笹井氏の自殺は、とても悲しく残念です。

研究不正事件によって、もうこの様な事は起きて欲しくありません。


驚いた事に、私が笹井氏の訃報を知ってTwitterでつぶやいたツイートを巡り、笹井氏は暗殺されたものであり、それを事前に知っていた片瀬久美子がその首謀者であると主張する人が現れ、私への報復として「殺害予告」と受け取れるツイートまでされました。




また、そうした陰謀論をYahooニュースまでが取り上げました。

(さすがに、Yahooニュースの読者からは否定的なコメントが付いていますが)

http://buzz.news.yahoo.co.jp/article/fd6cb70c2c21e8d1b1524dcdb4889ced292636c2/


様々な陰謀論を誘発する切っ掛けとなった大元のブログは、当初、笹井氏の死亡を伝えたFNN速報を無視して、片瀬久美子が笹井氏の自殺に見せかけた殺害が実行されるのを知っており、報道より先に自殺したと迂闊にも早まってツイートして墓穴を掘ったと誤認誘導させる内容でした。

後から、FNN速報が先にあった事を多くの人達が指摘したので、ブログを一部書き換えて私が早々と「自殺と断定」したことが人として許されない行為だと糾弾しています。


FNNが10:00に第一報を伝えた事は、こちらにまとめられています。

http://matome.naver.jp/odai/2140720156814149701


私を陰謀論で陥れたブログは、アフィリエイト広告が壮観なほど多数貼られており、こうやって煽ることで炎上を仕掛けて自ブログに誘導して利益を得ようとしていると考えられるので、まんまと利用されない為にも、敢えてリンクして紹介しません。


それに尾ひれを付けたのが、日本と米国西海岸との時差を利用したタイムゾーン変更のトリックによる、「片瀬は1日前の8月4日18:08に笹井氏の自殺について言及している」とされた画像です。




タイムスタンプ拡大

上の画像は、実はタイムゾーンの設定が米国西海岸になっているのです。

(タイムゾーン変更は、ツイッターの設定から行えます)


日本のタイムゾーンでの表示(日本での通常設定)では、次の通り8月5日10:08と表示されます。
ごく単純なトリックです。



タイムスタンプ拡大



改めて、8月5日の私の笹井氏の訃報についてのツイートを時系列で示します。

(Twilogの記録より http://twilog.org/kumikokatase/date-140805

報道機関を除いて、私がリツイートした他の人達のツイートは外しました。


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私が前もって笹井氏の「自殺」を知っていて、それを期待していたという陰謀論者達がどれだけ無茶苦茶な言いがかりをつけているのか分かるでしょう。

私が笹井氏の死亡を待ち望んでいるならば、それと明らかに矛盾する内容のツイートをしています。

早々に自殺で死亡したと決めつけているのではなかった事も明かです。


私の2つ目のツイートで、「笹井さん、自殺することなんてないのに…」というツイートですが、

このツイートでの「自殺」というのは行為を指しています。

私が早々と死んだと決めつけたというのも言いがかりで、最初に知ったFNNの速報で「死亡」とされています。

また、wikipediaに10:09の時点で既に死亡日まで書かれた事に対して、「早すぎ…」と批判するツイートもしています。


そして、私は報道内容が「死亡」から「救命措置中」に変わった時に、死亡が誤報である事を願い、それをツイートしています。

こうした私のツイートをわざと無視して、かなり偏った断片情報だけを示して陰謀論が展開されています。


また、私が小保方さんの自殺も待ち望んでいると決めつけ、私を「吸血鬼」だと罵倒する人もいますが、とても失礼ですし、事実は全く異なっています。

私の一連のツイートの中で「笹井さんが自殺を図ったことで、小保方さんの心理状態の方も心配です。理研の小保方さんの周囲の人は、小保方さんにも注意を払って下さい」(タイムスタンプ10:27:39)とツイートしていることで分かると思います。


笹井氏の訃報は、情報が錯綜していました。整理すると、次のようになります。


1) 9時前に笹井氏を理研の職員が発見
2)(職員が死亡していると判断して)一旦死亡発表→第1報FNNの速報は10:00
3)病院に搬送→一旦死亡発表を取り消し
4)病院にて死亡を確認11:03
 
