一人が好きな私も、時々は淋しくなる。


とにかく、昔から一人が好きだった。てゆうか、「人と一緒に何かをする」という概念がなかった。
中学生になり、思春期を迎える頃、はたと気付いた。
クラスの女の子たちは、「仲良しグループ」を作っていた。
私は、そのどのグループにも属していなかった。
それに気付いた時は、さすがにこたえたが、それも数日だった。
別に、一人でもいいやと思った。
休み時間とかも、一人で小説やエッセイと自分では思っていた散文を書いていた。
その頃から、そういうことをしていたんだね。

でも。

中二が終わるある日。
数ヵ月後に迫った修学旅行の班を決めることになった。
最初に班長を決め、その班長の名前を黒板に書き、入りたい班に自分の名前を書くことになった。
女の子たちは、いつものグループで固まって、名前を書いた。
全員が書き終わって見ると。
私が名前を書いた班は、女子は私一人だった。
「女子一人はまずいでしょ……」
と、もめたが、私は別に一人でもいいと言った。
本当に、一人でもいいと思っていたのだった。
でも、みんなは私が強がっていると思ったらしく、女子全員でくじ引きをして、
当たった(はずれた?)二人が私の班に移ることになった。
ところが、選ばれた二人は、二人でなんかこそこそしてて、なかなか黒板の名前を書き直さない。
私は、そんなに自分が嫌われているのかと、ついに泣きだしてしまった。
そんな私に、女子の一人が言った。
「友達って、自分から割り込んでいかなきゃできないんだよ。待ってちゃだめなんだよ」
その時私は、
「じゃああなたは友達になってくれるの?くれないでしょ?」
と思ったことを覚えている。


結局そこは、選ばれた二人が私の班に入って、一件落着だった。


そんな私だったから、高校に入ってもなかなか友達ができなかった。
やっと入れた、一緒にお昼を食べるグループ。
だけど、彼女たちは図書館へ行くのがマイブームになっていたらしく、
昼休みが始まって、ものの五分か十分で食べ終わって、食堂へ行ってしまう。
残された私は、一人ぽつんと食べていた。
一度、みんなが図書館へ行こうとした時。
「私まだ食べてるのに」
と言ったけど。
「ごめんね」
とあっさりかわされただけだった。
いくら一人が好きな私とは言え、お昼を一人で食べるのは、まだまだ抵抗があるお年頃だった。


それから、そのグループとはいろいろあって、中二の冬から、別のグループに入れてもらって、お昼を食べるようになった。


短大では、みんなよくしてくれたので、特に淋しいと思ったことはなく。


新卒で入った会社も、同期が何十人もいて、学校の延長のようだった。
当然、女の子たちはグループを作った。
私は、その中の一つのグループに入ったが。
職場恋愛含めていろいろあって、「みんなといても一人」という感が拭えなかった。
さらに悪いことに。
私と一番仲良くなった子が、会社を辞めてしまったのだ。
彼女が抜けたそのグループにも、一応在籍していたが。
こんなことがあった。


その会社での初めての新年会。
みんなは定時で上がったが、私は仕事が終わらなくて、遅れて会場に行った。
するとどうだろう。
私の席がないばかりか、私の分の料理もないのだ!
私が文句をたれると、みんなは、
「一人で来たの?」
と、超珍しそうに言ったのだ。
一人でとか二人でとか、そういう問題じゃない。
家に帰って、母にそのことを話すと、母は言った。
「誰か一人くらい、『美伊さんの料理残しといてあげよう』って言ってくれないのかねぇ」
その時に、母にも悲しい思いをさせてしまったし、私も悲しくなった。
他の人が残業で遅くなった時には、確かに、その人の席はあるし、料理も残っているのだ。
その後も、呑み会が何度かあり、私はそのたびに、淋しい思いをしてきた。


そしてついに、その会社を辞めたのだった。


それから、女子のグループができるほど大きな会社には就職せず、
また、みんな一人でばらばらにお弁当を食べるような会社に就職して。
今に至る。

だけど。
今の会社でも、一度だけ嫌な思いをしたことがある。


いつかの忘年会のことだった。
女子社員は六人と少ないので。六人一緒に会場に入った。
すると。
まとまった席は五人分しかなく、あとの一つは、隅っこで、その両隣の人は、(こういうこと言っちゃ失礼だが)会社の中でも、あまり好かれていない人だった。
「どうしよう。女子が一人だけ離れてあの席に座らなければならない」
そう思ったのは私だけで、他の五人は、さっさと座ってしまったのだ。
私が離れて当然みたいな雰囲気に、私はかなり傷ついた。
だから私は、会社の忘年会にはあまり行かないのだ。


今も一人で外食とか平気でしちゃうけど、大人数でわいわいやってる隣の席に案内されちゃうと「勘弁して」ってなっちゃうね。