歴史に思いを馳せる日曜の夜月夜
続いてますので、まずはこちらの記事をどうぞ↓
ハーブと、星と、ヒトの身体①



前回の記事で、古代の人々は、
人体は大宇宙の縮図であり、
小宇宙(ミクロコスモス)であると考えた、
と書きました。

これを提唱したのは、
医学の父と呼ばれるヒポクラテスです。



「汝の食事を薬とし、汝の薬を食事とせよ」
という彼の言葉は有名ですね。

加えてヒポクラテスは、
植物(薬草)を初めて治療に使用した人物、
初のハーバリストでもあります。



ハーバリストというと、現在もそうですが、
女性というイメージがありませんか?

星の動きを見て植物を摘む、
そんな姿が「異教を信仰する魔女」に写り、
大々的な魔女狩りが始まったというのは有名な話。

ヒーラーやハーバリスト、助産師を中心に、
その犠牲になったといわれていますね。

ですが、実は「魔女」として処刑されたのは、
女性だけではありません

中世の「魔女」を描いた絵画には、
男性の魔女も多数描かれており、実際にたくさんの男性も
魔女として摘発されていたのです。



自然や宇宙、そして星座の動きを参考に
身近な薬草で自らを癒やす方法を提案した
ハーバリストは性別問わず存在していたということ。

そんなハーバリストたちは、
高額の治療費が必要となる西洋医療を受けられない
貧しい市民たちの大きな味方となったということ。

魔女狩りに遭ったのは、地位や権力に惑わされず、
あくまで一市民たちの命を最優先にしようとする
慈悲深くて素晴らしい人々だった。


そんな風に私は考えています。



17世紀に活躍したハーバリストであり、
占星術師であるニコラス・カルペパーは、
医学会を敵に回し、病を抱える貧しい人々の家を
訪問したといわれています。

そして当時、ラテン語でしか書かれていなかった医学書を、
誰でも読めるように英語に翻訳したのです。

医者はその権威を独り占めにして、
その他大勢の「医者ではないセラピスト」たちには、
知識を共有させませんでした。

彼が数々の文献や本を英語に翻訳したことで、
多くの人々が自らを癒すことができたのは確かです。


12星座に彩られたニコラス・カルペパー




ちなみに、女性ハーバリストによる記録や著作がないのは、
当時女性の識字率が低かったことが原因です。

よって、ヨーロッパ最大の賢女と呼ばれた、
ヒルデガルト・フォン・ビンゲンが著した薬草の本は、
女性ハーバリストが遺した有形財産として
とても貴重といえるでしょうね。




続きます。
また明日。