一昨日の23時頃、急性胆のう炎を再発。
◎応急処置
■経絡頚腕調整療法
コバルト1寸3分二番鍼にて、右鎖骨上窩の圧痛点に刺鍼すること数回、正気を保てるまでにはなる。

■宮脇奇経治療/子午治療
右季肋がカチカチになっているので手少陰脉と判断、定側の左通里-左太衝にテスターを貼るが痛みが変わらないので胆のうがある側の右通里-右太衝に貼り換えると少し良さそうなので、通里に5壮、太衝に3壮で奇経灸、更には子午治療で左腕骨に7壮施灸。
これ1セットとし繰り返すこと7~8セット、痛みが消失。
正に死地から生還した心地でした。
この世のものとは思えない激痛に、流石に今回はアカンと思いました。
救急車を呼んでもらおうとしましたが、どうせならと七転八倒しながらカバンを開いて治療道具を取り出し鍼を持ちました。
鍼灸師の性ですね。
止めどなく襲ってくる怒濤の痛みに何度も持っていかれそうになりました。
額から冷や汗が滴り落ちてきました。
あんな嫌な汗は記憶にありません。
何とか脉状も診れましたが伏脉になっていたので結構危なかったんだと思います。

それでも鎖骨上窩に刺鍼すると正気が戻り、通里-太衝と腕骨にひたすら施灸を繰り返して痛みが和らいでいき、ついには病邪を退けることに成功しました💦
◎考察
再発に至った原因を分析してみました。

■湿痰
年明けに急性胆のう炎を発症してから、生活面を見直し気を付けていたのですが、少しくらいならもう大丈夫だろうと思って当日の夜に外食したのですが、その後に発作が起こりました。
脂質や刺激物は湿痰という病理産物を温床します。
湿痰は気血の巡りを阻みます。
胆汁の分泌もこれに類推します。
■生気の虚
もうひとつの要因がトリガーとなりました。
外食して帰宅後に入浴。
どういうわけかいつもより長風呂をしてしまい疲れたので、風呂上がりしばらく横になっていました。
その最中に発作が起こったのです。
長風呂は体力を奪います。
体力=生気です。
入浴によって発汗しますが、発汗すると津液が失われます。
津液ともにソウリが開くので気も漏れます。
気陰両虚によって生気が損なわれると相対的に邪気が亢ぶります。
邪気>生気

話は変わりますが、長風呂や半身浴は陽実証の人以外はあんまりやらない方がいいですね。
デトックスということばが独り歩きしていますが、同時に生気も損なうことをお忘れなく。
■内傷なければ外邪入らず
邪気がそれほどでもなければ、あー疲れたなということで、生気が回復するまでしばらく休息すれば済む話です。
ですが、前述したように今夜に限って湿痰という下地をこしらえていました。
この邪気が生気の虚に剰じて猛威を振るい、抗えるだけの生気は気陰両虚のために皆無で、急性胆のう炎を再発してしまったものと推測します。
油断大敵とは正にこの事ですね。
よく鎮痛できたな、それ以上にあの痛みの中でよくもまあ治療できたなと思います。
奇経治療、子午治療、経絡頚腕調整療法は、本会では経絡治療の補助療法と位置づけられていますが、救急法としても非常に優れています。
前回の胆石発作に引き続き今回も身をもって文字通り痛いくらいに痛感しました。
そして即効性だけでなく、持続力もあるようです。
宮脇優輝先生は奇経治療は第二の経絡治療であるとしていますが、その通りだと思います。
今回のように急性期は急なれば標を治療します。
緩解期は緩なれば本を治療します。
生気を補い生気を妨害する邪気を瀉して生命力を強化します。
湿痰を除去するために、毎日肝虚脾実証で、胆のうが右にあるので健康側の左を適応側として左の肝経と腎経(だいたい土穴か水穴を選穴しています)を補って右の脾経を瀉しています(陰陵泉か地機に邪が客しています)。
たまたま上手いこといきましたが、胆石による急性胆のう炎を発症した場合は是非病院に行ってください。
女性の患者さんがお産より痛かったと仰っていましたが、石の痛みはやっぱり尿管にしても腎臓にして死ぬほど痛いです。
自分の勉強だなどとは考えないで潔く病院に行きましょう!

ただし、動けなくて救急車を待っている間で少しでも楽になれればとか、何らかの理由でどうしても今手を下さなければならないということであれば、胆石の場合は、右鎖骨上窩の刺鍼で腫れがひきます。
右通里-右太衝か右太衝-右通里か右内関-右公孫の奇経治療と左腕骨の子午治療で痛みが引くまで多壮します。
3つの奇経の選択はテスターを貼ってみて一番楽になる奇経が正解です。

結石の場合は、腹部の痛む箇所が何経の流注上かを鑑別してその経に対する子午陰陽関係の経絡を使います。
臍の傍らの腎経上が痛いのであれば大腸経、その横の胃経上が痛いのであれば心包経、その横の脾経上が痛いのであれば三焦経、その横の胆経上が痛いのであれば心経を使います。
絡穴、原穴、郄穴に反応が出ます。
それぞれのツボを押さえて痛みが和らぐかを確認してください。
必ず患部と反対側の経絡を使ってください。
右腎経痛なら左の偏歴か合谷か温留、右胃経痛なら左の内関か郄門、左脾経痛なら右の外関か会宗、左胆経痛なら右の通里か神門に鎮痛するまで多壮します。
上手くいくと痛みが去ってトイレでコロンと石が下ります。

ですが、自分では手に負えないときは医療機関に委ねるべきです。
くれぐれも無理はしないでください。
僕も次回発作が起こったときはどうなるかは分かりません💧

以上ご報告申し上げます🙇
(中外製薬HPより転載)