平成5年の夏。

娘がまだ小学2年。

母がくも膜下出血で倒れて意識不明になった。

あの夏は

毎日雨が降り

雨がやんでも曇天の空模様。

確か米が不作でタイ米が出回ったと思う。


最初は病院に泊まり込んでいたが

意識を回復するのは

もう奇跡。

覚悟を決めて下さい。と言われて

娘と祖母の世話をする為

家に帰った。

毎日雨の中を病院に通った。

その時の空は

私の言いようのない心を映している様だった。

意識のない母の手をさすったり

話しかけてみたが

目を覚ます事がないまま

天に召された。

お通夜も雨。

そして

告別式。

ものすごく晴天になった。

その夏一番の晴れだったと思う。

それは今日の空の様な

暑い陽射しが照りつける

真っ青な空。


空を見上げて
ふと思い出した。

母の遺影を抱きしめながら
霊柩車のエアコンがやけに寒く
早く斎場に着かないかなと思っていた。

今思えば
母は晴れ女だったのかな?

そして今日も空を見上げる。

そして
空も私を見ている。
きっと母が
見守ってくれている。