第37章 新たな始まり The Beginning
今年の学年末の宴にはいつもの飾りがなく、セドリックの喪に服した黒い垂れ幕がかかっていました。ダンブルドアは生徒たちに真実は嘘に勝るという信念の下にありのままの事実を語りました。ヴォルデモートが復活し、セドリック・ディゴリーがヴォルデモートに殺されたこと。ハリー・ポッターが命をかけてセドリックの亡骸を連れ帰ったこと。今こそ強い友情と信頼で結束すべきこと。これから自分の生き方で正しいことと安易なことの選択の決断を迫られたとき、セドリック・ディゴリーを忘れないように。
「皆にもう一度言おう――ヴォルデモート卿の復活に鑑みて、我々は結束すれば強く、バラバラでは弱い。ヴォルデモート卿は、不和と敵対感情を蔓延させる能力に長けておる。それと戦うには、同じくらい強い友情と信頼の絆を示すしかない。目的を同じくし、心を開くならば、習慣や言葉の違いは全く問題にはならぬ」
「セドリックを忘れるでないぞ。正しきことと、易きことのどちらかの選択を迫られたとき、思い出すのじゃ。一人の善良な、親切で勇敢な少年の身に何が起こったかを。たまたまヴォルデモート卿の通り道に迷い出たばかりに。セドリック・ディゴリーを忘れるでないぞ」(松岡祐子訳、第4巻、557-558ページ)
ホグワーツ特急の中で、ハーマイオニーはガラス瓶に入ったコガネムシを見せました。それが無登録のアニメーガス、リータ・スキーターだったのです。ハリーは悪戯専門店のためにと言って、フレッドとジョージに賞金の1000ガリオンを提供しました。暗い時代だからこそ、これから笑いが本当に必要なのです。ハリーはハグリッドの言葉を思い出しました。「来るものは来る。その時受けて立てばいい」。