き方を「違和感」法と名付けます)
まとめますと、ブルーボトルコーヒーは、
・スタバとの対立構造を作った…「ライバル」法
・日本喫茶文化へのリスペクトを表明…「共通点」法
・清澄白河という立地…「違和感」法
の3つのストーリーで、メディアや人の間で話題を生み出し、日本進出時のスタートダッシュに成功しました。そのストーリー戦略は、企業や個人のブランディング戦略においても、参考になる点が多くあるように思います。今後も、ブルーボトルコーヒーの快進撃に目が離せません。

