皆様こんにちは。株式会社HARMONYの山本航聡です。
前回はライフサイクルコストの全般的な記事を書かさせていただきました。
今週は外壁に焦点を当てた記事を書いていきます。
窯業系サイディングの特徴とコスト
特徴
窯業系サイディングは、戦後住宅の工業化にともない一気に普及し、低コストで施工もしやすいことから、現在日本で一番使われている外壁材です。
セメントと繊維を混合して形成された材料で、耐火性、耐候性、デザイン性に優れています。木目調や石目調など、多様なデザインが可能で、自然素材の質感を再現できる点が魅力です。しかし、その一方で重量があり、施工時にはしっかりとした下地が必要となります。
初期コスト
窯業系サイディングの材料費は、1㎡あたり約2万円、100㎡の場合は200万円です。施工費は1㎡あたり約1.5万円、100㎡で150万円です。初期コストの合計は約350万円です。
メンテナンスコスト
窯業系サイディングは、定期的なメンテナンスが必要です。約10~15年ごとに再塗装が必要で、1回の塗装費用は50万円です。35年間で3回の塗装が必要と考えると、合計で150万円かかります。また、コーキングの打ち替えも約10年ごとに必要で、1回の費用は20万円、35年間で3回のため60万円がかかります。さらに、年に1回程度の清掃が必要で、1回の清掃費用は0.5万円、35年間で17.5万円です。
修繕コスト
窯業系サイディングは耐久性が高いものの、部分的な補修が必要になる場合があります。35年間で約35万円の修繕費用を見込んでいます。
廃棄コスト
最後に、廃棄処理費用がかかります。解体時の廃棄コストは約30万円です。
総合コスト
窯業系サイディングの35年間のライフサイクルコストは、初期コスト350万円、メンテナンスコスト227.5万円、修繕コスト35万円、廃棄コスト30万円、合計で約642.5万円です。
金属サイディングの特徴とコスト
特徴
金属サイディングは、ガルバリウム鋼板などを使用した外壁材で、非常に軽量で耐久性が高いのが特徴です。錆びに強く、特に海沿いの地域や厳しい気候条件下でも長持ちします。モダンでスタイリッシュな外観を持ち、メンテナンスフリーに近い点も魅力です。
初期コスト
金属サイディングの材料費は、1㎡あたり約2.5万円、100㎡の場合は250万円です。施工費は㎡あたり約1.5万円、100㎡で150万円です。初期コストの合計は約400万円です。
メンテナンスコスト
金属サイディングは、長期間メンテナンスフリーであることが特徴ですが、経年劣化により塗装が必要になる場合があります。35年間で2回の塗装が必要と考え、1回の費用は50万円、合計で100万円です。また、清掃費用は年に1回、1回の費用は0.25万円、35年間で8.75万円です。
修繕コスト
金属サイディングは非常に耐久性が高く、部分的な修繕が必要になることは少ないですが、35年間で約15万円の修繕費用を見込んでいます。
廃棄コスト
廃棄処理費用は、解体時にかかるコストが約20万円です。金属サイディングはリサイクル可能なため、廃棄コストは比較的低いです。
総合コスト
金属サイディングの35年間のライフサイクルコストは、初期コスト400万円、メンテナンスコスト108.75万円、修繕コスト15万円、廃棄コスト20万円、合計で約543.75万円です。
窯業系サイディングと金属サイディングの比較
初期コストの比較
窯業系サイディングの初期コストは約350万円、一方で金属サイディングの初期コストは約400万円です。金属サイディングは材料費が高いですが、施工費は同程度です。
メンテナンスコストの比較
窯業系サイディングは、再塗装やコーキング打ち替えが定期的に必要なため、メンテナンスコストが高くなります。35年間で227.5万円のメンテナンスコストがかかります。一方で、金属サイディングはメンテナンスフリーに近く、35年間で108.75万円とコストを抑えることができます。
修繕コストの比較
窯業系サイディングの修繕コストは35万円、一方で金属サイディングの修繕コストは15万円です。金属サイディングの方が修繕が少なく、コストを抑えられます。
廃棄コストの比較
窯業系サイディングの廃棄コストは30万円、金属サイディングの廃棄コストは20万円です。金属サイディングはリサイクル可能なため、廃棄コストが低く抑えられます。
結論
35年間のライフサイクルコストを総合的に見ると、窯業系サイディングの総コストは約642.5万円、金属サイディングの総コストは約543.75万円です。金属サイディングの方が約100万円以上安くなります。
この比較から、初期投資が高めでも、長期的なメンテナンスコストや修繕コストを抑えることができる金属サイディングの方が、総合的にはコストパフォーマンスが良いと言えます。ただし、建物の使用目的や地域の気候条件などによっても最適な選択は変わるため、総合的な判断が必要です。
本日は外壁のライフサイクルコストについて書かさせていただきました。
この記事が皆様の家づくりに少しでも参考になれば幸いです。
株式会社HARMONY
山本航聡(やまもとこうそう)