朝、母親に鍼する時間あるかと聞かれ、どうしたのかを問うと、昨日ジムでインストラクターについてストレッチの指導を受けたところ、段々と全身に痛みが広がり、しばらくせぬ間に悪寒が始まり、帰宅後発熱、解熱鎮痛剤で熱はすっかりひいたが、今朝もまだ全身が痛いし悪寒が残っている。
これはどこかに熱を持っている。
炎症。
にも関わらず悪寒する。
これは内に熱を持ったためにその反動で表の陽気が不足して悪寒する。
治療は清熱が本で、悪寒は標である。

脉を診ると浮・数・虚でやや硬い。
比較脉診は脾虚、心虚、肝実、腎実、肺平。
腹診も同じく脾虚肝実を呈している。
以上の体表観察より、肌肉に熱を持っていると診た。
筋肉から関節まで広く包括するのが肌肉。

症状に偏りがないことから、女性の優先適応側である、右からの脾虚肝実証で治療。

炎症しているので、六十八難病症選穴より身熱を主治する火穴を選穴し、右大都に銀鍼1寸3分一番鍼にて補法→検脉→脾が充実。次いで労丘に補法→検脉→心が充実。相剋する肝腎が平になる。陽経を診ると右関上胃の脉位に虚性の邪が浮いてきたので、脉位の右豊隆から枯に応ずる補中の瀉法→検脉→脉が整う。
本治法の最後に左陽池を補う。

標治法は、ストレッチで炎症するぐらいだから、ドーゼは軽い方がいいので全身に接触鍼で気を流すように散鍼して終了。

症状軽快。

今回の症例で再確認したことは人の体に何らかの刺激を与えるときは腹八分目が危なげないですね。
良くならなかったら良くなるまで来てくれますが、悪くしたら二度と来てくれなくなります。
母親も二度とこのジムには行かないと言っていました。
治療も同じです。
序列ですが、もちろん良くなった、治ったが一番最高ですが、先ずは来たときより悪くしないで帰っていただく位の心持ちで治療することが肝要です。
効を焦ってやり過ぎるとろくなことがありません。

僕は治療後や再診時に経過を尋ねて「特に変わりません」と仰った場合は、口では「特に変わりなしですね」と返しますが、心の中ではガッツポーズです。
だって、誤治反応はでなかったということですから間違った治療はしていないということになります。
またドーゼもオーバーしていないということにもなります。

脉、肌艶、顔色、患部の筋肉の緩みなど、体が変化すれば必ず良くなっていきます。
患者任せではなく、治療家が主体性を持って臨床を進めていけるように体表を綿密に観察して、変化が見られたら自信を持って治療を終えましょう(*^^*)

※補足
三焦経は虚実に関係なく、寒熱に使えます。
左の三焦経を補うと体が温まります。
右の三焦経を瀉すと体が冷めます。
病症によって使い分けると便利です。