私は学生の頃、音楽は得意中の得意だった。
でも、音楽の先生が私を好いてくれたかというと、実はそうでもなかったということは、前にも書いた。

 

小学校の音楽の先生は、若い女性の先生だった。
彼女の旦那さんも、他の学校で音楽教師をしていたらしい。

あれは、6年生になった時かな。
「音楽のグループを決めます」
と、彼女は言った。
彼女の決め方はこうだった。
先に班長を決め、班長が一人ずつ班員を指名して決めていくというもの。

 

はい。
ここで「何て酷いことを!」と思った方、お友達になりましょう。

 

冗談はさておき。
立候補&推薦で、6人の班長が決まると、早速班長達は指名を始めた。
呼ばれた子達は、一人ずつ前に出て行く。

 

まあ、ここまででオチがわかった方は、美伊ブログのスーパー読者です。

 

そうなんです。
私が、最後の一人になっちゃったんですよね。
私はその時、
「どうせみんな私が嫌いなんでしょ!」
とかなんとか叫んで、みんなは笑った。
(ここは絶対に笑うところではないと今でも思うのだが)

 

「美伊さんが余りにも悲しそうなので、どうしてこういう決め方をしたか話します」
先生はそう話し始めた。
このグループの決め方は、先生の旦那さんが発案したらしい。
最初は先生も、
「なんでそんな決め方するの、余った子が可愛そうでしょ?」
と言ったらしく、毎晩のように夫婦げんかをした。
ある晩、旦那さんは先生に言ったそうだ。
「余る子には、悪いところがある」と。
それで、先生は納得して、この方法を取り入れたということだった。

私も私なりに、
「私に悪いところがあるのか……」
と、班長が最初に指名した子のことを班長に話して、
「どうして彼を最初に指名したの?」
と訊いて、彼を見習おうと思った。

 

でも。

今思い返してみても、この先生夫婦のやり方ってどうよと私は思う。
余る子には悪いところがあるったって、人はみんな、いいところと悪いところがあるんじゃないの?
それを教えるのが、先生の役目なんじゃないの?
それに、一人ずつ指名していったら、必ず誰かが最後になって、私の思いを味わうことになるんだよ?
やっぱ残酷だわ……。

 

ちなみに、この先生の旦那さんのクラスでは、グループの決め方がもっと過激だったらしい。
一人の班長が誰かを指名すると、他の班長が、
「彼(彼女)は俺の班に来てもらうんだよ!」
と、奪い合いになるという。
そして、声をかけられない子は、私と同じ思いをするというわけ。

 

いや、もちろん私は過去に友人と話したよ。
今の学校や幼稚園では、かけっこの時、ビリになった子がかわいそうだから、みんなで手をつないで一緒にゴールインするとか。
バレンタインのチョコはもらえない子がかわいそうだから、学校へ持っていっちゃいけないとか。
そーゆーのは過保護なんじゃないの?って。
でも、それとこれとは違うんじゃないかというのが、私の持論だ。
まあ、最後に残った負け犬の遠吠えだと思ってもらってもいいが。

 

でも、せめて、
「最後に残った美伊さんは悪い子だ」
というイメージを、みんなに植え付けないでほしかった。