主訴 間質性膀胱炎による排尿時の痛みや疼き
兵庫県芦屋市在住 83歳男性
主訴の状況
2016年の1月から少しずつ、尿が近くなってくる。
2016年5月から徐々に排尿時の痛みや疼きがきつくなる。
少しずつ排尿時以外の下腹部の疼きや、尿意は起きるが排尿が出来なくなってくる(時間がかかってしまう)。
その後病院にて間質性膀胱炎と診断される。
来院時(2017年3月)には、昼・夜共に40分~60分に一度尿意が起き排尿に数分~15分程時間がかかり、排尿時の痛みがかなりきつく、一日中常に下腹部の疼きが残る。
といった状態である。
尿意と排尿のしにくさから、睡眠もろくに取れずに心身ともに非常に疲弊してしまっていました。
その他の症状
半年ほど前から暖かくなると、主に太腿から下が全体的に痒みと、動悸が起きるようになる。
痒みもかなりきつく、来院時には出血とかさぶたがいたる所に見られた。
20年前から高血圧と糖尿病を患っている。
10年前から前立腺肥大を患っている。
治療内容
身体の奥にこもってしまっている熱を冷まして、炎症を起きないようにする。
下半身の力(腎、膀胱なども)を回復させる。
といった事を目的に、背部・手足のツボに合計4本ほど鍼を行う。
週2回のペースで治療を行う。
効果が出だしたのは、治療4回目の後から!
徐々に尿意を催す時間が長くなってくる、常にあった下腹部の疼きが忘れている時が少し出てくる。
治療開始1か月を過ぎると、排尿時の痛みと下腹部の疼きの強さもかなりマシになる。
尿意を催す時間が2時間にのびてくる。
また排尿にかかる時間も少しずつ短くなり、本人も睡眠時間が取れるようになり、生活が楽になってきていると実感。
また太腿から下の痒みも少しずつマシになり、掻き傷が少し減っている。
治療開始2か月を過ぎると、排尿時の痛みは夜間尿の時のみになってきた。
夜間尿自体も以前は一晩に5~6回くらい起きていたのが、1~2回に減ってきている。
下腹部の疼きは時々排尿時に感じる程度になってきた。
治療開始3カ月半で排尿時の痛み、疼き、頻尿全て正常になる。
また太腿から下の痒みと動悸も全く起きなくなる。
その後は4、5週間に1回ほど治療に通って頂いているが、趣味で少し寝不足が続いた時、法事で遠方に出かけてかなり疲れていた時に、ほんの少し排尿時痛が出たものの一日で治まる。
それ以外の日は全く症状が起きていません。
患者さんから「本当に毎日おしっこの事で辛くて、死ぬまでこれが続くのかと思うと、生きていくのも嫌になりかけていました。
でもこれからは趣味のカラオケをして楽しんで生きていけます」と嬉しい言葉も頂きました。
解説
この間質性膀胱炎という病気。聞きなれない方も多いと思いますが、細菌が原因でなく慢性的に膀胱で炎症が起きてしまう病気で、現在の西洋医学では原因が不明で根本的な治療方法もないという病気であります。
この方の場合の原因について説明しますと、
元々心配性な性格で、特に身体に少しでも異常が起きると不安とストレスがかなりかかってしまうタイプでした。
この発症前に家族の事、趣味での人間関係トラブルが続いてかなり大変だったようです。
その精神的なストレスにより、身体の中で熱がこもってしまい炎症が起きやすい体質になっていました。
さらに身体の不調がストレスになりどんどん熱がキツくなってしまいました。
また年齢的に下半身の力(腎、膀胱なども)が弱くなっていた事が重なり今回の症状がおきました。
少し難しいかも知れませんが、この様に身体の中で熱がこもってしまうと、身体のどこかで炎症が起きてしまいます。
どこで炎症が起きるかは、その人の身体の中で相対的に弱ってしまっている所が非常に多いのです。
ですので上記にも記載しているように、
身体の奥にこもってしまっている熱を冷まして、炎症を起きないようにする。
下半身の力(腎、膀胱なども)を回復させる。
という二本柱で治療を進めていく事により、短時間で完治するという事が出来ます。
可能な鍼灸師が非常に少ないので、ご存知の方も少ないと思いますが、炎症を抑えるまたは炎症が起きにくい体に変えるという事に関して、鍼灸は大の得意分野です。
鼻炎、皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患。
胃炎、腸炎、腎炎などの慢性的な内臓の炎症。
関節リウマチや痛風などの関節の炎症。
なども今回の症例と同じように炎症を抑えて炎症が起きにくくするという事を意識して治療を行えば、きっちり効果が出ます!
今回の様に慢性的な炎症で苦しまれている方は非常に大勢おられます。
特に根本的な治療がないと診断されてしまうと、一生このまま過ごさないといけないという絶望的な思いが襲ってきます。
そんな方々の一筋の光になれるよう、日々病と闘っていきます!
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