端的に回答すると全然大丈夫です。

ただそんなこと言われても不安だと思うので色々書かせてもらいます。

 

泳げないと一概に言っても、浮き輪があったら全然プールに入れる人から水に顔をつけるのすら怖いという人まで色々あると思います。5000文字も書けるということなので一から説明させてもらいます。長くなってごめんなさい。

泳げない人が不安に思いそうなことをいくつか考えてそれを払拭できるような説明が出来ればと思います。

泳げない人が不安に思いそうなことを順にあげてみると、

1、沈んでいってしまうんではないだろうか?

2、泳げないのに水中でどうやって移動するの?

3、ボンベがあるとはいえ、息を止めれないとダメなんじゃないの?

4、鼻から息できないのが不安、、、

5、空気を吸うときに一緒に水が入ってきたりしないの?

以上の5つに沿って説明していこうと思います。

 

1、沈んでいってしまうんではないだろうか?

まず、沈まないのか?という不安に関して。

ダイビングでは浮力量を調整出来るライフジャケットを装着して潜ります。浮きたいときにはその器具を調整して浮力量を大きくし浮上、沈みたいときには浮力量を小さくして沈みます。ダイビングを始める前は沈まない状態にその器具を調整し、海に入ります。水面で心の準備が出来てから器具を調整し、潜降します。自分で意思を持って器具を調整しない限り沈んでいくことはありません。ライフジャケットをつけたことのある人ならわかると思いますが、鬱陶しいくらいに沈みません。絶対に大丈夫です。また、器具が故障する可能性についても対策が施されています。ダイビングではネオプレーン生地といって空気を多く含む、発砲スチロールの布版のようなもので作られているウェットスーツを着るので水着で海に入る時よりもかなり浮力が増します。そこで潜降しやすいように鉛玉を腰に付けます。基本的にこれがないといくら器具を調整しようと水中に沈むことはありません。つまり、例え器具が故障したとしてもこの重りを外してしまいさえすれば絶対に沈むことはないのです。重りのつけ外しは最初に沢山練習しますし、ワンタッチなのでとても簡単です。

1番の質問についてはこれで以上です。

 

2、泳げないのに水中でどうやって移動するの?

泳げない人の最も大きな不安ではないでしょうか。浮き輪をつけてプールや海に入って足をバタバタしても自分が思っているよりあまり前に進まないイメージがあると思います。人間は水に入ると著しく移動速度が減退します。プロスイマーですら時速8km程度しか出ません。100mを20秒かけて走ったとしても時速18kmも出ているのにです。何が言いたいかというと、水の中で多くの距離を移動することは不可能とまでは言いませんが、馬鹿らしいし、ダイビングではそんなことはしません。大体1回のダイビングで45分くらいをかけて2、300m程度しか移動しないのです。1分かけてたった5mを移動すればいいと考えれば大分気が楽じゃありませんか?そこら辺の赤ちゃんでも気分が良ければもっと移動しますよね。ダイビングを始めて初心者の間は基本海底を這いながら移動します。泳げる必要は全くありません。でも、新歓ムービーやダイビングの動画を見るとみんな水中でかっこ良く泳いでいますよね。あんな風にかっこ良く泳げるのはフィン(足ひれ)を着けているからなんです。泳げない人にこの説明が正しいのかは分かりませんが、水面でクロールをする際の主な推進力は腕です。次から次へと手の平で水を掻くことで水車のように水を捉え、推進力を得ます。一方でダイビングをする際にはなるべく手を使わないことが推奨されます。これには色々な理由があるんですが、書き出すと止まらないので省かせてください。手を使わなくてもクロールよりも大きな推進力を足だけで得られるんです。そのくらいフィンの力は偉大なんです。フィンを着ければ適当に足を動かせば前に進みます。勿論フィンの動かし方には上手い、下手がありますが、これは通常の水泳とは全く違う感覚なので泳げる人も最初は出来ません。

どうでしょう。水中移動についても満足していただけましたでしょうか。

 

3、ボンベがあるとはいえ、息を止めれないとダメなんじゃないの?

