皆さんおはようございます。先日、福岡市営地下鉄の西新駅改札で見かけた光景です。その日、自分は量子加工テスト用のゴルフクラブが入ったバッグを持って、参加メンバーの到着を待っていました。

すると、黄色い点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック)に、白杖でコツコツと小さな音を響かせながら、30代ぐらいのご夫婦とおぼしき目の不自由な男女が歩いて来られました。

私は点字ブロックの近くに立っていたので、サッと避けて、お二人を見ていると、駅員さんのいる改札の窓口に行かれました。ご主人は大きなリュックを背負っておられます。奥様は小さな斜めがけのバッグ。見てすぐにお見送りだとわかりました。

きっと駅員さんに、電車の乗り継ぎを聞いておられたのでしょう、奥さんの「気をつけてね。行ってらっしゃい」と、ご主人の「じゃあ、行ってくるけん、一緒に来てくれてありがとうね」という声が小さく聴こえました。

ご主人は駅員さんの肩に右手をかけて誘導してもらい、ホームへ行かれます。奥さんは、ゆっくりともと来た方向に振り向かれると、また白杖で点字ブロックを探しながら、歩いて行かれました。


長い黒髪のそのお顔には、ご主人の安全を願っていたであろう優しい笑みがあり、でも少しうつむいて去ってゆく後ろ姿は、本当に寂しそうで、私はその場で涙を押さえきれませんでした。

いまでも思い出すと涙が出ます。人はその後ろ姿に、本当の心の中が映し出されるのだなと思いました。光のない世界にも、何も見えなくても、愛は輝いているんですね。


【結婚式エンドロール】山下達郎 ずっと一緒さ