(死亡時刻は死亡診断書には書かれてるはずだけど、報道にはない模様)


また、同じ人達の陰謀論では、10:28配信の読売新聞の記事に午前11時過ぎに死亡が確認されたと書かれているのが変だというのが根拠の1つとされています。これは別に変でも何でもなく、記事の更新時刻が11時より後になっているのを見落としているか、わざと隠して騒いでいるのです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140805-00050078-yom-soci


いまだに、そうした陰謀論を鵜呑みにして煽られ義憤に駆られた人達から、私が殺人者扱いされており攻撃的な事を言われ続けていますので、経緯をまとめました

こんな安っぽい陰謀論に踊らされてしまう人達が多数いることに、改めて驚いています。


なお、殺人予告と受け取れるツイート等は、しかるべき所に通報しました。

 2013年2月に出版された『原発災害とアカデミズム』という本の中にある安冨歩氏の「早川由起夫教授の福島第一原発事故に関するツイッターにおける発言についての考察」の中で、私のツイートを引用して、私の発言こそが差別を助長しているとされていました。以下に引用します。

 

P249~(引用開始)

 

『差別の抑制に関する人間の意志の無力を認めるなら、差別の原因になる事態の発生を回避することこそが、差別抑制の最善の手段だ、ということになろう。早川氏の言うように、広島・長崎の場合と違って、引っ越しすればそれで、放射能のみならず、差別を回避しうるのである。それゆえ早川氏の「がんこ親父」発言は、差別の抑制を目指したものだ、ということが明らかだ、と私は考える。

 この発言に対して、軽率な攻撃を加えた者は枚挙に暇がないが、その大半は卑怯にも匿名である。片瀬久美子というペンネームのサイエンスライターが、次の様に発言していたのが注目に値する。

 

 片瀬久美子@kumikokatase
 早川氏の一連の差別発言の時にも、彼の発言のどこが差別に当たるのかさっぱり分からないという人達がいました。心理エラーによる麻痺みたいなものでしょうか。-2012年8月30日

 

以上の分析から、このような発言こそが、思考の麻痺によるものであり、差別を助長するものだ、と私は考える。』

(引用終わり)

 

※実際に早川氏がどの様な差別発言をしたのかは、次にまとめられています。
http://t.co/iV5Dpl48vy

 

 

 安冨氏の考えに従えば、福島から避難せずに差別されることを回避しない人達は、差別を受けても仕方ないということにならないでしょうか。

 

 また、安冨氏は「卑怯にも匿名である」として、次に私の名を上げています。代表例として取り上げたと読み取れます。しかし、ペンネームは著者としての責任を一貫して負っている名前であり、一般の匿名とは違っています。卑怯者呼ばわりは失礼ではないでしょうか。

 

■ネットでの匿名に関する考えとして「黒木ルール」が参考になります。

 

 
 【ネットの匿名について】 http://bit.ly/I44mNy
 

■安冨氏による私のツイートに対する誤誘導について

 

 

 安冨氏は私のツイートを一つだけ取り出して解釈されていますが、一連の流れを無視されています。私は「心理エラー」という言葉を使っていますが、そのツイートだけを読んでもその言葉が出てきた背景は分からないので、読み手はこの著者に簡単に誤誘導されてしまいます。

 

 
 私のツイートに「心理エラー」という言葉が出てきた私の一連のツイートの流れです。
 
”日本生態系協池谷会長 発言認める  「差別と思ってない」 | 県内ニュース | 福島民報 http://t.co/KAJMmzR6VJ @FKSminpo さんから”
 
(日本生態系協会 池谷会長の問題発言を報じた福島民報の記事がリンク切れしていました。こちらの方でご確認下さい。
「福島の人とは結婚しない方がいい」日本生態系協会池谷会長が発言 - NAVER まとめ http://matome.naver.jp/odai/2134628166508203801  )

 

”差別的な発言だと認識できないから、平気で差別発言をしてしまうのでしょうか…。”

 

 

