私は通販が好きだ。
ネット通販ができるようになってからは、週1~2回のペースで、何かしら買っている。
長野の田舎に住んでいる私には、つええ味方だ。

さて。
そんな私が初めて通販をしたのは。
小6の時だった。
前の記事で話したように、私はこの時、好きな男の子がいた。
その頃読んでいた少女漫画雑誌、おそらく「なかよし」に、
アクセサリー通販の広告があった。
そこには、イニシャル入りネックレスや、ハートのかけらで、2つ合わせるとハートになる、所謂恋人同士が分け持つネックレスがあった。
私のお小遣いで、買えない額ではなかったので、私は早速それらを申し込んだ。

数日後。
帰宅した私に、母が言った。
「何か来てたわよ」
あ、あの通販のブツが来たんだ、私は喜んで開けてみた。
私のイニシャル入りネックレスとおそろいの、彼のイニシャル入りネックレス。
そして、ハートのかけらのネックレス。
私が彼にプレゼントするつもりで買ったのだ。
しかし、そこに母。
「ちょっと見せなさい!」
私は困惑した。
彼のイニシャル入りネックレスを見せるには、大きな勇気が必要だった。
「これ、友達にプレゼントしようと思って……」
「友達って誰?」
「合唱団の友達」
「何て名前の子?」
母は容赦なかった。
私が、
「え、名前も言うの?」
とか、ごにょごにょ言っていると、母は言った。
「男の子?」
私は頷いた。
今だったらごまかすこともできたが、この頃は、今のように個人情報が厳しくなく、全校生徒の住所と名前、両親の名前などが載った名簿が、みんなに配られていたので、それもできなかった。
母は、こんな私をとんでもなにおませさんだと思ったらしい。
(ま、実際そうなのだが)
「その男の子の親御さんがびっくりするわよ」
と、やんわりと怒られた。
そして私は、そのネックレスを彼にプレゼントするのは断念し、同じイニシャルの女の友達にあげた。彼女の誕生日にね。

もう一つ。
ハートのかけらのネックレスなのだが。
「これは、小学生が持つものじゃありません! 美伊が大人になるまで預かっておきます!」
と、取られてしまった。

そして最後に。
「美伊、こんなにお金払えるの?」
「払えるよ」
と言うと。
もう勝手な通販はしないと約束させられて、千円だけ母が持ってくれることになった。
そして、一件落着した。

さて。
そのハートのかけらのネックレスだが。
大人になったら返してもらえるかと思ったら、そうではなかった。
結局どうなったかはわからない。
私の世代は、男がネックレスをするなんてって世代だったし。
私の彼氏になった人と言えば、ネクタイが似合うサラリーマンばかりだったので、
(いや、そんなに何人もいないけど)
あのネックレス返してとは言わなかった。
実際問題、母が千円出してくれたのだから、仕方ないかと思っている。

そういえば、そういうネックレスとかの通販、なくなっちゃったね。
あるのかな、私が知らないだけなのかな。

とか思いながら、今日もネット通販にいそしむ美伊さんでした。