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南三陸町在住の松野さんは17年前、突然の大量吐血。

診断の結果、
スキルス性胃がん

全身に転移し、
余命はないくらいに言われたそうです。
 

手術は広範囲にわたり、
食道、胃、胆管、胆嚢、脾臓、片腎臓を摘出しました。

手術は無事に成功し、
余命はないくらいという状況からは脱出。
 

抗がん剤治療後、
そこから苦しみが始まります。

退院後は鳴子温泉の療養所生活。

毎回の下痢と嘔吐で、
トイレのときは洗面器が
2つ必要なくらい吐いたそうです。

「なんであのときに死ねなかったのか」

と何度も思ったそうです。
 

半年に1回検査を受けていましたが、
腫瘍マーカーなどのデータは予断を許さない状況。

少し良くなり、
療養所を出られたのですが、
今度は肺への転移が判明し、再び入院。

輸血治療が中心で
積極的治療は行われませんでした。
 

そこに起きたのが2011年の東日本大震災。

そのとき松野さんは
公立志津川病院に入院していて、
まさに入浴中でした。

その病院は沿岸部からわずか400m。

松野さんは死を覚悟します。

この揺れは津波が来ると。

しかし幸運にも
最後の大きな揺れで
お風呂から投げ出され廊下に着地。
 

そこに看護師さんが走ってきて、
タオルを投げてくれて、
くるまって走り出すことができました。
 

そこは一般の方の避難所になっていました。

たくさんの方が押し寄せ、なかなか進みません。

早く上の階に行かないと間に合わない!

黒い壁が迫ってきています。

何とか3階から4階に上がる
階段の踊り場まで来ると、
もうそこには歩けなくなったおじいちゃん、
おばあちゃんがひしめき合っていました。
 

「もう無理だー。上に行けない」
 

そのときです。
 

「何でそこに突っ立ってるの!
早く上りなさい!私たちはもう歩けないの。
歩けるあなたは生きなさい!
私たちを踏み台にして階段を上りなさい!」
 

松野さんは、
 

「ごめんなさい、ごめんなさい」
 

と泣きながら階段を上り、
あと1秒というところで
救い上げられ、九死に一生を得ます。
 

そんな状況で4階にたどり着き、
また津波に流されていく人を見ながら、
 

「元気な人が流されて、
どうして末期がんの私が助かるんだ」
 

という心境になったそうです。
 

一夜明け、日が昇ると、
松野さんにこんな思いが湧いてきました。
 

「私は生かされたのかもしれない。

いつかは終わる命。

前向きな気持ちとか、
そんなものではない。

神様が“何かをしなさい”
と私を生かしたのかもしれない。

みんなに助けられた命。
ただ、自分のできることで
誰かのお役に立ちながら生きるしかない」

 

そこで、
もともと料理人だった松野さんは、
避難所で毎日毎日炊き出しを始めました。

ときには病気のことも忘れ、
ただただ目の前の人の笑顔のために食事を作りました。
 

さらに町内外に出かけ、
病院の屋上での体験、
自らのがんの体験を伝え歩いたといいます。

入院する病院もなくなってしまいました。

薬も手に入らない状況。
 

たまたまテレビで
松野さんの様子を見た
手術の執刀医から連絡があり、
総合病院で検査を受けることができました。

すると、なんとすべて正常値
 

主治医も驚き、
がん細胞はどこにないとお墨付きをもらったそうです。
 

そして松野さんは、
いつしか芽生えた夢を叶え、
2014年、農漁家レストラン
「松野や」をオープンしました。


 

当時、松野さんのことは大きな話題となり、
新聞やテレビでも大きく取り上げられました。
 

松野さんの生き方の変化とは?

1、誰かに喜びを与える。

2、今、この瞬間を生きる。

3、いつか訪れる死を受け入れ、
生かされた奇跡に感謝している。

4、臓器をたくさん摘出したので、
転移するところがなく、
ラッキーだと思っている。
このネガティブをポジティブに捉える考え方。

5、料理屋をつくるという夢に向かい、
夢を叶え、大好きなことをしている。

6、自分を開示し、
自分の体験を隠すことなく伝えている。
 

今回、医師の見解も交えて、
さらに詳しく話を聞いていたいと思います。
 

松野さんの真似はできなくても、
松野さんの存在を知るだけで希望になると思います。
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引用


病気になったって、どんなことがあったって、
命の火が燃えている限り、私たちは命を大切にする。

それを私も自分の命から学びました。

自分の命は一生懸命教えてくれています。
それを知り、生きること。
これが大事だと思います。

ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます。
読んでくださった方が、自分の命の愛を沢山感じて過ごしているように願っています。