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『ぼくはハネ』


ぼくはハネ。

名前は むっちゃんがつけてくれた

ぼくは ハクモクレンという種類の木。

だそうだ


人が そういう風に わかり易いように

種類っていうのに分けてるらしい


むっちゃんとぼくは ともだち。


出会いは

少しまえの まだ 暑い季節。


むっちゃんは

カフェがやりたくて

お店をやる 場所を探してたんだ


そのために 散策してた

むっちゃんと 目が合ったんだ


目が合ったなんてゆうと

どこに?って思うかもしれないけど

心の目っていうのかな‥


ぼくも むっちゃんも

ん??!!って なったから


むっちゃんが真っ直ぐに

ぼくの方に歩いてきたときは

やっときたな!って思ったんだ(笑)


むっちゃんは

空き地たったここに そのカフェを

作りたいって

不動産屋さんに 目の前で電話したんだ

直ぐにだよ?!笑

すごいよね


ぼくは わくわくしたんだ

ここの 大家さんは 何か?を建てたがっていたし

でも 何が出来るか わからなかったから

ちょっと不安だったんだ


でも このひとなら

ぼくを大事にしてくれるかもしれないって

だってさ 人懐っこい笑顔で近付いてきて

こう言ったんだ

『初めまして』って笑


この時点では まだ ぼくは ただの木だった。


不動産屋さんとはなしして

むっちゃんは ここでカフェをやることになったらしい


まだ 日差しがチリチリしてる日に

むっちゃんが なんかブツブツと考えごとしてるみたいで 

そう思ったら 急にこっちを向いて

『名前‥キミはなんて名前がいい?』

そう聞いてきたんだ


な、なまえ??

なまえって なんだ????????


そしたら そのとき むっちゃんを飛び越してバッタが こっちへブーンと飛んできたんだ


また なんかブツブツ言ってさ

『バッタ‥グラスホッパー‥跳ねる‥

羽‥はね‥る‥‥』

そんでまた こっちみて

『ハネ!ハネって どうかな!!』

笑顔でこう言った


ぼくは なまえって 良く分からなかったんだけど

それは ぼくのことなんだっていうのは

むっちゃんをみてわかったから

大きく頷いたんだ

それ、素敵な 響きだ!


『よし!決まり!笑

ハネ、これから よろしくね!』


むっちゃんは 不思議なひとだ

ぼくの声が 聞こえるみたいだった


そのときから

ぼくは ただの木。から ハネになった。


むっちゃん

こちらこそ、よろしく!


さて‥そのカフェを作る工事が始まる。

その前に‥

突然 ぼくの側におじさんたちがやって来て ぼくの枝をちょん切り始めたんだ

え、、なんで?むっちゃんと よろしくって握手したばっかりなのに

ぼくなんで切られちゃうの??やだ!やめてよ!!ぼくを切らないで!!

その声が届いたのか むっちゃんの お母さんが どこに建てるのかしら?って見に来て ぼくが切られてるから ビックリして

もし これ以上切るなら おじさんたちに

声をかけよう!って思ったんだって


その日は ぼくは 丸裸で 真ん中のカラダと太い枝が三本くらい、食べる時に使うフォークみたいな姿になってしまった。

ぼくは プルプル震えてた

怖くて怖くて震えてた


むっちゃんの おかあさんが自転車で

慌てて帰る後ろ姿をみて

ぼく どうなっちゃうんだろうって

不安で不安で仕方なかった


少ししたら おかあさんに聞いた むっちゃんが血相変えて駆け付けて

何やら 不動産屋さんとはなしをしているようで 大きな溜息をついて 悲しい顔をした

ぼくの方を見た むっちゃんは 悲しそうで

残念そうで 申し訳なさそうで‥

近付いてきて 

『ごめんね‥やっぱり‥』

そうして ぼくに触れたんだ


助けて!!!!


ぼくは そう叫んだ


むっちゃんは ビックリした顔をして

そして しばらく黙って

また 大きく 深呼吸して

まっすぐ ぼくを見つめて こう言った

『あたしが ハネを守る!』


あとで 聞いたはなしなんだけど

むっちゃんは シンボルツリーにしようとしていた ぼくが 丸坊主で小さくなっちゃって‥ここは諦めようって、だから 最後のお別れを言おうって ぼくに触れたんだって。

でも むっちゃんは ぼくと一緒に歩もうって 決めたらしい。


そんな ぼくは 今は また違うオーナーさんと 楽しく暮らしている

でも むっちゃんとの出来事を

みんなに おはなししようかなって

思うんだ。

今だから 話せることもあるし


時々‥

少しずつ ぼくのおはなしに

お付き合いしてくれると

嬉しいなと思います


また おはなしのつづき

いつか