地方自治と暮らし
 
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子どもの医療費無料化

社会新報2015/12/23


全国986自治体が実現
国の制度として無料化を

 全国各地で、子どもの医療費の無料化が実現している。都道府県で8、市区町村で986と全国の半数以上だ。しかし、子どもの医療費の助成を進める自治体への国庫負担の減額という国のペナルティがある。国は、地方自治体へのペナルティを止めるとともに、国の制度として子どもの医療費無料化を実現すべきだ。

医療費無料化には国のペナルティ

 「とても理不尽だと思います。」と国を批判したのは、小児科医で日本医師会常任理事の釜萢敏(かまやち さとし)さんだ。釜萢さんが「理不尽」と批判したのは、自治体が独自に乳幼児医療費の無料化などの補助を行った場合に、国が負担すべき国民健康保険(以下、「国保」と略)の国庫負担が減額されることだ。(「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」(以下、「検討会」と略)議事録)。
 
 子どもの医療費の助成は、対象年齢、所得制限の違いはあるが、全ての都道府県が域内の市区町村に補助を行い、当該の市区町村の地方単独事業として実施している。医療費を無料化しているのは、都道府県で8、市区町村で986と全国の半数以上だ。一部負担「あり」は都道府県で39、市区町村で756となる。

 対象年齢は、都道府県で最も多いのは通院・入院とも「就学前」で、市区町村はそれに上乗せして「15歳年度末まで」が最多となる。所得制限は、都道府県では「なし」が17、市区町村では「なし」が1373だ(厚労省調査)。
 
 しかし、子どもの医療費の助成には国のペナルティがある。国は当該市区町村の国保の国庫負担を減額調整(1984年より)してきた。2013年度は、乳幼児で約80億円(1395市区町村)、小学生以上で36億円(1154市区町村)がペナルティで減額された(尚、窓口で一度法定の自己負担分支払う償還払い方式には減額がない)。

大学生まで無料化の自治体も

 子どもの医療費助成は、中学卒業まで助成する自治体は930、高校卒業までが201ある。最長は22歳の学生まで助成する北海道南富良野町で、同町では保護者が町内に居住し、子どもが高校及び大学進学により町外に転出した場合も無料化の対象となる。

 群馬県では、全国初の取組として2009年10月に少子化対策及び子育て環境整備の観点から、所得制限や受診時の自己負担がなく、入院・通院を問わず中学校卒業までの医療費を無料化した。同県の国保の減額は2013年度で2億2400万円にもなる。

 同県が行った子ども医療費無料化アンケート(2012年)では、約9割が「経済的負担の軽減」「早期治療による子どもの健全な成長促進」(複数回答)として無料化に好意的だ。

 「検討会」では、有識者委員から国庫負担減額措置は必要との発言はあったが、一方で医療現場の委員からは、医療費無料化が実施された前後で、「コンビニ受診」のような例外的な受診行動が多くなったという印象はなく、むしろ「#8000」のような電話相談により親の不安を取り除く環境整備を続けるべきだという指摘がされている。

 先の群馬県のアンケートでも、子どもの受診については約9割が「軽度な症状の場合は様子を見守る」と回答するほか、「過剰な受診を控える」「#(シャープ)8000番を利用する」等の回答が多く、県では、多くの保護者が適正受診を心がけていると受け止めている。


減額調整の廃止求める自治体
安倍政権は歳出増を認めない方針

 全国知事会、全国市長会、全国町村会は11月18日、「子どもの医療に関わるセーフティネットは、本来、国が責任を持って、社会保障政策の中に位置づけ、自ら制度を構築すべき」と、子どもの医療費の助成について国保が行う減額調整を「直ちに廃止」するよう国に求めた。

 現在の医療制度では、医療費の負担割合は、6歳までが2割負担、6歳からは3割負担、70歳から2割負担(経過措置あり)、75歳からは1割負担(70歳以上の現役並み所得者は3割負担)が原則となる。

