Le Jardin Secret 〈ル ジャルダン セクレ〉
つい最近怪我をした
壁に体をぶつけて
その流れで柱に頭をぶつけた
その時 初めて頭から血が出た
不思議な感覚だった
痛くもない 温かい ヌルッとしたのが
髪にまとまりついて それを見て私は
少し幸せだったんだ
良かった
これで誰かが私を心配してくれる
誰かに手を握ってもらって
大丈夫?って言ってもらえる
1人で孤独に泣くことがなくなる って
でも現実は
1人で病院に行って
1人で説明して
頭が縫われている見えない恐怖の中
自分の震える右手を
もっと震える左手でそっと繋いだ
求めなければ与えられない
私は 痛いですか? の問いに
大丈夫です と答えた
私のわずかな幸せは
自分の手で 自ら手放したんだ
問診票を書く中
髪から伝って血が何度も零れ落ちた
私が人前で泣けない分
その代わりのように血が髪を汚した
1人でも大丈夫
そう思って 頑張ってきた
そして本当に1人でも大丈夫なんだね
寂しい夜は何度も来るけど ね
今日は 何食べた ?
明日は 何食べようか ?
こんな話が毎日できる時って
きっと幸せな生活なんだろうな …
将来の不安や 毎日の安定
そんな心配をしなくていい
そんな生活が当たり前なら いいのにな
私は 何になれるかな ?
眠れない夜に
近くのカフェに来た
お気に入りのホットドリンクと
食べたかったチョコレートケーキを注文する
チョコレートケーキは品切れ、
泣く泣く他のケーキを選ぶ
店内の客はまだらで
カップルが1組、妙齢の女性たちが1組、
男女の3人グループが1組
目の前に座るカップルは
とても仲睦まじく
寄り添って本を読んだり勉強している
しかしどうやら
男性の方は眠いみたいで
時々うつらうつらと船を漕いでいる
確かに今はもう良い時間
通常なら彼は寝ているのかもしれない
彼女は、そんな彼を知ってか知らずか
ニコニコ笑って本を見ながら話している
あ、、、
彼女も彼が眠そうなことに気づいたようだ
そして、ごそごそと鞄から目薬を探し出し
彼の目に彼女は、目薬を刺してあげている
若い彼女には家に帰るという選択肢が
もとよりないのか、それとも
今夜が最後の今生の別れなのか …
どちらにしても微笑ましい
なぜなら両者が笑顔で幸せそうなのだから
そんな二人を見ながら私は
たいして好きでもないケーキを口に運ぶ
ただ甘いだけの果汁由来とかうたってる
色付きフルーツシロップの塊は
私が一番嫌いな甘いものだっていうのに
あの時、何故これを選択したのだろう
自分に合わないと分かっていたのに
私の人生みたいだ
このケーキの嫌な甘さが
私の舌に余韻として残るように
私の心にも失敗たちが
嫌な余韻を残して存在している
経験は財産だ、それは確かに事実だけれど
しなくていい経験が世の中には多くあることも
私は理解しているから、 ずっと苦しんでいる 。

