これまでのお話

実家処分を決意するまで

実家をしまう　

母屋をしまう

解体前の後片付け

解体と売却

実家じまい後

家を買う ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨

仮契約中の家を見学した後、長女の意見を聴いてみた。

長女は立地がやや郊外であるものの、家の機能や間取りには納得したようだった。
建売りではあるが、良い家だと言ってくれた　

しかし、担当の営業さんに心細さを感じたのは、彼女も私達と同じだった。
彼女の家の担当さんは、回答や対応が早く、要望も良く聞いてくれて頼り甲斐があるそうだ。

確かに彼女の担当さんと比べてしまうと、私達の担当営業さんは心細く思える。
でも家の機能や値段を考えたら、私達夫婦と母はこの家で充分だと納得し始めていた。

しかし、やっぱり契約日はもう少し先でも良かったな、と思っていた。
契約日はもう数日後に迫っていた。
それでダメ元で、変更可能かどうか営業さんに連絡することになる。

営業さんが電話に出ると、私は次の様に伝えてみた。

家を契約する気持ちは変わっていない。
しかし、本日の長女からの確認事項にはまだ明確に答えていただいていない。

私達がホームページなどで確認した事に、同意してもらっただけだ。

私達はあなたに少し心細さを感じる。

なので、そちらからの回答を待って、それらが私達が調べたものと相違ないか確認してから契約したいので、契約日を少し先に延ばしてもらえないか。

と。

すると営業さんは動揺した様子で、

「少々お待ち下さい・・・」

と言い、電話を保留にした。

その時、私は思った。

これは、仮契約の時と同じだ、と。

先日の仮契約はその会社の応接スペースで行われた。

私達は値段交渉をする派だ。

なのでその日も仮契約前に、値下げできるかどうか訊くだけ訊いてみようと思い、夫が営業さんに尋ねた。

「まあ、仮にですよ、仮にですが、もし今日仮契約するということであれば、もっと値引きとかあるんですか

例えば、〇〇〇万円にしてくれるとか　」

私達の問いかけはあくまでも交渉で、相手が断ってきたなら、それはそれで良かった。

しかし、それまでニコニコしていた営業さんは急に言葉につまり、動揺した様子で席を外し奥の事務所に入って行ってしまった。

しばらく待たされた後、彼は上司らしい人を連れて出てきた。

そして、上司が言う。

「値引きというのは無理なんですが、代わりにこれでどうでしょう　」

と、代わりのサービスを提示してくれた。

営業さんは上司の隣で黙って、うんうんとうなずいていた　

そのサービスは、私達にとってなかなか嬉しいサービスだった　

それで、私達はサービスを快諾して仮契約を結んだのだった。

そういう事があったので、今回の私達の質問の回答に困った営業さんは、またその上司と相談しているのだろう。

電話でしばらく待たされた後、やはり仮契約の時と同じ上司が電話口に出てきた。

思いがけず、彼はちょっとキレ気味だった　

「仮契約の時、契約するって言うからサービスしましたよね　　」

いきなり、こんな感じの言い方をする　

スピーカーで話していたので、夫もこのやりとりを聞いていて、私のフォローのために会話に割り込む。

「あ、でもうちは、とりあえず値引きがあるのかどうか訊いただけで、サービスはそちらから言い出したんですよね」

夫の声に被せる様に、また上司が何か言っていたが、ちょっと言い争い気味になっていて良く聞き取れなかった　

上司の方が最初からキレ気味なのにも驚いたが、滅多に言葉を荒げない夫が言い返したのにも驚いた　

私は悟った。そうだ。これは契約なのだ。

期日を延ばせと言う方が無理だった。

言った私が良くなかった。

そして電話で上司に告げた。

「あ、すみませんでした　

大丈夫です。その家は気に入っているので、契約はします。

そのままの契約で大丈夫です。」

そう言うと、上司の声は段々落ち着きを取り戻し、ちょっと上ずった声で言った。

「それでは、その日にお待ちしております。」

そして、上司は営業さんと代わり、営業さんも言う。

「では、そういうことでお願いします。」

こうして、契約はそのまま行われることになった。

私達が、その家を購入することが決定した。

でも・・・、

なんか・・・、

なんか、非常識な悪者にされたみたいで、ヤな感じだった　

なんか・・・

なんか、もうちょっと言い方ってないの　

私と夫は、ちょっとアメリカに慣れ過ぎていたのかもしれない。

アメリカだと、ちょっと無理目なことを無理だと分かって言っても、サラッとウィットにとんだ返事で断ってくれる。

なので、こちらも嫌な思いをしない。

断られるのも予想済みだ。

今回私達は、日本では交渉の仕方に注意しようと、改めて思った。

夫も私も、なんだかモヤモヤした

でも、家には罪はないので・・・、

忘れることにしよう。

それからは、営業さんとのやりとりには、何を質問して何を回答してくれたかを表にして、分かるようにした。

そして会うたびに、質問と回答を確認しながら消去していった。

これって、私達がやることなの　とは思ったけれども・・・

それまではメモも取らない営業さんだったけれど、表にしたのは良かったらしく、良く調べて細かく答えてくれるようになった。

そして私達も、その会社との間に生まれた不信感を消去していった。

なんか・・・

なんか、色々あるな～、と思った。

少しモヤモヤしたが、その気持ちを新しい家へのワクワクに変えていこうと私達は努力した。

もうすぐ、その新しい家が手に入るのだから。

戸建て購入、思いがけないモヤモヤ 家を買う 10

戸建て購入、思いがけないモヤモヤ　家を買う 10