 全国知事会などの地方の声に押されて、総務省では厚労省への予算要望を行い「国庫負担金減額措置について早急に検討を行い、廃止するなどの見直し」と乳幼児医療費の自己負担のあり方について、「医療保険制度を含む全国的な制度での対応を検討」をと求めた(7月24日)。

 厚労省は来年の夏までに「検討会」で、「子どもの医療の自己負担のあり方、国保の国庫負担のあり方」などについても検討を行う。

 しかし、国が減額調整の根拠とする、地方の単独事業で医療費が波及して増える分は当該自治体が負担すべきという方針を撤回するかどうかは不透明だ。安倍政権の「経済財政運営と改革の基本方針2015」(6月30日閣議決定)では、「地方単独事業について、過度な給付拡大競争を抑制」するとし、財務省は「財政制度審議会」の「予算の編成等に関する建議」(11月24日)で、地方単独事業を理由とした歳出増を来年度の予算編成では認めないとしているからだ。

「均等割」は子育て世帯の支援に逆行

 日本社会に格差と貧困が蔓延している。国保の高額な保険料金は、中間層でも限界を超えている場合が多く、保険料や自己負担が払えず、必要な医療が受けられず、場合によっては命を落とす実態が広がっている。他の医療保険制度に加入できない無所得者、失業者・非正規労働者などの低所得者や高齢者が多い国保の矛盾を解決するには、国保への国庫負担の増額が絶対条件だ。

 また、国は、国保の財政運営を2018年に都道府県化するにあたり、国保制度の安定化のために公費拡充で対応するものの中に、「自治体の責めによらない要因による医療費増・負担への対応」として「子どもの被保険者数」などを挙げているが、子どもの人数などが保険料に加算される「均等割」という国保料の仕組みは、子どもの人数が多い家庭ほど負担が強くなり、子育て世帯への支援に逆行する。あらためて見直しが必要だ。

 全国知事会や市長会、町村町会などの地方関係団体や全国の議会、日本医師会、連合など様々な団体は、従来より少子化対策や子育て支援の充実のため、「乳幼児医療費の無料化」、「ひとり親家庭の医療費の財政措置」「15歳までの医療費自己負担分の補助」などを実施するよう国に求めている。

 もし、安倍政権が「希望出生率1.8」を掲げ、子育て支援や少子化対策を方針とするなら、全国一律で子どもの医療無料化を国の制度として早期に実現すべきだ。

株価下落で7.9兆円の年金積立金が消える

社会新報2015/12/09


年金の無策がつくる「下流老人」

 公的年金の運用で、7-9月期に約7.9兆円の損失が出た。四半期の赤字額ではリーマン・ショック直後の2008年10~12月期の約5.7兆円を越え、過去最悪。株式への投資を大幅に増やし、世界的な株安や円高の打撃を受けたことが主な背景だ。

年金だけでは生活できない人が増加

 「自分の年金だけで生活ができる。生活保護はいらない」と話すのは中村肇さん(仮名)89才だ。中村さんは、賃貸住宅でひとり暮らし。親族の支援もなく、毎日ヘルパーが生活支援と介護に来ている。

 中村さんの年金は約10万円。昔は自営業を営んでいたが、徐々に仕事が少なくなり、貯金も使い果たした。月額約3万円の生活保護費が支給され、医療費や介護費用も生活保護に頼っている。しかし、認知症があり「自分の年金だけでも生活ができる」といつも話している。

 首都圏に住む一人暮らし高齢者の生活保護費は、生活扶助と住宅扶助で月額13万円程度。一方、厚生年金の平均受給月額は約14万8千円だが、公的年金だけで暮らす高齢者世帯(約6割)は、病気になれば医療費の支払いに困窮するはずだ。

