そのお兄様は、それ以上多く
語らず、テニス女子の腕を捕まえ、
お店の外に出ようとする際に、私たちバイト仲間に向かって、
[こいつ、心配なんで、先帰ります。おさきです!]
ハキハキと、うるさすぎないくらいな声のトーンで、一声かけてくれた。
こんなお兄様なら、私にも欲しいとおもわせた。
さっきまで、自分の車がどうのこうのと、考えてた私が、本当におろかに思えた。
やはり、レベル1のままの私では、時期尚早だったかもしれない。
それほどまで、自然に、妹をエスコートさせていた、真の男の姿を目の当たりにしたからだ。
お兄様は、見た目を気になさらない。
髪の毛は、寝癖が、ついてないときは、ないし、ひげは、伸びており、眉毛や鼻毛は自由に遊ばせている。
服は、いつも、おなじのしわしわシャツと、ズボンは腰上に着こなし、
ダメージもかなりある。
ボタンの掛け違いは、もちろん。ズボンのファスナーさえも時にはあいてる時さえある。
靴には、お金をかけないタイプか、オールシーズン、ビーサンのようなサンダルを、身に付けるようだ。
もとが、何色かと、区別がつかない、色落ちもほどこされている。
普通に考えたら、誰もが近よりたがらないはずだ。
だが、いままさに、妹に兄としての模範解答をみせられた後では、その奇抜と思えるような、ファッションにも、一つ一つ意味を感じるようになるから不思議である。