”なるほど、それによって現れた行動として考えられますね。RT @sakura_osamu これこそ「行動免疫システム」の誤作動(=心のアレルギー反応)の典型例だと思うんですが。RT @かたせ 日本生態系協池谷会長「差別と思ってない」 http://t.co/EVTApq93

 

 

”過剰な放射線恐怖は、心理的なエラーの1つとして解釈することが可能ですね。それに加えて他者への配慮が欠けている場合に差別発言となって現れやすくなるのでしょう。”

 

 

” 早川氏の一連の差別発言の時にも、彼の発言のどこが差別に当たるのかさっぱり分からないという人達がいました。心理エラーによる麻痺みたいなものでしょうか。”

 

(↑このツイートだけが取り上げられました)

 

 

 佐倉統(@sakura_osamu )さんの「心のアレルギー」については、こちらを参考にして下さい。 

 

 

Togetter「佐倉統さんの過度の放射性物質忌避についての仮説」 http://t.co/fBXgUg7vhS

 

※読売新聞に掲載された佐倉氏の論考から引用します。

 

『最近の進化学と心理学の学際研究から、人の心には病原体への感染を避けようとする「行動免疫システム」が備わっていることが明らかになっている。石器時代は病気にかかる可能性が今より格段に高く、かかったときのダメージも非常に大きかったので、人間の心は過敏に病原体を忌避するように進化してきた。風評被害は、これが「誤作動」したものだというのが、私の意見だ。危険がないのにシステムが機能してしまう誤作動は、生き物としての人間の進化を超えて環境が急激に変化してきたことに起因すると考えられる。行動免疫システム自体は、過酷な環境の中で人間が生き延びるために必要な性質だが、それが発動すべきでない場面で作動してしまうと、様々な弊害を生み出す同様の現象にアレルギー疾患がある。これも、本来は有害な異物を体外に排出するための反応だ。風評被害は、「心のアレルギー反応」といってよいだろう』

 

 このシステム誤作動による「心のアレルギー反応」を「心理的エラー」の1つと捉えて発言したのが、安冨氏が取り上げた私のツイートです。

 

 

 福島の人達への差別発言をどこが差別なのか感じとることができない人達についての考察は、開沼博氏も別の視点からされています。「どうしてぼくたちはすれ違うのか ―― 社会学者が語る、震災後の断絶の乗り越え方」 http://t.co/4Nl0oPtTfX

 

 

 この対談の4ページ目から引用します。

 

『差別を「政治的な差別」と、「市場的な差別」に分けて考えるといいんじゃないかと思っています。その区別でいくと、リベラルといわれている方は、「政治的な差別」にはきわめて敏感です。が、「市場的な差別」には驚くほど鈍感なところがあります。こういう市場で起こっている差別に対して、「われこそは弱者やマイノリティーの問題に敏感だ」という意識が強いような、いままで差別に反対してきたはずのリベラルな方の目が向かないという不可解な状況があります。』

 

 私は、開沼氏の視点にもなるほどと思います。早川氏の一連の差別発言を容認する背景には、福島の農産物を「食べたらケガレてしまう」と感じるのと、心理的な危険回避システムが過剰に機能してしまう誤作動によって差別が正当化されて鈍感になってしまうのではないかと推測できます。安冨氏の著書に戻ると、取り上げられた私のツイートは、池谷氏の問題発言に端を発した「なぜ差別を差別と感じられない人達がいるのだろうか」という思考の過程の流れの中のものであったのに、安冨氏は早川氏に対する軽率な攻撃」であり私のそのツイートこそが「差別を助長する発言」だと断定されています。

 

 安冨氏の私に対する言及は全く方向違いであり、読者に大きな誤解を与えるものです。また、安冨氏の考え方に従えば、(再度書きますが)福島から避難せずに差別されることを回避しない人達は、差別を受けても仕方ないということになってしまいます。現実問題として、それまでの生活・生き方を捨てて簡単に県外に避難できる人達ばかりではありません。そういう人達は、差別を受けても自業自得なのでしょうか?。在日韓国人は日本から出て行けばヘイトスピーチによる嫌がらせを受けないのに、出て行かないから嫌がらせされても仕方ないのでしょうか?私は、そうは考えません。