 生活保護程度となる月額13万円未満の受給者は約680万人と膨大だ。これらの高齢者は、現役時代に数百万円の貯蓄があっても医療や介護費用のために使い果たす可能性が高い。国民生活基礎調査では、貯蓄がない高齢者世帯は16.8%、その他の低貯蓄の世帯も多い。貯蓄があっても日常の生活費への支出が理由で高齢者世帯の約44%で貯蓄は減少し、生活が苦しい(「大変苦しい」「苦しい」の合計)と回答する高齢者は約58.8%にもなる。

非正規現役世代は「下流老人」化

 「下流老人」という言葉が2015年の新語・流行語大賞にもノミネートされた。「下流老人」という言葉をつくったのは、藤田孝典さんだ(「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」朝日親書)。「下流老人」とは、収入が著しく少なく、十分な貯蓄がなく、頼れる人間がいない状態で「あらゆるセーフティネットを失った状態」だ。

 藤田さんは、「家族扶助を前提とした年金制度の崩壊」を指摘し、年金制度の見直しをしなければ、「下流老人」の問題は永遠に解決の道筋が見えないと指摘する。

 公的年金には国民年金と厚生年金がある(共済年金は10月より厚生年金に一元化)。国民年金だけの受給者は約1千万人で、国民年金の満額は約78万円(月額約6万5千円)。しかし、受給者の平均月額は約5万円だ。特に女性の受給額が低い。貯蓄はあっても稼働所得がなければ「下流老人」化の可能性が高い。

 国民年金の加入者(現役世代)の平均年収は、非正規化、低賃金化を背景に、男性が205万円、女性112万円、年収階級別では150万円以下が男性で64.5%、女性は74.8%だ。(「公的年金加入者の所得に関する調査結果の概要」2012年7月)。現役の年収150万なら生活保護と同程度の収入だから、国民年金保険料を負担ができない国民も多い。

 国は、年金制度を見直して、非正規労働者への厚生年金の適用拡大と、年金の受給資格期間を10年とする予定だが、加入者が低賃金である場合、受給資格期間の短縮があっても、低年金という問題にはまったく無力だ。低賃金の非正規の現役世代は「下流老人」に直結するリスクが高い。

「丁半バクチ」で年金が消える

 約140兆円の年金積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、世界最大級の投資ファンドだ。しかし、世界同時株安の影響で7~9月期に被った年金の損失は、約7.9兆円とされる。

 これまで年金積立金の6割は、「日本国債」で運用されてきた。運用利益が大きくはないが、年金を絶対に減らすことはできないため、安全な運用先として選ばれてきた。ところが昨年10月、安倍政権は方針転換し、約140兆円の年金積立金の25%で「日本株」を、25%で「外国株」を、15%を「外国債」に投資することに決めた。

 数兆円の規模の資金が流入することで株式市場は大いに潤った。その結果、昨年度の運用利益は15兆円を越えたが、年金財政の投入で株価が左右されるならばこれは官製相場だ。

 株価が下がれば巨額の損失を負い、世界最大級のGPIFが売りに走れば、更に株は下落し、結局株を売れずに年金資金が消滅する可能性がある。

 更に問題なのは、10月から「ジャンク債」と呼ばれる海外の低格付け債での運用を始めたことだ。「ハイリスク・ハイリターン」の新興国の国債や社債に年金が投じられることは「丁半バクチ」だ。

給付水準が低すぎて生活保障ができない
私的年金・企業年金は対策ではない

 年金積立金の運用収入に、儲けを期待するのは誤りだ。厚生年金保険法や国民年金法が求めていることは「被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的」に運用を行うことであり、運用収入は、あくまでも副次的なものであり、年金財政における中心的な収入は保険料収入及び国庫負担だ。

 厚生労働省は昨年6月、公的年金制度の財政の将来見通しを(財政検証)を発表した。この財政検証では、経済が順調に成長した場合でも年金額は大幅に下がる。社会保障は、国民の生活と暮らしを考えた上で、望ましいあり方を考え、そのための財源を確保するために、不公平税制の是正や負担能力にあった法人税や所得税の累進課税の見直しを先に検討するのが常識だ。