水に顔を浸けれない人の大半は息が出来ない状況が怖いと思います。息が出来ないことは死に直結しますから、それは正常な感覚です。ダイビングではボンベを背負うため、息が出来るということは皆さんご存じだと思います。とはいえ、どこかのタイミングで息を止めたりするのではないだろうか。という不安もあると思います。結論から言うと、息を止めることは逆に禁止されています。ダイビングを始めて一番最初に習うことは絶対に息を止めるな!です。ダイビングでは絶対に息を止めてはいけません。

ここから長々と理由を書くので読みとばしてください。

ダイビングで息を止めてはいけない理由には肺と水圧が関係しています。肺は息を吸い込むと膨張し、吐くと収縮します。これを覚えたまま水圧について説明します。水中では大気圧とは別に水圧がかかります。人間の体は密閉されてはいないので体のそれぞれの器官に対して水圧がかかります。水圧は大気圧とは比べ物にならない力を持ちます。我々は海抜0mで1hPa=1000Paの大気圧を受けていますが、水深1mにおける水圧は1万Paに達します。水圧の危険度が良く分かると思います。では、肺と水圧の関係について考えてみましょう。水深1mで1cm3の空気を吸ったとしましょう。もしこの息を一切吐かないまま水面に浮上するとどうなるでしょう。体積が10倍の10cm3になってしまいます。たった水深1mでこの様子です。水深10mから一切息をはかないままに浮上すればどうなるでしょう。肺にある空気は膨張し、肺組織はその膨張に耐え切れず破裂し、血管に溶け込んでいる窒素は小さな泡だったのが大きな気泡となって体中の血管に発生します。体に大きな問題が起きるのは明らかですよね?これを防ぐために絶対に息を吐くことをやめてはいけないのです。息を吐きながらゆっくりと浮上していけばこのような問題は容易に防ぐことが出来ます。こうしたことはダイビングを始める際に説明されます。

ダイビングでは絶対に息を止めない、いえ、止めてはいけない理由が少しはわかっていただけたかもしれません。

 

4、鼻から息できないのが不安、、、

シュノーケリングが上手く出来なかった経験がある人から良く頂く質問です。普段陸上では鼻から呼吸しています。カラオケに行ったり、花粉症で鼻が詰まっていたり、意外と口呼吸をする場面はあるのですが、基本的には鼻呼吸です。ダイビング初心者が一番苦労するのはこの口呼吸と耳抜きだと思います。ダイビングではゴーグルではなく、マスクという鼻まで覆われた水中メガネを装着します。鼻と目全体を覆うので意外と空気があります。とはいえ、鼻呼吸は出来ません。正直これは頑張ってもらうしかない、、、と言いかけましたが、どうしても無理な人には顔全体を覆うマスクが存在します。まあ、色々とデメリットが多いので全くおすすめはしませんが、どうしてもという人はそういう選択肢もあります。ただ、私はダイビングを始めて2年経ち、色んなダイバーに出会いましたが、口呼吸が出来ないままだというダイバーには出会ったことはありません。

 

5、空気を吸うときに一緒に水が入ってきたりしないの?

水中で空気を吸ったことがない人にはこれは結構不安要素なのではないでしょうか。全く心配ありません。まずは陸上で練習をしてから水中に行きますし、今まで上手に空気が吸えなかった人はいません。もし上手くいかないようならシュノーケルで練習することも出来るので心配は無用です。

一応なぜ水が一緒に入ってこないのかも説明しておきます。

水中で呼吸するのにはレギュレーターという器具を使います。仕組みは非常に原始的です。息を吸おうとすると空気の弁が引っ張られて開き、そうでないときは閉じているというものです。壊れたときのことも考えられていて、壊れるとフリーフローといってずっと空気が出続ける状態になります。空気がずっと出続けるので少しパニックになりますが、息は吸えるので焦らずに呼吸しながら水面へと浮上すれば大丈夫です。

 

大変長々と書き連ねてしまいました。誰か読んでくれるといいな。