 

 

 福島の人達への差別についての、近畿大学人権問題研究所教授(社会学)奥田均氏の論文を紹介します。(これは奥田氏が共同代表をされている、差別禁止法を求める市民活動委員会のHPで全文が紹介されているものです)福島の人達への差別の状況や、「差別合理化の論理」についても触れられています。

 

 

奥田均著『福島差別―もうひとつの原発事故問題』(PDF) http://bit.ly/10qEBBq

 

 

 

私宛に、以下の様な事が書かれたメールが送られてきました。

※差出人は葵東氏とは別の匿名者です。

内容のほとんどが特定の人物に対する評価について書き綴られていたので、ポイントの部分だけ抜き出しました。

(漢字の間違いの訂正をして、文章も読みやすい様に一部整えています)


NATROMさんの発言姿勢について医療人権などへの著しい配慮の欠落から、厚生労働省と日本内科学会からトンデモ扱いされている問題児です」

NATROMさんの仲間であれば、警察や障害者の人権団体に相談するので後悔のないご判断に基づく行動をご忠告します」




私を訴えると予告されたので、確認の為に厚生労働省健康局疾病対策課の担当者である岩佐さんにNATROMさんへの評価が本当かどうか確認をしました。

(電話の音声を録音して書き起こしました。お答え頂いた内容を他者に伝える許可も頂いています)




<岩佐さんの答え>

「これに関しては、医学的な見解がどうなのかということで、それぞれの方がお互いの主張を出し合われていると把握しています。私たちの方で、原則として、これが正しい、これが間違っているといった判断をするということは、特に科学的な見解においては、審議会等を開かない限りはありません。

少なくとも、NATROMさんが本当にお医者様かどうかとか、そういったこともはっきり分からない中で、分かっているのはHP上の書き込みだけです。そういった事だけで、我々が医師としての適性であるとか、その事の良し悪しを判断するという風なことは原則的にはないです。



我々から、NATROMさんの発言に対して、それは間違ってるとか、取り消しなさいとか、基本的にはそういった言及をすることはありません。逆に、医学の世界の中でそれが正しいですよと言う場合にも、かなり慎重にさせて頂いております。化学物質過敏症に関しまして、今のところ私たちの方で、これが正しいですよとか、これが間違ってますよとか、そうした事を言ったりというのは私が把握している範囲ではありません」




また、厚生労働省がNATROMさんをトンデモ認定したという根拠として、次の様な事もネットで書かれていますが、


「化学物質過敏症(本態性環境不耐症)について根も葉もないことを言われたら厚生労働省の方へお問い合わせください。「健康局疾病対策課アレルギー疾病係」と交換に伝えれば担当が出ます。なお「化学物質過敏症は医原病だ」となどと主張する医者がいたら「学会を除名されるはず」が厚労省の見解です」

https://twitter.com/aoi_azuma/status/345333020611465216




これに関してもその様な見解を出したのかどうか質問をしました。

<岩佐さんの答え>

「当省の方として、この件(NATROMさんの人物評価)に関して公式な見解というのをお出ししたことはありませんし、特定の方のご意見をこれが正しいと認定したこともありません。厚生労働省と学会との関係についても、厚生労働省の傘下に学会があるというのでもありませんし、我々の方が除名しろと言ったら除名するというものでもありません」



(最終的にまとめると)

「厚生労働省として、(化学物質過敏症に対する)見解について、それが正しいかどうかということの判断というのは、特に科学的根拠等々についての面では行っていません。NATROMさんをトンデモだと言及していませんし、基本的にその様な評価は行いません」




とのことです。一部で伝えられている話とは、どうやら違っていることが分かりました。



また、日本内科学会にも質問しましたが、


「学会として、特定の医師に対してトンデモ認定したりすることはありません」

「日本内科学会に所属する医師が医原病かどうかについて言及しても学会を除名されることはありません」


とのことです。


(追記)

「日本内科学会は、化学物質過敏症の診療ガイドラインを作成しておらず、どういう見解が主流かどうかなどの判断についても学会として出していません」


日本内科学会から頂いたご返答についても、同学会事務局の承認を得て記載をしています。