 政府は、私的年金(企業年金など)の改善を法案化したが、公的年金の抜本改革が伴わなければ、国民の「下流老人」化に目を塞ぐだけだ。

年金給付に必要な財源確保を

 政府は、年金支給額を物価や賃金の上昇よりも低く抑える「マクロ経済スライド」を初めて4月から実施した。今回の改定額は、マクロ経済スライドの削減分0.9%と、「特例水準」の解消分マイナス0.5%で、合計1.4%の削減だった。

 今後、マクロ経済スライドを続ければ、物価や賃金が上昇しても年金の実質的な価値は目減りし続ける。政府は、0.9%のマクロ経済スライドによる公費の削減額を毎年1,000億円程度としている。この調整が報酬比例部分で10年間、基礎年金で30年間続ければ、報酬比例部分は9%、基礎年金は27%も下がる。

 政府の年金制度改正の誤りは、企業の事業主負担や国の負担を回避し、保険料負担の上限を設定し、その範囲内で給付水準を調整するとしたことだ。これでは、給付の水準が低く生活保障はできない。

 政府が行うべき役割は、年金による株価対策でもなく、「低年金者に現金3万円」(対象1250万人)という参議院選挙対策でもない。老後の生活保障の確保と、そのために必要な財源(保険料収入と国庫負担)をどのようにすべきかを検討することだ。

ひとり親世帯の子どもの貧困率54.6%

社会新報2015/11/25


児童扶養手当の引き上げで改善を
貧困による健康格差が拡大

 安倍政権は、一億総活躍をスローガンに「新3本の矢」として「夢をつむぐ子育て支援」を挙げ、子育てにやさしい社会を創り上げるとする。しかし、日本の子どもの貧困率は16.3%、ひとり親世帯では54.6%だ。子どもの貧困対策のためには経済的支援が不可欠だ。

子ども食堂が各地で始まる

 「家族で夕飯を食べたことがなくコンビニ弁当などで、一人で食事をするひとり親家庭などがあっても、自らが『貧困だ』と公表することはなく、支援は容易ではないですね。」と話すのは、山口菊子さん(東京都・豊島区議)だ。

 山口さんは、これまで議会で何度も「子どもの貧困」を取り上げた。本会議の一般質問では、高校入試の経済的支援を提案したが「進学しないのは別の道の選択であり、経済的理由とは考えにくい」と教育長が答弁した。子どもの貧困について行政は実態を把握していなかった。

 その豊島区では、今年1月「子ども食堂」サミットが開催され、「子ども食堂」の取り組みが交流された。豊島区では、子どもたちだけでも入れる「あさやけ子ども食堂」が2013年春にオープンし、一食300円で夕食を提供(第一・第三水曜日)している。食堂には、夕食を孤食していた子や、不登校の子、赤ちゃん連れのシングルマザーも来て、みんなで同じご飯を一緒に食べ、宿題をしたり、一緒に遊ぶ。食事の提供は大勢のボランティアが参加している。

 あさやけ子ども食堂のオープンさせた「豊島こどもWAKUWAKUネットワーク」は、プレーパークを運営する中で、子ども達の状況を把握し、学習支援や子ども食堂を開始してきた。山口さんは、「子どもたちと垣根のない関係で接する機会を作っていかなければ、本当の実態はつかめない」と指摘する。子どもの貧困の見える化は、地域での具体的な取り組みにかかっている。

虫歯・低体重の出生に貧困が影響

 貧困状態にある家庭の子どもの食事の種類と量・習慣には貧困が反映する。貧困状態にある家庭の子どもの調査(小学5年生923人)では、貧困状態にない子どもに比べて、家での野菜摂取頻度が「週3日以下」が2倍で、休日の朝食の欠食「食べない・食べないこともある」が1.6倍。インスタント麺・カップ麺の摂取頻度「週1回以上」は2.7倍にもなる(厚労省研究グループ調査)。

