3通目「伯父の手品」 | 絵本の里けんぶちからの手紙

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地元紙「北都新聞」さんに寄稿しています。
(2020年10月~
その中から定期的に発信していきます。

みなさんお変わりありませんか?

 

早速ですが、これまでに受け取った手紙を思い浮かべてみてください。

当時の記憶を振り返ったり、

もらった相手のことを懐かしく想ったりされたことでしょう。

 

わたしが最近受け取った葉書は、

文字を書くのが得意な伯父からでした。

90歳となった今でも達筆です。

内容は、引っ越しのご挨拶でした。

 

記憶では4歳ごろだったと思います。

両親と一緒に仕事をしていた伯父は、

手が空いた時にいつも一緒に遊んでくれました。

いつも吸っていたタバコの香りも浮かんできます。

 

わたしは、伯父が見せてくれる手品に驚きました。

手品といっても

親指を握ってスライドさせると親指がなくなっているとか、

タバコを耳に入れると反対側の耳から出てくる

といったシンプルなものです。

 

 

今考えると”タネ”がすぐにわかるものですが、

すっかりだまされ子供ながらに感嘆しました。

 

きっと、わたしのことですから

何度も伯父にやってみせてとせがんだはずです。

 

そのうちに「将来は、手品師になってみんなに喜んでもらうぞ!」と

心に決めおもちゃの手品を買ってもらいました。

 

しかし、使い方や仕掛けがわからず

年の離れた兄に手品をしてもらったわたしは、

またびっくりすることとなり・・・。

 

わたしの夢は、瞬く間に消えました。

 

「伯父さん、長年住み慣れた土地を離れて新天地での生活となりますが、

どうぞお元気でお過ごしください。

今でも心に残る楽しいひと時をありがとうございました。」

 

あなたの懐かしい思い出はなんですか?

記憶がよみがえるたびに心が温かい気持ちになりますように・・・。

 

<2020年11月13日 掲載 一部加筆修正>