応用鍼灸治療学Ⅴ(内科)の2回目は、脉診の実習を行いました。
脉診には脉状診比較脉診があります。
脉状診は手技手法の決定や治療の良否をリアルタイムで判定する最高のモノサシです。
比較脉診は治療すべき変動経絡を診察するためのツールです。

【脉状診】
患者の現在の体の状態を、浮いているか沈んでいるか・速いか遅いか・虚しているか実しているかの6つの観点から把握します。

浮脉は病が浅いところにあるので鍼は浅く刺し、沈脉は病が深いところにあるので鍼は深く刺します。
数脉は熱があるので手早く刺鍼し、遅脉は冷えているのでゆっくりと刺鍼します。
虚脉は生気が不足しているので補い、実脉は邪気が生気を妨害しているので瀉します。

治療前に確認した脉の状態が治療後に好転していれば今行った治療は正しく、悪化していれば今行った治療は間違っていたということが分かります。
こんなに分かりやすいモノサシはありません。
是非治療の良否の判定に使ってくださいました。

【比較脉診】
左右の寸・関・尺の脉位に配当された臓腑経絡の虚実を比較します。
特に、「内傷なければ外邪入らず」という東洋医学の大原則に従い、肝心脾肺腎の虚実を比較し、最も虚している経絡を診察します。

必ず左右の手を同時に診て、寸口同士、関上同士、尺中同士を比較します。
富士山とエベレストを比べるからエベレストが高いと分かります。
これと同じです。

脉診はとにかく毎日診ることが上達のコツです。
1回で分からなければ10回やります。10回で分からなければ100回やります。100回で分からなければ1000回やります。1000回で分からなければ10000回やります。そうして分かるようになるまでやればいつか必ず分かるようになります。

江戸時代後期、米沢藩主の上杉鷹山が家臣に言った有名な言葉があります。

「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、
成らぬは人の為さぬなりけり」

やったらできる、やらなかったらできないんだ何事も、できないというのはできないからじゃない、やれるまでやらないからだという叱咤激励ですが、どの世界においても技術を習得するためのコツは、正にこれに尽きます。

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