 別の食事の調査では、1日1人約330円、食事が主食のみ52%、主食と主菜は22%で、欠食が9%もある。栄養バランスが悪い、体調をくずす、耐力がない、貧血、めまい、やせ、身長が伸びないなどの食生活による子どもの健康や発達への影響の不安があると回答した人は6割になる(フードバンク山梨などの共同調査)。

 「豊島区では、中学生までの医療費が無料になっても、学校歯科健診で無残な歯の状況にネグレクトを疑い児童相談所に通報する事例もあります。貧困のために親が子どもの健康に目を向けるゆとりがないのではと思います。」と山口さんは指摘する。

 貧困世帯の子どもはそうでない世帯に比べ、虫歯のある割合がほぼ2倍(2012年「まちと家族の健康調査」・東京大学)とされる。虫歯には、幼児期の生活と経済条件が大きく反映され、格差が明瞭に出ると考えられている。

 日本では、低体重で生まれる子どもが増えている。出生体重の小さかった子どもは、大人になってから糖尿病になるリスクが高い。所得格差が大きい都道府県では、子どもが低体重で生まれるリスクが高い。人生のスタートラインから貧困による健康社会格差が発生している。

母子世帯はワーキングプアが多い

 日本の子どもの貧困率は、1990年代半ば頃から上昇傾向にあり、過去最高の16.3%(「国民生活基礎調査」2013年)となった。子どもの6人に一人、320万人が貧困状態にある。OECDの平均は13.3%だから、日本の子どもの貧困は国際的な比較でも深刻だ。

 特に深刻なのは、大人が1人の世帯の子どもの貧困率が54.6%(OECD平均31.0%)で、先進国で最悪の高水準であることだ。ひとり親の約9割を占める母子世帯は、増加傾向にあり約124万世帯となる。日本の母子世帯の特徴は、「ワーキングプア」だ。他の先進諸国に比べても就労率が高く約8割が就業するが、その就業による平均年収は181万円。さらに、母子世帯の就業者の約6割を占める非正規雇用の平均年収はわずか125万円(正規の年平均270万円)だ。

 母子世帯になってからの困った経験の調査(北海道民生児童委員連盟調査)では、十分な食べ物を買うのに困った約36%、ガス・電気・電話料金の支払いに困った34%、子どもの学校の必要な経費の支払いに困った23%、クレジットカードの支払いに困った約22%、住宅ローンの支払いが遅れた約10%、金銭的な理由で医療サービスが受けられなかった約10%と本当に切実な声がわかる。

 子どもの貧困率を削減するためには、政策として非正規労働者の待遇改善、男女の雇用賃金格差の改善が必要となる。

多子加算をせめて1万円に
貧困が世代を超えて連鎖しないように

 「全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会を実現する第一歩として、みなさん、どうか力を貸して下さい!」と児童扶養手当増額(複数子加算)実現を目指す署名活動(赤石千衣子さん他有志一同)が行われている。

 その呼びかけでは 「子どもを5,000円で育てられますか?」と疑問を投げかけ、2人目以降の手当の加算額を、せめて1万円に増額することを求めている。

 児童扶養手当は、所得制限はあるが扶養している1人目の子どもには、最高月額42,000円が出る。しかし、2人目には、どんなに所得が少なくても月額5000円、3人目以降は、月額3,000円しか出ない。これでは、子ども1人の1カ月分の食費にすらならない。

 政府は、「子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう」対策を行う(子どもの貧困対策大綱)としている。

 その実現のためには、児童扶養手当の多子加算の改善だけでなく、支給年齢(現在18歳まで)、支給限度額の引き上げ(現在130万円から減額開始)などの改善も必要だ。

 政府は、「ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクト」で本年末までに政策パッケージを策定し、「児童扶養手当の機能充実」を検討するとするが、日本の子どもの貧困率を削減するには、他のOECD諸国が行っているように政府の再配分機能を強化し、所得の格差を是正することを基本とすべきだ。
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