所謂「消費税」は、

      :標準税率 :軽減税率
消費税率  : 7.8%:6.24%
地方消費税率: 2.2%:1.76%
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合計    :10.0%:8.0 %

の「消費税等」で、売上利益に掛かる「直接納付分」と、仕入価格(派遣社員などの外注費も含む)に上乗せされ仕入先に支払う「間接納付分」の合算額を、最終消費者が負担するかどうかを問わず、各事業者が支払います。つまり、「消費税は、消費者からの預り金では無い」と言え、これは国の公式見解でもあります。

 「消費税」は、売り上げ利益の基本税率10%(軽減税率8%)を販売業者が直接納税する「直接税」なのですが、仕入価格(売上原価)や経費に対しては10%の「間接税(仮払い消費税等)」を仕入業者に支払います。一般的な税抜き方式の場合は、

[売上額]=[売上仕入額]+[売上利益額]
[支払消費税額]=[総仕入消費税額]+[売上利益消費税額]

です。仕入商品の全てで「消費税」は支払済みですが、在庫商品は販売するまで「支払済み消費税」の回収が出来ません。上手い事やると「益税」が発生するのなら、販売前には「損税」が発生するのですが、そのような話は聞いた事が有りませんww

[未払い消費税額]≒[仮受け消費税額]-[仮払い消費税額]

未払い消費税額;業者が直接納税する金額(売上利益税)
仮受け消費税額;販売業者が販売時に上乗せした金額(販売税)
仮払い消費税額;販売業者が仕入時に上乗せされた金額(仕入税)

注)この時の「≒」は、端数処理(1円未満)の累計や納税単位(100円)によって発生する。

で計算されるようです。つまり、仕入税は「間接消費税」で、販売税の売上利益部分は「直接消費税」と言えます。

 但し「免税事業者(課税売上高が1000万円以下)」の場合は、「仕入税(仕入業者に支払う消費税)」の負担は有りますが、「販売税(売上利益に対する消費税)」が免除されているので「仮受け消費税」は発生しません。なので、「益税」が生じる事も有りません。但し、販売価格の設定次第で売上利益が増える場合は有ります。

 「免税事業者」が商品に「税込み価格」と書いても、それは「仕入税」が含まれていると云う意味です。なので、この場合消費者が支払う「消費税等」は「販売業者を介した間接税」と言えなくも有りません。

 インボイス制度の導入で「免税事業者(仮払い消費税は発生する)」が減って「直接納税事業者」が増えるのではないかと企んでいるようですが、予想されるのは「免税事業者」が廃業して生活保護世帯が増加する事です。

 例えば、課税売上額が500万円の「免税事業者」を考え、売り上げ利益率を30%とすると、粗利が150万円になります。利益の150万円には「直接消費税(15万円)」は掛からないので、大手業者よりも3%安く売る事が可能になります。

 インボイスを導入すると、この15万円を価格に上乗せ出来なければ自己負担を強いられ、利益は135万円になります。それに加えて7万円の法人税が確実にかかるので手取りは128万円です。

所得税 簡易計算ツール」で調べると、

所得額:所得税額: 手取り
150: 5.2:144.8
143: 4.8:138.2
128: 4.1:123.9
(何れも単位は万円)

なので、所得税のみに注目すると150万円の給与所得者は144.8万円の手取りになりますが、粗利150万円の「免税事業者」がインボイス制度を導入すると、全額給与所得としても、123.9万円の手取りになります。

 東京都八王子市に単身で住む40代男性の場合の最低生活費(=生活扶助費+住宅扶助)は132万円だそうです。つまりこの例では、他の公的負担(地方税や医療費など)を除外しても、「課税売上が500万円以下」の場合は「最低生活費」以下で生きていく覚悟が必要と云う事です。