左ハンドルの黒いBM
それもまた私を夢中にさせる要因の一つだった
彼を取り巻く全ての物が
私の目にはものすごくかっこいいものに映っていた
車に乗り込むと、隣には久しぶりに会う彼がいる
ずっと会いたくてたまらなかった人がすぐ側に
嬉しくてたまらない
だけど彼は何ら変わった様子もなくて
相変わらずクールなんだか何なんだか
自分一人が浮かれているなんておもしろくない
そう思って私は必死に平然を装った
向かった先は約束していた海
時間が時間だったせいか
思っていた通りそこには誰一人といなかった
裸足になって砂浜を走りまわったり
砂浜に文字を書いたり
波打ち際でじゃれあったりと
私たちは小学生のようにはしゃぎ回った
それからベンチに座ってお互いのことを話した
そこで彼が話し始めたのは”過去の恋愛話”だった
なぁ~~~んか・・・
おもしろくない
元カノがどうだのって別に聞いてないよ
っていうか聞きたくもない
すぐに態度にでちゃうのが私の悪い癖
きっとあからさまに嫌な顔をしていたのかな
それに気付いたのか
彼はおもしろがって私をからかった
『え?いじけてんの??(笑)』
「別にっ」
『おぉーい(笑)』
「ほっといって!!!」
『はぁ~・・・もう』
「・・・」
(怒っちゃった?呆れられちゃった??)
恐る恐る彼を見ると・・・彼は笑っていた
それから私の頭をポンポンとたたきつぶやいた
『ばーか』
まんまとはめられた
くやしい・・・
でも
ヤバイ、私この人のこと好きなんだ
うつむいて目も合わせられない私
彼の手は頭から髪をなでるようにして背中へと周り
あっという間に両手の中に包まれた
嫌味のない品の良い香水の香りがした
打ち寄せる波の音しか聞こえない海岸で
私たちははじめてのキスをした